デイヴィッド・グラブス

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レコードは風景をだいなしにする ジョン・ケージと録音物たち

デイヴィッド・グラブス

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784845914418
ISBN 10 : 4845914417
フォーマット
発行年月
2015年12月
日本
追加情報
:
18

内容詳細

録音されたものから、ある時代を知るとはどういうことだろう?

ポスト・レコーディング時代の前衛・実験音楽論

ジョン・ケージならびに60年代の実験音楽・前衛音楽の試みと「音楽の解体」によって生まれた、不確定性の音楽、長時間のミニマリズム、テキスト・スコア、ハプニング、ライヴ・エレクトロニクス・ミュージック、ノン・イディオマティックなフリー・ジャズやフリー・インプロヴィゼーションといった、「録音」に不向きでLPやCDを聴くことで追体験できるものではない音楽の録音物に録音されているものとは一体何か?その録音物を聴くということは、どういうことなのか?現代における録音物の氾濫とオンライン・アーカイヴによって変容していったリスナーの「聴取」と「体験」に、「録音の不可能性」というアプローチからせまる、音楽家デイヴィッド・グラブスによる21世紀の前衛音楽・聴取論の待望の日本語訳!

かつてジョン・ケージは、「不確定的な演奏は繰り返すことはできない。そんな作品の録音には、風景を絵葉書にする以上の価値はない」として、レコードはその環境や風景を体験することを損なわせるものとして「録音物」を否定し、レコードを一枚も持っていないと公言してはばからなかった。しかし皮肉なことに、音楽家ジョン・ケージの録音作品は膨大な数にのぼり、ケージの名声は録音物のアーカイヴによって高まっていったことはまぎれもない事実である。

本書はこの矛盾から出発し、ケージ、デレク・ベイリー、AMM、ヘンリー・フリントら実験音楽の巨匠たちの作品群や、歴史的復刻となった『Anthology of American Folk Music』などの録音物を考察し、記録と記憶のあいだに耳をすます。「録音することの不可能性」に迫るエキサイティングな脱・現代音楽論。

【著者紹介】
デイヴィッド・グラブス : 1967年生まれ。ニューヨーク在住。ジョージタウン大学を卒業後、2005年にシカゴ大学博士課程を修了。現在ニューヨーク市立大学の准教授としてブルックリン校音楽院、及び大学院でパフォーマンス及び相互メディア芸術、及び文章創作のコースで教えている。専門領域はサウンドアート、実験音楽、ポピュラー音楽、録音、詩ほか。雑誌『The Wire』『Frieze』等で記事・論文を発表。『レコードは風景をだいなしにする―ジョン・ケージと録音物たち』が初めての著作となる

若尾裕 : 1948年生まれ。即興演奏、作曲、臨床音楽学を中心に、ポスト現代音楽における新しい音楽のありかたの探求がテーマ。神戸大学名誉客員教授及び広島大学名誉教授

柳沢英輔 : 1981年生まれ。同志社大学文化情報学部助教。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。ベトナム中部地域のゴングを中心とする音の文化について研究を行う。またフィールドで記録した音や映像をもとに作品を制作・発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • しゅん さん

    研究者としてより多面的な(ハードコアやったり音響フォークやったり)音楽家としての活動が知られる著者の音楽論。レコードを嫌悪したジョン・ケージとデレク・ベイリーが大量のレコードを残し、その録音物が後続に影響を与えているという矛盾から、「ライブ」と「録音」の複雑な関係性の歴史を繙いていく。常に聳えるのは聴取体験をどのように捉えるかという音楽家にとっての巨大な問い。ケージは「家でレコードを聴く」ことを否定する。そこには、日常の中にすでに聞くべき音があるという考えと同時に、ベンヤミン的アウラへの拘りを感じる。

  • ザフー さん

    ガスターデルソルや初期のハードコアパンクら多面的な音楽家としての著者を先に知っていた。題はケージの著作よりレコードというものの「絵葉書」の例えに応じた言葉。(In a Landscapeは代表曲)レコード嫌いのケージ、その「未知の結果をもたらす行為」という言葉で定義されることが多い、「実験音楽」。その記録不可能性を検証しつつ、フリント、グールドらへ比較を通じ、ケージと実験音楽の萌芽、実にせまる。興味深い素材だが学術文体にノレず。再帰する絵葉書、アーカイヴの「風景」も眼差す著者のライヴや講義に思いをはせる。

  • qoop さん

    実演と録音という前世紀(いや前々世紀か)から続く音楽聴取の二項対立を、録音媒体の進化が必然的にもたらした音楽自体の変化・音楽を取り巻く環境の変化・音楽との関わり方の変化…の中で融解させ、無化する試み。一回性を旨とするパフォーマティブな前衛/実験音楽の実演に立ち会う面白みは承知しているつもりだが、こう読むと、実演至上主義のローカルなエリート意識は鼻白むものがあるなと感じる。本書では触れられていないが、VRなどの次世代聴取方法は、確実に実演の概念を変えるだろう。そうした変化の渦中に身を置いてみたい。

  • 霧 さん

    録音が実験音楽に与える影響、その未来を予測する、という当初私が期待していた点に答える本ではなかった。ただ、ケージに反発する後発世代の話が新鮮で、面白かった。かなり細部まで書かれており、マニアな人は楽しめるだろう。個人的には2章までが面白かったかな。実際にこういう実験音楽の歴史性や作曲家のパラダイムがわかる日本語の本は少ないので重要ではある。

  • doji さん

    グールドとケージの、録音に対するスタンスの大きな違いがとても面白かった。即興演奏とレコードの関係性だけでなく、自宅録音家にとってのライブの意味、みたいなことを考えながら読むとなかなか興味は尽きない。

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デイヴィッド・グラブス

1967年生まれ。ニューヨーク在住。ジョージタウン大学を卒業後、2005年にシカゴ大学博士課程を修了。現在ニューヨーク市立大学の准教授としてブルックリン校音楽院、及び大学院でパフォーマンス及び相互メディア芸術、及び文章創作のコースで教えている。専門領域はサウンドアート、実験音楽、ポピュラー音楽、録音

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