生きていくためのクラシック 「世界最高のクラシック」第2章 光文社新書
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snk | 北海道 | 不明 | 2021年04月18日
本書及び「世界最高のクラシック」を目にするまでは、著者の音楽コメントは「奇を衒った内容」や「斜に構えた毒舌」というイメージがあったが、この2冊は著書として世に送り出すだけあって、かなりマトモ路線になっている。目次を紐解くと、第1章が「精神のバロック、官能のバロック、退廃のバロック」となっていて、リヒター、パイヤール、クリスティが取り上げられている。第2章は「歌の恍惚」として、ジュリーニとコルボが取り上げられ、第3章は東西武闘派対決として、ショルティとスヴェトラーノフを取り上げている。自著の出版にあたり、読者の興味関心を惹く努力は理解するが、区分けがあまりに表面的というかイメージ優先で、表現も誇張過多が多いのではないだろうか。たとえばパイヤールだ。著書の記述で「絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿にもっともふさわしい音楽」という意味で「官能のバロック」という位置づけをしたのかもしれないが、そこで取り上げているのはバッハの管弦楽組曲だ。本書購入と同時期にパイヤールの同曲CDも購入して聴いたが、音があまりにスカスカで比較の対象にならなかった。従ってここで取り上げるべきは管弦楽組曲ではなくブランデンブルグ協奏曲ではないだろうか。録音は古いがこの項に十分当てはまる。 もう一つ言いたいのはショルティの扱いだ。「東西武闘派対決」までは良しとしても、「最新鋭戦闘機の超パワー」という表現は如何なものか? 確かに力任せなところはあるが、ショルティ指揮の演奏はもっと繊細で、録音の良さもあって音楽を聴く喜びに浸らせてくれる。なおショルティの項では音の響きについてもいろいろな理屈を含めて説明しており、そこは必見といえよう。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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