【インタビュー】AUDREY HORNE

2018年01月10日 (水) 18:00

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 ノルウェーのハード・ロック・バンド、AUDREY HORNEによる前作「PURE HEAVY」から3年半ぶりとなる最新作「BLACKOUT」が完成した。バンドにとって通算6作目のフル・アルバムだ。90年代前半に一世を風靡した人気TVドラマ『ツイン・ピークス』の、シェリリン・フェン演じるところオードリー・ホーンに因んだ名前を持つ彼らは、そのバンド名のみならず、グループとしての成り立ちや各メンバーの出自、そして何より音楽スタイルの面でも一際強い個性を打ち出してきた存在である。

 バンド結成は2002年。ドゥーム・メタル・バンド、SAHGにいたトーマス・トフトハゲン(ギター)とキェティル・グリーヴェ(ドラムス)の2人が、ブラック・メタル・バンド、GORGOROTHやSAHGにかつて在籍、現在はABBATHやOV HELL、JOTUNSPOR等で演奏しているトム・カトヴィスネス(ベース)と遊びのバンドをやろうと意気投合したのがそもそもの始まりだった。前掲のバンド名からするとエクストリーム・メタルを演奏する別働隊なのかと思いがちであるが、さにあらず。彼らが目論んだのは、典型的なへヴィ・メタル・シンガーさえ必要としない、70年代のハード・ロックや90年代のオルタナティヴ・ロックからの影響を惜しみなく取り込んだ、よりストレートでシンプルなロック・サウンドだった。

 彼らはシンガーとしてLOCOMOTIVE GANGBANGやSYLVIA WANEといったインディ・ロック系のバンドで歌ってきたトッシーことトロキエル・ロッドに声をかけ、更には2人目のギタリストとして、ブラック・メタル・バンドENSLAVEDでの活動で著名なアイス・デイルことアルヴ・イスダルを迎え入れて曲作りを行なうようになった。2004年にEP「BLEED」を、2005年にからEP「CONFESSIONS & ALCOHOL」をそれぞれリリース、活動を軌道に乗せた。同じく2005年にはファースト・フル・アルバム「NO HAY BANDA」をリリース、彼らの名前は日本の輸入盤購買層のヘヴィ・メタル・ファンにも知られるようになった。それ以降、何度かメンバー交代を経ながら、「LE FOL」(2007年)、「AUDREY HORNE」(2010年)、「YOUNG BLOOD」(2013年)、「PURE HEAVY」(2014年)といったアルバムをコンスタントに発表、ヨーロッパを横断するツアーも頻繁に行なうことで彼らの人気は盤石なものとなった。当初は90年代のグランジやオルタナティヴ・ロック色の強かった彼らのサウンドだが、作を重ねる毎に70年代のハード・ロックや80年代のヘヴィ・メタルの要素を強化することで、よりドラマティックでメロディアスなものへと進化した。このたび発売となる「BLACKOUT」は、そんなAUDREY HORNEサウンドの更なる進化を印象づける素晴らしい仕上がりとなっている。2017年12月中旬、トッシーが新作についてたっぷり語ってくれた。

――前作「PURE HEAVY」は2014年に発表されました。あのアルバムに伴うツアー活動はどの程度行なったのでしょうか?

トッシー:かなりやったよ。ツアーは確か2回やったと思う。その他に単発のショウやフェスティァル出演も沢山あった。基本的にはヨーロッパ中のあらゆる場所でプレイしたよ。アメリカや日本には行かなかったけれど。

――AUDREY HORNEの人気は特にイギリス、ドイツ、フランスで高まっているようですが、その理由は何だと思いますか? 優れたアルバムをリリースし続けるだけでなく、実際にライヴ演奏をやりに行くことも重要だと考えていますか?

トッシー:ああ、勿論だよ。ライヴをやるのは凄く大事なことだ。特に俺達のようなバンドはね。俺達は良いレコードを作っていると思うけれど、ライヴの方がもっと俺達を楽しんでもらえると思う。俺達のライヴ・ショウは、どちらかというとハプニングだから。勿論、他のルートで俺達の音楽を広めることも凄く大事だよ。ソーシャル・メディアやラジオなんかを通してね。

――日本のメタル/ロック・ファンの多くは、大多数はまだあなた方のライヴ・ショウを観たことがありません。AUDREY HORNEのショウで、我々は何を期待出来ますか?

トッシー:俺達のライヴ・ショウは、どう言えばいいかな…凄くエネルギッシュで、そして聴衆との絡みもたっぷりある。俺達は聴衆もショウにとってバンドと同じくらい欠かせない存在だと考えているから、ステージから客席に降りてプレイしたり、聴衆の何人かをステージに上げたりする。人々に、バンドを観ているだけじゃなく、自分達もその体験の一部だと感じてもらえることなら、何でもやってみたいと思っている。だからショウが終わってから皆と話したり一緒に飲んだりしているよ。ステージを降りたら聴衆とは関わりたがらないバンドも沢山いる。疲れていたり、自分達だけになりたいと思ったり、色々な理由でね。だが俺達は、ショウが終わった後、来てくれた人達と話が出来るのも凄く良いことだと感じている。彼ら感想を聞かせてもらえるしね。

――AUDREY HORNEのショウに来ている客層はどんな感じですか? 老若男女という感じですか? AUDREY HORNEの音楽は70年代、80年代にあったとしても、2025年に出て来たとしても不思議ではない普遍性が備わっていますが。

トッシー:うん、キッズからかなりの大人まで、あらゆる世代がいる。だが一番多いのは、30代から40代以上の男性かな。80年代と70年代のハード・ロックを聴いて育った人達が俺達のショウによく来てくれる。彼らは俺達のことを、70年代、80年代に彼らが愛していた音楽の重要な要素を呼び戻すバンドだと考えてくれているからだ。だけど若いキッズもいるし若い女の子達もいるよ。あらゆる人達だね。まあ、男性が多いのは間違いない。(笑)

――アイス・デイルはENSLAVEDの一員として日本に来たことがありますが、彼から日本について何か聞いていますか?

トッシー:ああ、彼はとても楽しんだようだ。俺自身はまだ一度も行ったことがないし是非行きたいと思っている。日本の古い文化だけでなくモダンなポップ・カルチャーにも凄く魅力を感じているからね。後者はアメリカやヨーロッパのそれをある意味エクストリームにした感じがする。今の日本のポップ・カルチャーはスピード(覚醒剤)をやっているアメリカやヨーロッパのカルチャーという印象だよ。(笑) とことんまで行く傾向があるからね。俺はそこが好きだ。日本の古い映画やコミックやアニメも昔から大ファンだよ。

――新作は通算6枚目ですが、創作について、最初の1枚、2枚と比べて何か変化はありますか? 以前のインタビューで「3枚目の『AUDREY HORNE』で、自分達が何をやりたいのか判った、自分達のサウンドを見つけた」とおっしゃっていたことを覚えていますが、基本的に3枚目以降は曲作りのスタイルに変化はないのでしょうか?

トッシー:ああ、それほど変わってはいない。だけど「YOUNG BLOOD」と「PURE HEAVY」と「BLACKOUT」で前よりやるようになったのは、バンドのメンバー5人全員が書くことだ。以前は俺とギター・プレイヤー、俺とベース・プレイヤーという感じで書くことが多かったから、それがここ数年での一番の変化だ。5人全員で書くようになったね。それは俺達が、メンバー全員がこのバンドの同等の一員だと感じられるようにしたいと思っているからだ。以前なら、例えば俺とアイス・デイルの2人で曲を仕上げた場合、他の奴らに聴かせて、「こういう曲だ、これを覚えてレコーディングしよう」と言っていた。でも今は全員でバンドとして総てを書いている。そこが最近の大きな変化だ。


――それでは収録曲について。1曲目の“This Is War”のギター・パートはTHIN LIZZYやIRON MAIDENを想起させます。

トッシー:ああ、そうだろうな。(笑) 俺達の音楽には影響源が判りやすいものが沢山含まれているから。隠そうともしていないよ。IRON MAIDENやTHIN LIZZYのように聞こえるようにしようとは思っていないけれど、俺達は音楽が大好きだし、そういったバンドを長年沢山聴いてきたから、彼らのサウンドが俺達の音楽に入り込むのは自然なことになっている。俺達はそれを隠そうともしていない。IRON MAIDENのようなヴァイブがあると感じても、良い曲を書いたと思えるなら、それで良いんだ。他の人達にIRON MAIDENに凄く似ていると言われても、「そうかい? クールだ!」と思うだけだよ。好きなように感じてくれていい。この曲にはTHIN LIZZYとIRON MAIDENがたっぷり入っているのは確かだ。

――Light Your Way”はRAINBOWを思わせるスピーディーな曲です。ギタリスト達が受けた影響が出ているようですね。ギター・ソロもリッチー・ブラックモア・タイプですし。

トッシー:ああ、そうだね。それに、RAINBOWやDEEP PURPLEやLED ZEPPELINといったバンドからは、ハード・ロックをプレイする人間なら誰しも大きな影響を受けているよ。ハード・ロックの元祖みたいな存在だからね。この曲を書いた時、俺達は、凄くVAN HALENっぽいと話していたんだよ。だが、スタジオでそれにハモンド・オルガンを加えた途端、70年代のハード・ロック曲の方向に進み始めた。勿論ギター・パートがリッチー・ブラックモアっぽいという点については俺も同感だよ。彼はどのハード・ロック・ギタリストにも多大な影響を及ぼしているからね。

――“Satellite”はダンサブルなグルーヴがあり、壮大なメロディやコーラスがあります。70年代のKISSを思い出しました。

トッシー:うん、そう感じるかもしれない。これを書いた時、俺達はプロデューサーに言ったんだ。この曲のプロダクションにはマイケル・ジャクソンが必要だと。グルーヴィーで、ダンサブルで、初期のマイケル・ジャクソンっぽいものが。晩年のマイケル・ジャクソンではなく「THRILLER」や「OFF THE WALL」の頃のマイケル・ジャクソンだ。あの2枚は素晴らしいアルバムだよ。だから俺達はプロデューサーに言った。出来るだけグルーヴィーにダンサブルにしてくれと。それが、KISSがやったことでもあったと思う。ディスコに凄く影響を受けていた時期が彼らにはあったからね。だから、何故KISSを思い出したか、判る気がするよ。「DYNASTY」や「UNMASKED」の時期のKISSはディスコやファンキーな音楽から影響を受けていたからね。

――アートワークについても教えてください。Yシャツにネクタイ姿の人が水に浸かっていて、胸ポケットにイカかタコのようなものを入れている奇妙なものです。何を意味しているのですか?

トッシー:(笑) あのアイディアを出したのは俺なんだよ。写真は自分ではなくフォトグラファーに撮ってもらったけれど。さっき君も言ってくれたように、俺達の音楽には70年代、80年代のクラシックな音楽から影響を強く出ている。このアルバムにも、それらと同じヴァイブを持たせたかった。70年代、80年代のアートワークを振り返ってみると、常軌を逸した感じがするものが沢山あった。例えばPINK FLOYDの「WISH YOU WERE HERE」を見たら、2人の男性が握手をしていて、1人だけに火が点いている。それから、SCORPIONSの「LOVEDRIVE」では、車の後部座席に座っている2人、女性の胸と男性の手はチューインガムで繋がっている。俺はそういうのが凄く好きだ。俺は、ストーム・ソーガソンの影響を凄く受けている。UFOやLED ZEPPELINやSCORPIONSやPINK FLOYDなど、あらゆるタイプのバンドのアートワークを手掛けた人で、俺もちょっと奇妙なアートワークにしてみたかった。奇妙と言っても、全く理解出来ないものではなく、良い写真なんだけど一体何が起こっているんだ?と思うようなものにしたかった。

 白いシャツとネクタイを使ったのは、それが俺の通常ステージで着ているものだからだよ。白いシャツと黒いネクタイというのがね。俺達のショウに来る人達が見慣れているのが白いシャツと黒いネクタイの俺だ。それから、ポケットにタコを入れることを思いついた。ペンでもハンカチでもなく。その話をフォトグラファーにしたら、クールだと言ってくれた。だが、それをやるなら、君に水の中に入ってもらわないといけないと言われた。その方がより“理に適う”からと言ってね。それが、俺がこのアートワークを作った経緯だ。

 それから、アルバムのタイトルが決まっていなくて、アイディアは山ほどあったけど、曲のタイトルを眺めていると“Blackout”が際立っていて、アートワークのイメージにもぴったり合うと感じた。他の連中も賛成してくれた。それで、このアートワークになり、アルバムのタイトルも「BLACKOUT」になったんだよ。

――今は新作のプロモーションで忙しいと思いますが、2018年のこのバンドの予定で決まっているもの、話せるものを聞かせてください。

トッシー:1月17日からヨーロッパ・ツアーを始めるよ。ドイツ、フランス、オランダ、スイスといったところで沢山のショウをやる。それが終わったら地元のノルウェー国内でかなりの数のショウをやる。夏になったらフェスティヴァルだ。ノルウェーでも沢山フェスティヴァルがあるし、オランダやドイツにも行く。年の前半の予定はそんな感じだよ。夏が終わってからの予定は、俺はまだよく知らないんだ。

――日本を含むアジア地域での活動は念頭にありますか?

トッシー:是非やりたいよ。絶対にやりたい。俺達にはヨーロッパでのブッキング・エージェンシーがいるけど、彼が例えば日本とどのように仕事をするのか判らない。でも俺は絶対に日本に行きたいと思っている。上手くいくことを願っている。近いうちに日本に行ってプレイ出来ることをね。

取材・文:奥野高久/BURRN!

Photo by Bent Rene Synnevag


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