モーツァルトを聞き始めてからすぐに「これはステレオ??」と思ってしまった。よく聞くとステレオのようだがあまりにも痩せた音が野外コンサートの雑多な雰囲気と合体して潤いのない音になっている。66年の音は特にひどい。それに比べて67年は我慢すればというレベルだ。
ということで録音については期待よりはるかに低い残念な結果になっている。
ただし、演奏については良くも悪くもミュンシュらしい豪快なもの。そもそも緻密な演奏など求めていないので録音の悪さも手伝ってモーツァルトは明らかに雑。他の曲のなかではやはり十八番の幻想は凄いの一言。こちらは録音云々を超えたプロ中のプロの演奏だ。シカゴの名人芸もミュンシュの強引な指揮のもとパワー全開である。パリ管のお披露目ライブほどではないが普段の客演にてここまでやってしまうミュンシュの実演を見てみたかったのは私だけではないだろう。
もう少し音がよければ他の曲も味わい深く聞けたであろうがそこが残念。