『巡礼の年』全曲 ルイ・ロルティ(2CD)
商品ユーザレビュー
-
(0 件)
-
(1 件)
-
(0 件)
-
(0 件)
-
(0 件)
検索結果:1件中1件から1件まで表示
-
marco | 東京都 | 不明 | 2011年09月03日
久々に聴き応えのある全集の登場。ロルティの超洗練主義とも言うべき「一歩身を引いたスタンス」が、リストの様々な面をあぶり出し、飽くこと無く最後まで繰り返し聴くことができる全集に仕上がっている。ヨーロッパ社交界のスーパースターとして頂点を極めたリストの晩年、栄華の果ての境地に生み出さた音楽は、劇が終わった所から始まる「能」のように、ミニマルな旋律をベースにしつつ、所々に栄華の残り香を断片のように散りばめ、独特な枯淡の境地を示す。これは中途半端なピアニストにマジで弾かれると台無しだ。過去の思い出の回想、最後に独り静かに対峙する文物や思索の素描、目前に迫る死への想い等々が、生々しい形でなくどこか遠い世界の出来事のように達観して表出されてほしい。ロルティの超洗練主義はこの曲集の多様な特性を引き出すことに成功している。そして、ファツィオーリの豊潤なピアノの音が、曲集の一部難渋で陰鬱な性格に対して馥郁たる深みと華を添えている。オーディオ的愉悦度も高い。尚、ロルティは1990年に第二年イタリアS.161を録音しているが、今回は全て新しいテイクである。7人の方が、このレビューに「共感」しています。
このレビューに 共感する
検索結果:1件中1件から1件まで表示