King Of Juju: ジュジュ ミュージックの王様

ナイジェリアから飛び出した最初のスター“キング・サニー・アデ”
ジュジュの王様がもっとも輝いていた時代をコンパクトに楽しめるベスト盤

日本人の音楽ファンにとって、アフリカ音楽の素晴らしさを最初に教えてくれたのは、サリフでもユッスーでもフェラでもなく、実は“キング・オヴ・ジュジュ”ことナイジェリアのキング・サニー・アデでした。彼は80年代前半にアイランド・レコードからインタナショナル・デビューを果たしましたが、特にアメリカと日本においてそれはとても衝撃的な出来事で、それを証拠に世界デビュー後の83年にはイキナリ全米ツアーを成功させ、さらに翌年には来日して代々木オリンピック・プールにて公演を行っています。そんなサニー・アデは当時アイランドに３枚のアルバムを発表。そのすべてがアフリカ音楽ファンにとってバイブルとも言えるほど貴重な作品でした。
サニー・アデは1946年にナイジェリアのオショグボという町で生まれました。17歳で学校を辞めてミュージシャンを志し、当時の首都だったレゴスで音楽活動を開始。そんな彼が演奏したのは、西アフリカの基幹音楽とされるパーム・ワイン・ミュージック〜ハイライフをベースに、ヨルバ人たちのパーカッションなどを加えて生まれた“ジュジュ”という音楽でした。独立後の60年代にはＩ・Ｋ・ダイロによって今に通じる基本的なスタイルが確立されたジュジュをさらに現代化させたのがサニー・アデと彼のグループ“グリーン・スポッツ（74年にはアフリカン・ビーツに改名）”で、70年代を通じて大きな人気を博すようになりました。そして80年代には世界にその名を轟かすようになり、例のアイランドからの世界デビューへと繋がってゆくわけです。
ただそんなサニー・アデが当時アイランドに残したアルバムは、日本では残念ながらすでに廃盤となっていますが、本作はまさにそれを穴埋めしてくれる内容の編集盤と言えます。サニー・アデがアイランドに残した『ジュジュ・ミュージック』『シンクロ・システム』『オーラ』の３枚に収められていた曲が中心で、インタナショナル・マーケット向けに作られた録音の中でも一番魅力的だった部分をこの一枚に集約しています。80年代前半のサニー・アデの音楽の素晴らしさと、さらにはアフリカ音楽らしい自然な躍動に溢れた音楽性が永遠のものだと言う事を改めて再確認できる作品と言えるでしょう。
現在人気のナイジェリアの女性ＳＳＷアシャも、サニー・アデに大きな影響を受けているだけに、そのルーツを知る上でも重要な作品と言えます。アシャの新譜もリリースされるこの時期だけに、併せて本作もお試しになられてはいかがでしょうか？