天使エスメラルダ 9つの物語

ドン・デリーロ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784105418069
ISBN 10 : 4105418068
フォーマット
出版社
発行年月
2013年05月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
285p;20

内容詳細

島から出られないリゾート客。スラム街の少女と修道女。第三次世界大戦に携わる宇宙飛行士。娘たちのテレビ出演を塀の中から見守る囚人。大地震の余震に脅える音楽教師―。様々な現実を生きるアメリカ人たちの姿が、私たちの生の形をも浮き彫りにする。四人の訳者によるみずみずしく鮮明な9篇。1979年から2011年まで。現代アメリカ文学の巨匠、初の短篇集。

【著者紹介】
ドン・デリーロ : 1936年、ニューヨーク・ブロンクス生まれ。1971年、『アメリカーナ』でデビュー。1985年に『ホワイト・ノイズ』で全米図書賞を受賞。現代アメリカ文学を代表する作家であり、しばしばノーベル賞候補として名前が挙げられる

柴田元幸 : 1954年東京生まれ。東京大学教授。『生半可な學者』で講談社エッセイ賞、『アメリカン・ナルシス』でサントリー学芸賞、トマス・ピンチョン『メイスン#ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。現代アメリカ文学を中心に訳書多数

上岡伸雄 : 1958年東京生まれ。学習院大学教授

都甲幸治 : 1969年福岡生まれ。早稲田大学教授

高吉一郎 : 1971年横浜生まれ。米タフツ大学英文学部助教授。文学博士(コロンビア大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ずっきん さん

    翻訳陣が豪華。これだけで選書してしまう。著者のテーマというかメタファーの手法は肌に合わないけど、読む楽しさが過ぎる。浮遊感と情景画像の鮮烈さ。言葉にできなかったけど、読み友さんの感想で膝を打ちまくった。比喩オタなので一文一文には悶えない。ところが脳内に広がる風景を飛び回ってるこの感じ。のめりこむ。シーンが含む暗喩ごと流れ込んでくる。『象牙のアクロバット』では、ああと共鳴。『ドストエフスキーの深夜』ではクスッと笑いつつゾクリとも。『槌と鎌』のテンポとクライマックスへの誘いったら。かなりオススメ。

  • 南雲吾朗 さん

    あぁ…、この感覚だ、この不思議な浮遊感。「墜ちてゆく男」で感じた、文章を目で追っている時のこの感覚。ドン・デリーロの文章からは、私の場合、こういう浮遊感が感じられる。文章や表現が詩的というのではない。ただ、活字を追っていくうちに頭の中で描かれる画像が凄く詩的なのである。状況や、風景だけではなく、登場人物の思考までが詩的な虚像を浮かび上がらせる。9つの物語は各々孤立していて、それぞれが楽しめる。デリーロの書く文章は凄く好きなのだが、翻訳されているものが少ない事が残念である。

  • りつこ さん

    デリーロの文章は噛み砕くのに時間がかかるので苦戦したけれど読んで良かった。短編もいいなぁ。どれも違っていてどれもどう転ぶか予測がつかない物語。でも一貫して流れているのは生きていくことの不確かさと不安感。そういえば地震の直後にホワイトノイズを読んでどうにも苦しくて投げ出したことを思い出した。微かだけどユーモアがあるところが好き。

  • ユーカ さん

    現代アメリカ文学を代表する著者による、初の短編集。淡々と綴られる人々の生の中に、とんでもない暴力の匂いがする。出ることのできない美しいリゾート地、映画を見ることに静かな情熱を傾ける男の内に潜むストーカー性、スラム街を見守るシスターに訪れる残忍な事件と身を捩るように切ない奇跡…あんなに端正な表現の表裏一体に暴力があるというゾクゾク感。近未来的SF作品も。完全にハマった。訳者それぞれの持ち味も楽しめ、解説が秀逸。

  • ミツ さん

    凍てつく冬の夜の闇、人のいない映画館の無音の静寂、無辺の宇宙を孤独に漂う魂。文明と科学、テクノロジーがもたらす巨大な世界の様相は、決して暖かなものではなく、どのような感傷も感情の交歓をも拒むように、無機質に立ち上がる。孤立した魂は、より大きなものに所属したいと願い、他者との繋がりを求め、カタストロフの予兆を幻視し、啓示の顕現を見出す。エモーショナルに振れず淡々としていてもどこか異常な文章、控えめであるのに感じられるスケールの大きさに思わず虜になってしまった。ひとつもはずれのない、素晴らしい短編集。

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ドン・デリーロ

1936年、ニューヨークに生まれる。アメリカ合衆国を代表する小説家、劇作家の一人。1971年、『アメリカーナ』で小説家デビュー

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