CD 輸入盤

マーラー:交響曲第5番、モーツァルト:交響曲第35番『ハフナー』 テンシュテット&ロンドン・フィル(1984大阪ライヴ)(2CD)

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
TFMC0015
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
International
フォーマット
:
CD
その他
:
ライブ盤,輸入盤

商品説明

連載 許光俊の言いたい放題 第59回より

 テンシュテットの大阪ライヴは、かねてから相当変わった演奏として知られていたもの。私は東京での同じプログラムは聴いた。が、FM放送された大阪のものはそれ以上に起伏が激しく、演奏時間もかかるものだった。
 第1楽章からして、のろのろと引きずるように進行する。その分、えぐり方はとんでもなく深い。もはやロンドン・フィルの表現力を超えたものが要求されてしまっている。これに応えられるのは、本当の最高のオーケストラだけだが、残念ながら、テンシュテットの過酷な音楽に最後までつき合ってくれるのは世界広しといえども、この楽団だけだったのだ。
 第2楽章はうねうねと気味悪く渦巻くが、たぶん録音がちょっとばかり演奏の迫力をそいでしまっている。惜しい。
 アダージェットは、12分かけた、もはや止まったような音楽だ(いや、部分部分では、本当に音楽が止まっている!)。なるほどこれは音という物理的現象には違いない。だが、もはや音は問題ではない。思いははるか彼方を駆けめぐる。それは聴けばわかるだろう。美しい楽章だが、ことテンシュテットに限っては、ここに感覚的美を望んではならない。
 蟻がはうように進むので、ちょっとした変化が不気味なほどに迫力を帯びる。8分前後からの弱音を聴いてください。金縛りに合います。暑い日に聴いたら、汗だくになれます。もう、マーラーの第9交響曲の最後みたいだ。ここで曲が終わっても文句が言えない。


ロンドン・フィルとの1984年日本公演ライヴ!
マーラー交響曲第5番、『ハフナー』

今回リリースされる音源は、テンシュテット&ロンドン・フィルの初来日時、大阪でおこなわれた演奏会をFM大阪のスタッフが収録したもので、いくつか残されているこの指揮者のライヴ音源の中でも、まずは屈指のハイ・クオリティと言っていい高音質が嬉しいところ。マーラーの5番など、冒頭のトランペット・ソロのリアルさ、ゴングやバス・ドラムのなんとも沈痛な響き、そして驚くほど生々しい弦楽セクションと、このレンジの広い作品が高域から低域まで見事なバランスで収められています。
 マーラーの5番はテンシュテット得意の演目で、他にも1978年のスタジオ録音と、1988年のロンドンにおけるライヴ盤が、同じロンドン・フィルとの演奏で残されていますが、今回の1984年ライヴは、緩急のメリハリが3つの中でもっとも顕著に示され、情念傾注の強さと深さにおいて他盤より一歩ぬきん出ているように思われます。
 ちなみにこの演奏会がおこなわれた1984年は、テンシュテットがロンドン・フィル音楽監督に就いて一年目。翌85年には癌を発病したことを考えれば、これはテンシュテットがまだ健康に恵まれていた時期の記録としても貴重です。

【収録情報】
・マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調
・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調『ハフナー』
・ボーナス・トラック:テンシュテット・インタビュー

 ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
 クラウス・テンシュテット(指揮)

 録音時期:1984年4月13日(金)
 録音場所:大阪フェスティバル・ホール、ライヴ

総合評価

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このCDは、私にとって忘れ得ない時間の記録...

投稿日:2015/05/28 (木)

このCDは、私にとって忘れ得ない時間の記録である。というのも、20代の私はこのコンサートの現場にいたからである。 当時、テンシュテットは特にマーラーを得意とする指揮者として日本でも知られてはいたものの、ボリュームを相当に上げないとその真価が聴きとれない当時のEMIの録音の問題と、◯コ芸の交響曲担当者(の片方)が毎度ボロクソの評を書くために特選が貰えない、などが原因で、既にイギリス、アメリカでは尊敬を集めていたにも関わらず、日本では評価が高いとは決して言えなかった。私はこのコンビのマーラーのスタジオ録音盤(特に3番)を当時愛聴したので、大いに期待を持ってこのコンサートに臨んだが、私のいた2階席にはかなり空席が目立っていた。 私はモーツァルトに興味がなかったので、ハフナーは特に印象に残らず、早くマーラーが始まらないかと思っていた。しかし、その肝心のマーラーも第1楽章ではオーケストラがイマイチ揃わず、なんだか雑然とした印象で始まった。ところが、第2楽章の1/3ぐらいまで進んだころから俄然オーケストラがのってきて、尻上がりに素晴らしい演奏となっていった。最終章では波が寄せたり引いたりするようにクライマックス向けて次第に盛り上がっていき、最後のコーダの輝かしさといったら、これまで体験したこともない体が震えるような感覚であった。演奏が終わったあとの(私を含めた)聴衆の反応も凄かった。私が帰ろうとしてロビーに出た時には、当夜コンサートに来ていた評論家たちがひとところに集まっていて「素晴らしかったな」とか興奮して言い合っていた(その割に、その後もCD/コンサート評論界ではほんの一部の方を除き、テンシュテットの評価は大して上がった様子がなかったが 苦笑)。 同じ頃に、私はバーンスタイン・イスラエルフィルの9番、ショルティ・シカゴ響の5番、メータ・イスラエル・フィルの5番、ムーティ・フィラデルフィア管の1番などを大阪でのコンサートで聴いたが、この夜ほどの素晴らしい体験は他では得られなかった。 その当時には、この夜の模様がFM大阪でオンエアーされたことを私は知らなかったのだが、その放送録音をもとに貴重な記録としてCD(とSACD)が世に残されたことは嬉しい限りだし、私自身がこのCDを聞くたびに当夜に受けた感動を思い起こすことができることは、この上ない幸せである。

Old_Movado さん | 広島県 | 不明

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テンシュテットのマーラー5番、EMIのライヴ...

投稿日:2013/01/19 (土)

テンシュテットのマーラー5番、EMIのライヴ盤は、ジャケットがどうしても気に入らないので、こちら、地元、大阪、あのフェスティバルホールでのライヴに手を出した。まあ、エグイ演奏だ事。よく付いて行った流石のロンドンフィル、もう、ホントにこのまま音楽が止まってしまうのじゃないか、と言う瞬間が、いくつもあって、悲鳴を上げている様。血しぶきと、ドロドロの涙の様なマーラー。こんな尋常じゃない、異様、壊れかけ寸前の音楽を引きだせるテンシュテット、ロンドンフィルは、狂人すれすれの、生身のマーラー理解者だったのだ。これこそ、ライヴ。

sunny さん | 兵庫県 | 不明

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このレビュー欄にはテンシュテットの84年来...

投稿日:2012/12/02 (日)

このレビュー欄にはテンシュテットの84年来日公演のコメントが多く,私も人見記念講堂のそのときを思い出してコメントを重ねさせていただきます.約30年間に多くのコンサート(カラヤン,クライバー,バーンスタイン...)を聴きましたが,これこそが最高の夜でした.前半のモーツァルトの端正な音楽と全く対照的に,マーラーの世界が響き渡るトランペット独奏から,それこそホールが”鳴り切った”感じのオケの全奏があまりに凄く,そこから5分程度で手が汗でびっしょりになりました.爆発的な終演まで,これほど凄絶で,完璧で,美しく重厚で,渦巻くような音響世界で,演奏者も観客もノッた演奏は他に知りません(強いて言えばクライバーのシュトラウスかな?).当然,アンコールはなく,それを当然と受け止めて,みな大満足で帰ったのを記憶しています(会場を出る人が皆すごい笑顔だったし,ガッツポーズの観客も沢山いた).当日はこのようにただただ興奮しましたが,改めて思い出すと,弦も管も音量やバランスが緻密にコントロールされ,響きが溶け合って,ホールが最も効果的に鳴り響く計算された音であり音楽であったと理解させられます.さて,本ディスクが最初に登場したときにはかなり乾いた音で,音楽的にもやや直裁的な感じがして,ホールで聴いたモノとはかなり違うな,と思いました.スピーカーやイヤホンでは再現できないコンサート体験なのだから,本来は当然とも言えますが,むしろ88年のライブディスクがホールで聴いたモノに近く,長らく愛聴版となっていました.シングルレイヤーSACDとなった本盤も基本的な印象は変わりませんが,クラシック音楽が日本にもたらした記念碑的な演奏の貴重な記録としての価値は永遠に失われないと信じたい気持ちです.それにしてもテンシュテットにはもっと長生きしてほしかったな−.そうすればクラシック音楽の理屈抜きの別次元体験がもっともっと多くの人たちに理解されただろうに...と.

スローライフ さん | 東京都 | 不明

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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