NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ/松平頼暁
日本でも有数の名家、水戸松平氏の直系であり、作曲家松平頼則の長男として生まれた松平頼暁。中学2年の時に終戦を迎えた彼は、様々な思いを抱えながらまずは科学の道へ進みます。しかし、「情念に拠らない芸術」を模索するために、独学でピアノと作曲を習得。その信念を貫くかのように、常に実験的でロジカルな作品を生み出し続けています。その技法は、もちろん12音から始まり、一作ごとに新しい語法を打ち立てて行くもので、世界の音楽の潮流に呑まれることなく、常に孤高の世界を生み出していると言えるでしょう。
解説は川崎弘二氏によるもので、「革新的な技法が結実された複雑な音の連なり」を丁寧に読み解き、美しい展開図として聴き手に提示してくれます。この解説を読むだけでも、日本の現代音楽の一つの潮流が理解できるのではないでしょうか。(NAXOS JAPAN)
【収録情報】
松平頼暁:
・室内オーケストラのための『コンフィギュレーション』 (1961-63) (初演)
東京交響楽団
若杉弘(指揮)
録音:1967年3月29日、都市センターホール 「現代の音楽展67」
放送:1967年7月9日
・弦楽四重奏とリング・モジュレータのための『分布』(初演)
植木三郎(ヴァイオリン)
板橋健(ヴァイオリン)
山崎正秋(ヴィオラ)
高橋忠男(チェロ)
録音:1968年3月16日、朝日講堂 「クロストーク3」
放送:1968年7月7日
・コンボのための『オルタネーションズ』 (1967)
来馬賢(トランペット)
佐藤英彦(打楽器)
和田則彦(ピアノ)
尚雅俊(コントラバス)
片山幹男(リング変調器)
松平頼暁(指揮)
録音:1969年2月25日、東京文化会館小ホール 「現代の音楽展69」
放送:1969年5月25日
・マリンバとオーケストラのための『オシレーション』 (1977) (初演)
高橋美智子(マリンバ)
東京都交響楽団
黒岩英臣(指揮)
録音:1979年10月11日、東京文化会館 「オーケストラ・プロジェクト79」
・テープのための『アッセンブリッジス』 (1968)
NHK電子音楽スタジオ
放送初演:1969年1月5日
仕様:HQCD (Hi Quality CD)
解説:川崎弘二
【NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ】
NHKの協力のもと、戦後の日本現代音楽の時代の空気が当時の演奏で甦る!
「NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ」は、戦後の日本音楽シーンを代表する邦人作曲家に焦点をあてたCDシリーズです。収録音源は全て、NHKラジオ番組「現代の音楽」で過去放送された番組のマスターテープから編集・リマスタリングを行い、マスターの再現性においてきわめて評価の高いHQCD(Hi Quality CD)でリリースします。NHKの協力の元、希少価値の極めて高い録音のアーカイブ化を実現しました。代表作の初演や未発売作品のライヴ録音を中心に収録。日本人の創りだした音楽が、作曲当時の時代の空気とともに今ここに甦ります。
【NHKラジオ番組「現代の音楽」について】
戦後間もない1947年のラジオ番組「日本の音楽」などを前身として、1957年より日本の現代音楽の有り様を今日まで伝えている番組。現在の放送時間は、毎週日曜18:00-18:50。柴田南雄、上浪渡、白石美雪、西村朗などが歴代の解説を務め、2009年からは猿谷紀郎が担当。邦人作曲家から海外の著名な作曲家まで、音楽祭や作曲賞本選会などのライヴ録音を中心に放送。(NAXOS JAPAN)
松平頼暁は、戦後日本の前衛音楽の担い手のひとり。感情と結び付きがちな音楽をきわめてシステマティックな手法で作曲してきた。ここには、初期のセリエリズムから電子音楽を経て70年代のさまざまな旋法性を追求した作品までを収録している。初演も含んだ貴重な音源で、緊張感を持ったいい演奏で音質も良い。★(T)(CDジャーナル データベースより)