天窓のあるガレージ 講談社文芸文庫

日野啓三

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062903608
ISBN 10 : 4062903601
フォーマット
出版社
発行年月
2017年09月
日本
追加情報
:
272p;16

内容詳細

日常から遠く隔たった土地の悠久の歴史を物語る遺構や人を寄せ付けない奥深い自然の中に身を置いた主人公が自らの経験を通じて「私」を超えていこうとする試みは、やがて若者や女性といった身近な他者の異質な感性に刺激されて一層深化した世界感覚によって変貌を遂げる。後に高い評価を受ける都市を舞台にした作品群の嚆矢となった表題作を始め、転形期のスリルに満ちた傑作短篇集。

【著者紹介】
日野啓三 : 1929・6・14〜2002・10・14。小説家。東京生まれ。小中学時代を植民地・朝鮮で過ごす。1952年、東大卒。大学在学中から文芸評論を書き始め、新聞社入社後はソウル、ベトナム特派員を務める。66年、はじめての著書『ベトナム報道』、小説「向う側」を発表。主な作品に「此岸の家」(平林たい子文学賞)、「あの夕陽」(芥川賞)、『抱擁』(泉鏡花文学賞)、『砂丘が動くように』(谷崎潤一郎賞)、『夢の島』(芸術選奨文部大臣賞)、『断崖の年』(伊藤整文学賞)、『台風の眼』(野間文芸賞)、『光』(読売文学賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 優希 さん

    面白かったです。私小説の要素を強く感じましたが、そこには日常とは遠く離れた自然の中に身を置こうとした様子が伺えます。様々な異質のものを鋭い感性で描き出しているからこその刺激があるように思いました。「私」が主人公のようでありながらも、実は舞台になる都市をこそ描き出したかったのではないでしょうか。

  • そふぃあ さん

    古い遺跡や荘厳な自然と幻想が溶け合い、神秘的な世界が立ち現れる。まさに顕現。本書では私小説的作風で綴られる旅行記から、都市を舞台にした三人称小説に作風が変わっていくその過程を味わうことができる。後者の方が評価が高いようだが、私は初期の方が好み。 「地下都市」カッパドキアが舞台だが、現地に赴かずに書いたとは思えない臨場感。文章めちゃくちゃ上手い。。 「昼と夜の境に立つ樹」文明に牙を抜かれた私たちは、今も自然と共に生きていたなら、一体どんな姿をしていただろうと考えずにはいられなかった。

  • ネムル さん

    良かった。カッパドキアで地下都市に潜り、北欧にてオーロラを求め、地下から天空へ垂直線上に世界を貫く紀行文風、であると同時にその地の歴史への夢想が己の記憶へと貫かれる私小説風の虚構。この不思議なバランスを保つ連作(風の)紀行虚構としての試みは、表題作「天窓のあるガレージ」へ、また後の『夢の島』などの都市小説群へと継がれていく(らしい)。この閉鎖的で無機質なガレージという空間が70・80年代の精神性を思わせるが、水平線の閉鎖性と垂直線の開放性というモチーフがあたかも安藤忠雄の住吉の長屋と近似的で興味深い。

  • 。 さん

    各作品ラストがぞくっとくる。日野の「幻視」が際立ったまま切迫した形で終わる。シャーマンの作法で世界を射抜く。時々必要になる。

  • かみしの さん

    熊野の本宮へ旅行に行ったことがある。風が吹いて杉がゆれたとき、ぼくは神の吐いた息だと感じた。世界の全体が揺れたような音だった。この短編集の前半は、シベリアや、カッパドキア、スカンディナビアといった紀行文風の小説が収録されている。そこここで主人公は、神話や宗教や歴史を体感し、幻想的な体験をする。シャーマンとの邂逅、1000年を生きた老人との会話。特に「ワルキューレの光」は絶品。表題作は、ガレージに引きこもる少年の話。現実の拒絶は、幻想への第一歩である。「目に見えないもの」と交信する日野もまた、シャーマンだ。

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人物・団体紹介

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日野啓三

1929年(昭和4年)6月14日‐2002年(平成14年)10月14日、享年73。東京都出身。1974年『あの夕陽』で第72回芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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