ダウトの行進
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micarosu | 神奈川県 | 不明 | 2016年02月21日
こんなアルバムを待っていた。 「純愛、故に性悪説」、「空想片恋枕草子」、「GPS」、「僕が雪を嫌うわけ/私が雪を待つ理由」とリリースを重ねるごとに楽曲の幅とクオリティが上がって行くのが見えただけに、この2ndフルアルバムには期待をせざるを得なかった。 そして聴いて驚いたのが、その期待通り、いやその期待以上の作品をリリースしてきたことだ。 まず「ミュージック」。 どことなく終わりを感じさせる寂しげなメロディは聴き始めた瞬間には切なさを与えるが、聴き進めるうちにその感情が前を向いていくことに気づくはず。 この切なさは自分自身の弱さを表現したもの。 そして歌声が届けたのは、この弱さに打ち勝つために自分を鼓舞する強さ。 それが一体となって押し寄せてくる曲を聴いて、心を揺さぶられないはずがない。 こんなとんでもない力を持った曲が最初にある時点で、アルバムが只者ではない予感を漂わせる。 ここからがいよいよ本領発揮。 「春恋、覚醒」の躍動感の中に見せる切なさ、「物見遊山」のデジタルなサウンドを織り込んだ独特な浮遊感と現実感、「容れ物と中身」の見た目でなく中身の大切さを綴った言葉と迫り来る展開に圧倒されていく。 「純愛、故に性悪説」の圧倒的な存在感を聴いた後に、「不在証明」というバラードを置くことで、それぞれの良さが際立つのもすごく良い。 「Silver Bullet -instrumental-」を挟んで一度落ち着いたかと思えば、「ワーカーズアンセム」の踊りだすようなリズムとビートで新たな驚きを与えてくれる。 このタイプの楽曲には彼らには珍しく、普通に並べてしまうと目立ちすぎてしまうが、インスト曲を挟んだことで自然と楽しむことが出来る。 「新機軸」、「僕が雪を嫌うわけ」と岡田さん作曲の優しく真っ直ぐなメロディと格好良く力強いサウンドが響き渡らせたかと思えば、お洒落なリズムが心地よい「フロントマン」を聴かせ、空想委員会らしさ全開の「桜色の暗転幕」でアルバムは終わる。 ここでもう一度最初から再生すると「ミュージック」の終わり感が待っているので、違和感なく何度でも再生できるという点もこのアルバムの面白いところ。 楽曲の幅、秀逸な構成、それぞれの楽曲に込めた想いの真摯さなど、どれを取っても素晴らしい以外の言葉が出てこないアルバム。 一言で言えば名盤。 それに尽きる。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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