交響曲第9番『グレート』　ノット＆バンベルク交響楽団

ジョナサン・ノット＆バンベルク響
シューベルト：交響曲全集シリーズ完結！

注目コンビによるシューベルト：交響曲全集シリーズの最後を飾るのは第9(8)番『グレート』。2004年2月、ベリオ、ヘンツェ、ツェンダーといった現代作曲家によるシューベルトをモティーフとした作品集『シューベルト・エピローグ』と、交響曲第1･3･8(7)番を収めたアルバムからスタートしたこのシリーズ、続いて第2･4番を収めたアルバムがリリースされ、さらに昨年8月には第5･6番と、現代作品集『シューベルト・ディアローグ』が登場して『グレート』の登場が待たれていたところでした。
　この『グレート』は、反復をすべて実行し、快速基調で進行しているためか、トータル値から算出した楽章あたり平均タイム約14分半という数字から見た場合、各楽章の演奏時間が誤差1分以内に収まっているのが実にユニーク。
　ヤナーチェクやブルックナー、マーラーなど、これまでにリリースされた他の作品同様、高度な機能美を獲得した現在のバンベルク交響楽団ならではの緻密で推進力に富む演奏が大きな聴きものとなっています。
　もちろん、そうしたサウンド・キャラクターの魅力が生かされるのは、近現代音楽を得意とするジョナサン・ノットの楽譜に誠実なアプローチあってのことでしょう。現代作曲家たちにとって興味深い存在だったシューベルトという作曲家は、ほかならぬジョナサン・ノットにとっても興味深い存在だったに違いありません。

　 　SACDながら通常のCDと同じ価格というのも嬉しいところ。しかも、通常のCDプレイヤーでも再生可能なハイブリッド・タイプです。なお、SACDレイヤーには2ch音声と5ch音声の2種類が収録され、オリジナル・マルチチャンネル・レコーディングされた高音質録音をそのままのクオリティで味わうことが可能です。

　ジョナサン・ノットは1962年生まれのイギリスの指揮者。ヴィースバーデンの州立歌劇場、そして市の音楽監督を務めるなど、ドイツの伝統的な指揮者の典型ともいえる“カペルマイスター”的なキャリアを積んできましたが、一方で彼は、現代音楽をも得意としており、アンサンブル・アンテルコンタンポランの首席客演指揮者として、多くの新作初演を手がけてきたほか、あるテーマのもと、クラシックと現代音楽をカップリングしたコンサートを制作するなど、そのユニークな姿勢は幅広い聴衆から支持されています。
　2000年1月からバンベルク交響楽団の音楽監督に就任、以来レコーディングにも力を注ぎ、前述のブルックナー、マーラーのほか、シューベルトの交響曲集などが既にリリースされて絶賛されています。

【収録情報】
・シューベルト：交響曲第9(8)番ハ長調 D.944『グレート』 [57:30]
　第1楽章 Andante-Allegro ma non troppo-Piu moto [15:15]
　第2楽章 Andante con moto [13:41]
　第3楽章 Scherzo: Allegro vivace [13:36]
　第4楽章 Allegro vivace [14:58]

　バンベルク交響楽団
　ジョナサン・ノット（指揮）

　SACD Hybrid
　Original Multi Channel Recording