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SACD ホロヴィッツ/オン・テレヴィジョン1968〜アルティメイト・エディション(3SACD+DVD)

ホロヴィッツ/オン・テレヴィジョン1968〜アルティメイト・エディション(3SACD+DVD)

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    meji  |  神奈川県  |  不明  |  2015年12月29日

    ホロヴィッツが亡くなってから既に四半世紀が経ったが、最新のリマスタリング技術による鮮明なSACDと、鮮明なDVD画像によって、初めてホロヴィッツの生身の姿に接することができた思いだ。 まずはオン・テレビジョンのデジタルリマスターDVDが嬉しい。最晩年の老醜をさらした80年代の映像とは異なり、最も完熟した60代前半の颯爽とした演奏姿に触れることができるかけがえのない映像だ。これに加えて、これまで日の目をみなかったリハーサル音源や当日の無編集音源が、オリジナルマスターテープからのDSDリマスタリングによって、目の覚めるようなリアルな音質で聴くことができる。またこれらの情報を比較することで、当時のLPがTV収録時の演奏そのままではなくリハーサルやゲネプロや追加セッションを素材に、夥しい切り貼りによる編集がなされていたことも明らかになった。 購入者にとって何よりも気になるのがSACDの音質であろう。日本語解説には、リマスタリングエンジアであるアンドレアス・K・マイヤーによる詳細なレポートが掲載されており、「最終編集版も無編集版もオリジナルの3トラックマスターからリミックスした」とある。しかしながら、最終編集版については、彼自身が拍手の音や、聴衆のノイズ、演奏のミスをもとに編集箇所を推測したような記述になっていることから、どうやらハサミが入った編集マスターテープまではたどり着けず、そのコピ−マスターからデジタル化したと思われる。このことは、編集最終版のサウンドが2種類の無編集ディスクと比べ、間違いなく音質が劣化していることからも証明される。 そして肝心なリマスタリングの出来であるが、テレビカメラがステージ上を動く際に発生したと思われる超低域のノイズがそのまま収録されていることから、余分なノイズリダクションは行わずにオリジナルに忠実な音作りがなされていると考えられる。また65年に同じくカーネギーホールで収録されたヒストリックリターンの音質と比べると、オン・テレビジョンの方は、ピアノの音色がやや硬めでディテールのクリアネスにおいてやや劣っているが、前者はテレビカメラ用にステージ床を補強した結果であり、後者はTV画像にマイクを映さないようにするため、マイクがピアノから離れた場所にセッティングせざるを得なかったことが原因だと推測される。RCAからCBSに移籍した後のホロヴィッツはついぞ優秀録音には恵まれなかったが、今回のオン・テジビジョンやヒストリックリターンのSACDを聴いた限りでは、悪かったのは元の録音ではなく、夥しい編集とそれに伴うテープダビング、ホロヴィッツの好みを反映した硬質トーンへのイコライジング、薄っぺらで粗悪なLPプレスに原因があったと考えられる。 なお、演奏だけを取り出せば、長年馴染んだ最終編集版が最も完成度が高いが、無編集の2種類のディスクもそれぞれ異なる味わいがあり、ミスタッッチは多いものの、演奏の流れが自然で好ましいし、何といっても音質の優位性は何物にも代えがたい。 最後に、ソニー・ミュージックエンタテインメントの丁寧なパッケージングを評価したい。詳細な録音データ、リマスタリングエンジニアによる解説、DVDリマスタリングエンジニアによる解説、3種類の演奏の客観的な比較評、アメリカでのLP初出時の解説、日本でのLP初出時の解説、セッションやライブ時の写真、マスターテープの写真…とどれもマニア心をくすぐるものばかりで、ページをめくるのが本当に楽しい。貧弱で救い難い解説が一向に改善されないワーナー・ミュージックジャパンには是非ともソニーを見習ってもらいたいものである。本アルバムは正直高いが、金額なりの価値は十分ある。マストバイだ。

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