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ブルックナー (1824-1896)

CD 交響曲全集 マリオ・ヴェンツァーゴ指揮、5つのオーケストラ(10CD)

交響曲全集 マリオ・ヴェンツァーゴ指揮、5つのオーケストラ(10CD)

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    風信子  |  茨城県  |  不明  |  2016年10月02日

    アラ・ブレーヴェこそブルックナー音楽の根幹だと認識して演奏された初めての全集と言える 存命中から演奏不能と烙印を押され度重なる稿の改訂を強いられたブルックナーの書法だが 第2交響曲フィナーレに初めて登場してから 以後全ての交響曲の第1と第4の両端楽章に指定される速い2分の2拍子(alla breve)は 現在も多くの指揮者によって無視されている ヴェンツァーゴはスコアに忠実な演奏をするどころか 未だalla breveが用いられていない第1、第0、第2の第1楽章で4分の4拍子を明らかに2分の2拍子で演奏している ブルックナーは細々とテンポの変化を書き込んでいる ヴェンツァーゴはここぞというときは大胆に速度を変えるが ブルックナーがしばしば求めるテンポを落とせの指示には従わない これによって感情過多の波にのまれずに済む だから第9のAdagioがセンチメンタルな渦に嵌らなかった ヴェンツァーゴは速すぎてはいない このテンポはスコアから読み取れた適正な速さだ ただ第0で無用な揺らぎがあり残念 また第7の第1楽章のテンポが遅いのが玉に瑕 練習記号Bに〔C ruhig〕の記載があるので多くの指揮者はテンポが落ちる この変化を嫌って冒頭からBのテンポで開始した為楽章全体が一本調子になったのが惜しい だがヴァンツァーゴが5つのオーケストラを駆使して現出させたブルックナー10曲全てが美しい 俗世では150年間理解されないまま居もしないブルックナーの偶像が建てられてしまった ヴェンツァーゴが描き出したブルックナーは人生を謳歌し日々前進する人そのものの姿だ ブルックナーは佇んだり跪いたりしていない 神への感謝や祈りは今歩みつつ積んでいる人だ ブルックナーの眼前にはいつも未来に立つべきfieldが広がっている 単売時に幾曲かは聴いて居た 最後に出た第5が最高傑作でありエポックとなると吹聴していたが 全集刊行にあたり全曲をスコアを繰りながら改めて聴いてヴェンツァーゴが稀に見る大仕事を成し遂げたのだと確認した ここからブルックナーの真影が世に広まることを期待する 衷心よりこれまでで最高の推薦をする   

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  • ★★★★☆ 

    Phronesis  |  千葉県  |  不明  |  2016年09月09日

    まず聴いてみて気がつくのは、ヴェンツァーゴがブルックナーのスコアから非常に繊細で、しかも雑味のない澄みきった響きを抽出していること。とくに弦楽器パートは弓使いからヴィブラートのかけかたまで非常に神経が行き届いて、繊細である。そうした演奏スタイルが最高の成果を上げている例としては、第9の第三楽章をあげることができる。ここで強烈な不協和音が柔らかく溶けあって響くさまは、たしかに他に例を見ない美しさだと思われる。 また、概してテンポは速めで、とくに第3主題でのリズミカルな書法のパッセージはかなり速い。おもしろいとは思うが、ただブルックナーの音楽は一般にリズムパターンの積み重ねによる発展を特徴としており、とくに第3主題やスケルツォだけでリズムを強調しながら、それ以外ではあまりリズム的な要素の処理に印象的なものが見つかりにくい、というのには、ちょっと疑問をもった。 それと、響きが澄みきって繊細であるのはよくわかるのだが、あまりポリフォニーの綾を立体的かつ明晰に聴かせてはくれない。これはポリフォニックな書法を全体の響きへと溶かしこむべき素材としてしか見ていない、結果、各パートの独立性をあまり重視していないような印象を与えてしまう点にはちょっと不満がある。 結局、ヴェンツァーゴにとってのブルックナーは、たとえばギーレンがとりあげる第4の第一稿が聴かせるような、明らかに二、三世代先を予感させるような凶暴で荒々しい生命力に満ちた性格のものではない。むしろ、版の選択は一貫して保守的であり、その範囲で響きの純化とスリム化を追求した演奏、と言えば一番しっくりくるように思われる。

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