ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集(1952)、バルトーク:弦楽四重奏曲全集(1954) ヴェーグ四重奏団(10CD)
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あまでうす | 神奈川県 | 不明 | 2018年05月16日
お馴染みの独廉価版ドキュメント盤で、例によって録音はあまり良くないモノラル盤ですが、ベートーヴェンとバルトークの弦楽四重奏曲の全曲を聴くことができます。 若き日のシャンドール・ヴェーグに率いられた名門カルテットの演奏は明晰にして柔軟なアプローチを心していることで、アルバンベルク以降の心身を異常なまでに張りつめた神経質な演奏の対極をいくものですが、かといって例えばオルランド四重奏団の弛緩した演奏とはまるで異なる、なんというかヒューマンな感覚の親しみやすい演奏です。 ベートーヴェンもいいですが、お国もののバルトークは、それこそ自家薬籠中の手に入った素敵な演奏を繰り広げています。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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maruno | 兵庫県 | 不明 | 2017年08月11日
よく歌うヴェーグがここにある。この旧録を聴いて初めてヴェーグ四重奏団の神髄がわかった。高い技術に基づいた活発なアンサンブル。とことん歌いこんだ音楽。柔らかく暖かい調べ。ああ、嘆息。 いきなり大フーガから。しかしこんなに美しい大フーガがかつてあったか。すべてがメロディアスで、各声部が明確に歌い、どこまでも美しく響きわたり続け、ついに最後には感動、ただ感動で終える。 続けて嬰ハ短調。ブタペストのように厳しく聴かせる演奏ばかり追い求めていたばかりに長く気付かなかった姿がここにある。嬰ハ短調はかくも抒情的な調べに満ち満ちた曲なのだ。 そしてラズモフスキーの3曲を立て続けに聴く。いや、思わず立て続けに聴くはめになってしまった。やめられない。止められない。そして3番のフィナーレに立ちすくむ。圧倒されて。そのまま新録のラズモフスキー3番のフナーレと聴き比べたところ、やっていることは全く同じなのに圧倒感が違うことに気付いた。そう。これが旧録の凄さなのだ。 さてベートーヴェン全集の新録の方ですが、確か40年前に新発売だったのでしょう、FMでよく流れていましたね。特にラズモフスキーがよく流れていた。中学生だった私は、これがベートーヴェンの弦楽四重奏曲の登竜門でした。その後、ブタペストによる後期四重奏曲を知ったが、十何年も経過したある日、BOXセットで売られていたヴェーグのベートーヴェン新録を偶然見つけてただ懐かしさだけで購入したんだっけ。そこにあふれる優しい調べに包み込まれながら時折引っ張り出して聴くこと数十年、最近になって突然この旧録の存在を知った。市販されているとは驚いた。録音が悪いとのうわさでしばらくためらったが、思い切って購入して本当に良かった。1952年〜55年の録音としてはこんなものではないでしょうか。基本的な解釈が旧録も新録も同じである点、さすがプロですね。すごい。にもかかわらず漂う音楽世界が違っている点、これぞプロです。これがまたすごい。自然界の音、香り、世界に身をまかせていくときっとこうなるよ、とでもいった芸術です。6人の方が、このレビューに「共感」しています。
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