ゴリホフ：『Ayre』、ベリオ：フォーク・ソングス　アップショウ（S）

アップショウ／ゴリジョフ『Ａｙｒｅ』

ドーン・アップショウ久々のアルバムは、ゴリジョフがアップショウのために書いたという『Ayre』と、ベリオの古典的傑作『フォーク・ソングス』とのカップリングです。　オズヴァルド・ゴリジョフは、アルゼンチン生まれで現在アメリカ在住の作曲家。一年前にNONESUCHからリリースした「Voices of Light」というアルバムの中で、アップショウがゴリジョフの作品「青白い月」を歌っており、これは今回のレコーディングに繋がる伏線とみることができます。また、クロノス・カルテットの有名なオムニバス・アルバム「キャラバン」では、全12曲中8曲の編曲をゴリジョフが担当している一方、映画音楽も手掛けるなど多岐に渡って活躍、最近では、シカゴ交響楽団のコンポーザー･イン･レジデンスに任命されるなど、まさに今が旬というべき作曲家です。
　ゴリジョフは常に、自身とベリオの音楽に深い関係性があると感じてきました。まさに、ベリオがキャシー・バーベリアンのために『フォーク・ソングズ』を作曲したように、アップショウのために創作された『Ayre』。ゴリジョフはアップショウの声色を聴いた瞬間、「虹を見ているようだ」と言ったといいます。
　同じ11曲からなる『Ayre』と『フォーク・ソングズ』。もちろん近似する部分も多いですが、世界初録音となるAyreにはさらに近代の音楽手法が現れ、音楽史の変遷にまで思いが至る構成になっています。

・ゴリジョフ：『Ayre』
・ベリオ：フォーク・ソングス（1963-64）

　ドーン・アップショウ（S）
　ジ・アンダルシアン・ドッグス