The One

人を酔わす良質な音色で魅せるアルト・サックスプレイヤー土岐英史。自身のChikenshack、Toki＆Crusingなどの活動はもとより、現在に至るまでの30年間「山下達郎バンド」にて絶大な信頼を集めるその音は存在感があり、一度聴いたら耳が離せない極上のサウンド。しかし、日本ジャズ界の巨星・日野元彦（Ds）の死去をきっかけに、リーダーアルバムの制作に心が動かなくなり、前作から14年の歳月が流れました。

そして2008年、土岐の音色に洗礼を受けた多くのファン、業界関係者からの「土岐オリジナルジャズアルバム」への熱いコールに、いよいよ土岐が重い腰を上げました。故・日野元彦に想いを馳せ、そして土岐英史自身の全てを注入したのが本作「THE ONE 〜ザ・ワン〜」です。

このアルバムには、土岐英史が長年に渡り信頼し、共に活動してきたメンバーが集結。Fusionから、ジャズへ転向した大石学のピアノは柔軟で、土岐のオリジナル曲を華やかに演出し、椎名豊（ｐ）のユニークでありクオリティの高いアプローチは不動の確立されたサウンドを築き上げました。そしてベースの坂井紅介は、もっとも長く土岐英史と共演し、唯一無二の音を奏で、アフリカ系の音楽にも精通する幅の広い音世界を創造。最後に、ドラムス江藤良人は「ドラムが日野元彦でなければジャズはできない」という土岐の頑なな想いを解いたドラマー。

この4人と共に、全8曲中6曲を土岐オリジナル・ナンバーで聴かせる会心のジャズ・アルバム。