二重の鍵

■本編：88分 / 製作年：1959年 / 製作国：フランス、イタリア

【特典】
収録：オリジナル予告編、フォトギャラリー
封入：解説リーフレット（執筆：遠山純生　28頁）

【ストーリー】
アメリカ人作家スタンリー・エリンの原作に基づく、クロード・シャブロル監督初期の意欲作。その後スリラー・ジャンルで偉大な業績を築き上げることになるシャブロルにとって、本作は同ジャンルを手がけた初の作品である。同時に、彼にとって初のカラー作品でもあり、色彩実験的にも興味深い試みがなされている。

若きシャブロルの映画作りに対する野心的意欲は、劇中二カ所に登場する、回想場面の斬新な使用にもうかがえる。
南仏エクサン＝プロヴァンス郊外の邸宅を舞台に、隣家の若い娘を愛人とする当主、主人の裏切りに気づきながら耐える妻、母親離れできない長男、おとなしい長女とその婚約者の粗野な若者らが織りなす一見平穏な、しかしその水面下では一触即発の日常。
南仏エクス＝アン＝プロヴァンス郊外の邸宅を舞台に、隣家に愛人を囲う当主、主人の裏切りに気づきながら耐える妻、母親離れできない長男、長女とその婚約者の粗野な若者らが織りなす偽善に満ちた日常。そんなある日、諍いの元である愛人が他殺体で発見される……。

さまざまな技巧を駆使した多彩な映像表現で、ブルジョア家庭の内部に潜む偽善をえぐり出す、極彩色の歪んだ心理スリラー。

本作に次いで『勝手にしやがれ』（ジャン＝リュック・ゴダース、59）に主演することになる、ジャン＝ポール・ベルモンドの奔放な演技見もの。『勝手にしやがれ』で演じた、傍若無人な若者ミシェル・ポワカールの原型がここにある。

【スタッフ】
監督:クロード・シャブロル
脚本:ポール・ジェゴフ
原作:スタンリー・エリン
台詞:ポール・ジェゴフ
製作:ロベール・アキム、レイモン・アキム
撮影:アンリ・ドカエ
美術:ジャック・ソルニエ、ベルナール・エヴァン
音楽:ポール・ミスラキ

【キャスト】
テレーズ：マドレーヌ・ロバンソン
アンリ：ジャック・ダクミーヌ
リシャール：アンドレ・ジョスラン
エリザベト：ジャンヌ・ヴァレリー
レダ：アントネラ・ルアルディ
ラズロ：ジャン・ポール・ベルモンド
ジュリー：ベルナデット・ラフォン
ロジャー：マリオ・ダヴィド

(C)ROBERT ET RAYMOND HAKIM PRO./Plaza Production International/ComstockGroup

富豪の愛人が死体となって発見された……。スタンリー・エリンの『ニコラス街の鍵』を映画化。南仏の美しい風景を醜い人間の欲望との鮮やかな対比で描き出したのはクロード・シャブロル監督。(CDジャーナル　データベースより)