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ブルックナー (1824-1896)

CD 交響曲第2番 ヴェンツァーゴ&ノーザン・シンフォニア

交響曲第2番 ヴェンツァーゴ&ノーザン・シンフォニア

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    のんじょんれ  |  神奈川県  |  不明  |  2012年09月14日

    名演であった4番、7番のCDとはオーケストラが違う。いかにも室内オーケストラという弦のプルトの少なさと繊細さが、冒頭からなぜヴァンツァーゴという指揮者がこの室内オケと2番を録音したのかがよく伝わってくる。 なにしろ弦にノンビブラートを要求している。いや、もしかしたら、ピリオド楽器のオケなのかもしれない。そのあたりは全く知識が無いのだが、この指揮者はただものではないことは明らかだ。 この曲は今まで中期、後期の演奏と同じように扱われ、巨大に巨大にと、肥大させられていたような気がする。 ダウスゴーのCDも室内オケを使って成功しているが、このヴァンツァーゴ盤はより徹底しており、ある意味これからのブルックナー第二番の演奏の指標となるものだと思う。 特に木管の役割が表面に出てくる旋律部分だけではなく、内声部分に素晴らしく神経が行き届いている。美しいことこの上ない。 フォルテのうるささが皆無なので、全体になだらかな音量の曲線を描いており、普通ならば単調になって失敗しそうなところだが、この2番の特徴はこれでこそ生かされるという証明のようなアダージョ。 響きがピュアーなので、ドイツ的というよりはもう少し北欧に近い気温のお低さすら感じられるユニークなブルックナーのアダージョだ。第一楽章ほど個性的でない解釈が少し残念だが、第二主題の水滴がつららから滴り落ちるようなピチカートなどはまさに室内楽の長所を最大限に生かした演奏といえるだろう。そのあとのノンビブラートの弦の合の手や、静寂なホルンの応答も最高だ。実に聞く者に集中力を要求するアダージョの後半の解釈だが、今までに体験したことのないブルックナーだ。 それは宗教的とも宇宙的とも違っていて、もっと自然の美しさのような透明さがあるのだ。 さらに驚きなのはスケルツォの諧謔味あふれるリズム感だ。 透明な音色と短く切られた音から繰り出されるまさにスケルツォ感満載の演奏には脱帽。 私はその指揮者が本当にブルックナーに親和性があるかというのは実はスケルツォの演奏で判断できると思っている。 その意味でヴァンツァーゴは満点といえるだろう。 トリオなどはまるで、村祭りのひと時のように素朴で美しく、楽しくもある。 期待のフィナーレだが、展開部など全く別の譜面かと思うような場面もあるのだが、全体にはやや平凡な解釈といえるだろう。 それでもこの解釈自体が全体の流れの中で必然的に導き出されていることも事実で、そのあたりは曲自体の課題というのが露呈しれいるのかもしれない。 なにしろ、ブルックナーファンならマストといってもおかしくない近年にない存在価値の高い第二であった。 0番の録音もあるようだが、なぜだか価格がべらぼうに高いのが気になる。こういうのは音楽ファンとは関係のない流通の話なのだろうから、このレビューで触れるべきではないかもしれないが、あまりにも各番号ごとに値段が違うのはどういうわけだろうか。

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