昭和16年夏の敗戦 中公文庫
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望月ハルヒ | 愛知県 | 不明 | 2018年05月14日
自民党の石破茂衆院議員の講演会へ行った際、 「私、別に猪瀬さんから何かもらっているわけじゃないですからね」 という前置きと共に、彼がお薦めしていた本。 昭和十六年四月一日、日米開戦が近づく中、各省庁や民間から「出向」という形で集められたエリート達が総力戦研究所で模擬内閣を「組閣」し、日本とアメリカが戦った場合のシミュレーションをしていた、ということを発掘した本である。 そして、同年夏に出した結論は 「日本必敗」 「ソ連が参戦してくる可能性もある」 結局、原爆投下以外は、ほぼ机上演習によって導き出されていたのである。 私がこの本で最も印象に残っているのは、以下の点だ。 西洋諸国による資源の禁輸を受けて、戦前に日本は南方に軍隊を進駐させ、開戦後には戦闘によって数多くの油田や鉱山を占領した。 だが、それをどうやって日本へ運ぶのか? 日本郵船から出向してきた研究生がイギリスの保険会社のデータを元に推計したところ、月平均10万トンもの船が沈められるという結果が出た。そして、造船量は多くて5万トン。 つまり、日本の輸送船(あるいは、輸送任務に就かされる船)は差し引き年間60万トンも減っていくわけで、とても戦争遂行に必要な資源を日本に輸送できないのである。 このように、様々な統計データは開戦前からアメリカとの戦争は無謀であることを示していた。 なお、本書には東条英機という人物にまつわる意外なエピソードも数多く収録されており、そこも読みどころである。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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