司馬遼太郎

本 翔ぶが如く 1 文春文庫

翔ぶが如く 1 文春文庫

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    海尾水  |  神奈川県  |  不明  |  2021年04月12日

    全10巻の大著である。主軸の西南戦争が始まるまでには8巻を待たなければならない。よく言われるがこの作品は脱線が多く、全体の分量の半分以上かと思わせる程だが、それによって竜馬がゆくと比べると、大分構成的には破綻している。しかし人物描写はいつもの秀逸さで、この時代の空気感を味わえる。

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    金山寺味噌  |  愛知県  |  不明  |  2014年07月25日

    この物語は、4人の薩摩人を中心に描かれていく。明治維新の立役者西郷隆盛と大久保利通、そして彼らの手足となって働いた桐野利秋と川路利良である。西郷と大久保は文字通り「同じ釜の飯を食った」仲であり、二人三脚で維新の大事業を達成したが、維新後は思想、政策の相違から亀裂が生じ、いわゆる征韓論によって対立が決定的となり、政争に敗れた西郷は大久保と袂を分かった。「人斬り半次郎」の異名で怖れられた剣客桐野は西郷と行動を共にし、初代大警視(警視総監)に起用された川路は大久保に仕えて政府側に残った。両者の決裂はやがて明治10(1877)年の西南戦争へと繋がっていき、悲劇的な結末を向えることとなる。 彼らの故郷鹿児島県の状況は複雑であった。桐野以下中堅・若手の旧薩摩藩士たちは西郷を神の如く尊崇し、一種の「西郷王国」を作り上げていた。その一方で旧藩主島津家の権威も健在で、老公島津久光は隠然たる影響力を保持していた。しかも久光は西郷のことを嫌っており、西郷も久光を敬遠していた。ただ、西郷派・久光派の両派とも大久保率いる新政府を拒否していることでは共通しており、それゆえに衝突することなく鹿児島県内で同居できていた。県内は両派閥によってほぼ壟断されており、新政府の意向は無視されていた。そのことが大久保にとっての悩みのタネであり、後の西南戦争の遠因ともなってゆく。 司馬遼太郎氏の筆致は冷静でありながらドラマティックであり、中心人物である4人の薩摩人とそれに関わる人々の運命を克明に描写している。木戸孝允、岩倉具視、大隈重信、山県有朋、江藤新平といった同時代の大立者達はもちろん、那須拙速や池辺吉十郎など地方の人々の運命にも目配せしながら、西南戦争という明治初期の大事件を時に俯瞰で、時にドメスティックにと多角的に分析し、物語化してゆく。最後、4人の薩摩人達は折り重なるようにして斃れていき、彼らの屍を乗り越えるようにして明治日本は近代化への道を爆走していく。まことに読み応 えのある、傑作であろう。

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