とにかく”待望”という言葉を使いたいアルバム。
それがnano.RIPEのファーストアルバム「星の夜の脈の音の」だ。
「ハナノイロ」、「面影ワープ」といったアニメ『花咲くいろは』の物語を彩った楽曲をはじめ、インディーズ時代に数多くのライブで培われた正統派ギターロックの音楽が存分に楽しめる一枚。
一曲目の「セラトナ」をイントロを聴いた瞬間、このアルバムというより、ライブの幕が開くような独特な緊張感と臨場感が走る。
続く「ハナノイロ」が彩りと疾走感を加え、「雨を待つ」、「15秒」と一気に世界観に惹きこまれていく。
「面影ワープ」といったセンチメンタルな感情が顔を覗かせたと思ったら、「星の夜の脈の音の」がインタールード的に入ることで、一度心を落ち着かせる。
「フラッシュキーパー」が二度目の幕開けという感じに圧倒的な疾走感で聴き手を誘い、「ノクチルカ」でギターの音色に酔いしれ、盛り上がりは最高潮に。
ここから「パトリシア」、「細胞キオク」と続くスローナンバーが流れの余韻に浸らせてくれ、「世界点」、「てのひらマリー」でnano.RIPEの世界観を改めて感じることができる。
すると、一曲目からまた聴きたくなってしまうから不思議だ。
それは不器用ながらに今を生きていこうとする、詩の世界観がそこにあるからなのだろう。
それがnano.RIPEの良さであり魅力であり魔力でもある。
まずは一度聴いて欲しい。
そして、二度三度とまた聴いて欲しい。
そこには、聴き手の心をに寄り添うような世界がきっと広がっているから。