Last Trio Live '80

ビル・エヴァンスの晩年の活躍は、死をも覚悟し、走る続けていたという点で悲劇的だが、ジャズファン的な見地からすれば、初期、スコット・ラファロを擁した「第一期黄金トリオ」さらに本ＤＶＤと同時発売される1966年、エディ・ゴメス加入の映像で明らかな「第二期黄金トリオ」に続く、マーク・ジョンソン〜ジョー・ラバーベラとの「第三期黄金トリオ」こそは長年追い求めてきたエヴァンスの理想のトリオではなかたのだろうか？音楽で意思を疎通しさらに、コードもモードもさらにはタイムさえ超えた変幻自在のピアノ・トリオ。これこそがエヴァンスが追い求めた「自在トリオ」だっただろう。1980年9月15日の死去までほんの一ヶ月少し、作品化されたライヴとしては、9月の「キーストン・コーナー」出演前の欧州楽旅における、ロンドン「ロニー・スコッツ・クラブ」への8月2日の出演[『Turn Out The Stars』(Dreyfus Jazz) ]と、8月15日の西ドイツ、Bad Hoenningenへの出演 [『His Last Live in Germany』『The Brilliant 』(West Wind)]
の間に当たる日時の演奏ということになる。収録曲はこの当時繰り返されて演奏されていた作品。画面に映し出される末期のエヴァンスの表情に映るのは満足感か、それとも、諦観だったのか？ジャズの歴史の一瞬を浮かび上がらせてくれる貴重な映像作品だ。

以下メーカー資料より

80年8月9日ノルウェイのモルデにて収録。同年9月15日に亡くなったビルの最晩年をとらえた貴重な映像。

　50年代にプロとしてのスタートを切り、60年代、70年代を通じ常に第一線を走ってきたビル・エヴァンスは、'80年9月9日、ニューヨークのライヴハウスに出演中に体調を崩し、15日に死去。同じ9月に予定されていた5度目の来日公演は結局実現しませんでした。このDVD『ザ・ラスト・トリオ・ライヴ '80』は、エヴァンスが倒れる1カ月前の8月9日にノルウェイのモルデにて収録された貴重な演奏です。他作品では見ることのできないジャズ・スタンダード「酒とバラの日々」、エヴァンスの最重要レパートリー「Nardis」を含む全4曲に、ライヴ直後に行われた約8分のインタビューも完全収録。ビル・エヴァンス（pf）、マーク・ジョンソン（b）、ジョー・ラバーベラ（ds）という“ラスト・トリオ”による円熟の演奏をととらえた、まさに時代の証言映像です。

ビル・エヴァンス（pf）マーク・ジョンソン（b）ジョー・ラバーベラ（ds） / 1980年8月9日ノルウェイのモルデにて収録