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DVD 『ジゼル』 ラヴロフスキー振付、ローマ歌劇場バレエ、フラッチ、ヌレエフ、他(1980)

『ジゼル』 ラヴロフスキー振付、ローマ歌劇場バレエ、フラッチ、ヌレエフ、他(1980)

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    ミュンシュ  |  神奈川県  |  不明  |  2012年06月21日

    極めて、感動的な「ジゼル」であった。収録時期からもわかるように、録画も音も決して良いとは言えない。しかし、この「ジゼル」には、時代を超えて迫ってくる、そして訴えかけてくるものがある。それは、現代のハイテクとは次元の異なる、言葉では言いつくせない性質のものである。芸術の神髄に触れた実感と、感動に起因した感涙を覚えるのみであった。 あえて言えば、マーゴット・フォンティンとともに20世紀を代表する世界的バレリーナであったカルラ・フラッチ、彼女が演じるジゼル役であるが、特に、第1幕における可憐さ、第2幕の妖艶さは、映像を観て初めて感じるものであり、理知的で格調が高い。 一方、決して体格に恵まれているとは言えなかった不世出のバレーダンサー、アルブレヒト役を演じるヌレエフのシャープな踊りには、言葉が出なかった。アルブレヒトがジゼルに永久の別れを告げるシーンでは、他の映像あるいは録音には使われることのない、切々とした音楽が追加される。そして、その音楽の「やるせなさ」を表現するかのように、祈りをささげるように動くヌレエフの姿があった。そこに表現されるヌレエフの悲しみ・悔いの表情などは、観ている私自信も身につまされた。さすがであった。 群舞(コール・ド・バレー)も、フラッチとヌレエフに、文字通り「鼓舞」されている様子が一見してわかり、極めて美しかった。 その他、気付いたことを列記する。 一つ目は、会場にいる観客の自制心が画像に表現されている。例えば、拍手が起こっても、拍手すべきではないところでは、「しぃ」と言う、拍手を押しとどめる声が、度々、聞こえる。このバレー公演に足を運んだ人は、本当に芸術を愛していたのだということが分かる。 二つ目は、10分以上にわたって収録されているカーテンコールである。帰ろうとしない観客の絶大な拍手と、観客によって舞台に投げ込まれた沢山の花束、そのなかでフラッチとヌレエフの達成感あふれる表情が印象に残った。観客が焚いたと思われるカメラのフラッシュ、これが気になる人もいるかもしれない。しかし、これもライブ映像ならではであろう。私に関しては、さして気にはならなかった。 三つ目は、当時としては最高とも思われる、かつ芸術性に富んだカメラワークである。フラッチには、映画版のジゼルも残されているが、バレーには、やはり、本映像のようなライブが相応しく、当日の会場を支配している緊張感を、見事に捉えきっていた。 収録時間は125分である。通常、「ジゼル」の収録時間は115分程度であるので、約10分間長い。それは、別れのシーンの追加と、カーテンコールを十分に収録しているためである。 その他、カラ―ではあるが画質は粗い。映像については、最終場面で、誰かが、カメラの前を通ったと思われ、一瞬、暗くなるところがある。サラウンドの音声も選択できるが、過大な期待はしないほうが良い。また、若干、画像、音声にノイズが入るところがある。しかし、上記、いずれも、鑑賞に支障はないレベルである。 やはり、本映像は価値は、芸術性であろう。 少なくとも、私が観てきた「ジゼル」のなかでも、すばらしい演出、踊り、音楽であった。

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