『魔笛』全曲　カラヤン＆ウィーン・フィル、デルモータ、ゼーフリート、他（１９５０　モノラル）（２ＣＤ）

カラヤン＆ウィーン・フィル／『魔笛』全曲

1950年にレコーディングされた往年の名盤が、バジェット価格で登場。同じ年の『フィガロ』同様、若きカラヤンがウィーン・フィルを駆るさっそうたるありさまが目に浮かぶような名演。フルトヴェングラーとの確執でこの名門オケをまだ自由に振れなかったカラヤンの思いがこもってか、気合い満点の音楽造りがとにかく爽快で、「フリーメーソン」を巡る哲学的な側面よりは、タミーノとパミーナ、パパゲーノとパパゲーナという2組のカップルを軸とするメルヘンティックな青春劇といったさわやかさが特徴の一組です。
　配役は、当時のベストといっていい凄いもの。デルモータ、ゼーフリート、リップ、ウェーバー、そして伝説的なクンツのパパゲーノ役と、いずれも十八番中の十八番の役柄だけに文句無しの出来栄え。要の弁者役はジョージ・ロンドンが威厳も凄味もたっぷりに演じ、侍女役にユリナッチの名前があることもレコーディングならではの贅沢です。
　のちのクレンペラー盤同様、セリフをカットしたレコーディングですが、かの巨匠の言葉通り、音楽に集中するにはむしろ好都合です。ARTリマスタリング盤。

・モーツァルト：歌劇『魔笛』全曲(2CD)

　アントン・デルモータ（T：タミーノ）
　イルムガルト・ゼーフリート（S：パミーナ）
　エーリヒ・クンツ（Br：パパゲーノ）
　ヴィルマ・リップ（S：夜の女王）
　ルートヴィヒ・ウェーバー（B：ザラストロ）
　ジョージ・ロンドン（B：弁者）
　エミー・ローゼ（S：パパゲーナ）
　ペーター・クライン（T：モノスタトス）
　セ−ナ・ユリナッチ（S：侍女�T）
　フリーデル・リーグラー（M：侍女�U）
　エルゼ・シュールホフ（M：侍女�V）
　ヘルミネ・ステインマーセル（S：童子�T）
　エレオノーレ・ドルピンガンス（M：童子�U）
　アンネリーゼ・ストゥックル（A：童子�V）
　エーリヒ・マイクート（T：僧侶�T）
　ハラルト・プレグルホフ（Br：僧侶�U）
　リュボミール・パンチェフ（B：兵士）
　ウィーン楽友協会合唱団

　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
　ヘルベルト・フォン・カラヤン（指揮）

　録音：1950年11月　ウィーン、ムジークフェライン、ブラームスザール