無人島 〜俺の10枚〜 【The Recreations 編】

2018年01月10日 (水) 17:51

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世界中のPOPSマニアが一聴してノックアウト必至の国産ポップメイカーが2018年早々に登場した。

ギターポップ、パワーポップ、ネオアコ、シューゲイザー等の音像に、The Beatles や The Beach Boys、ELO、 Todd Rundgren、Burt Bacharach といったPOPレジェンドを彷彿とさせるキャッチーかつ繊細なメロディー が融合。転がるようなめくるめく曲展開とカラフルなコーラスワークに、90年代から連綿と続くオルタナロック 的ギターサウンドが交錯。疾走感と緻密なコードワークが同居する独自の音世界に中毒者続出。自身の偏愛 するグラスゴー周辺バンドや多くの SSW に影響を受けたソングライティングで職人的に練り上げられた楽曲たち。

The Recreations は、作詞作曲と全ての楽器演奏をセルフプロデュースで行う南葉洋平のソロプロジェクトとしてスタート。SoundCloud上にて発表した楽曲が、耳の早いPOPマニア達に絶賛されている。

今回全国リリースされる『Swing Together EP』は、それらの楽曲群に磨きをかけて再録、再MIX、加えて未発表曲をも収録した待望の初音源集。先行発売された HOLIDAY! RECORDS では既にヒットを記録している。

そんな新たなポップ・マエストロが選んだ10枚の作品とは?

無人島 〜俺の10枚〜 【The Recreations 編】

今回リリースする『Swing Together EP』の、滋養栄養分となった、また作るにあたって影響されまくった人の盤を10枚、ほんのちょっと無人島にこじつけてご紹介させていただきたいと思います。

Wings 『Wings Wild Life』

まずは無人島ってことで Wings の『ワイルド・ライフ』。ポールマッカートニーの Wings のデビューアルバムです。音質からしてワイルド、Lo-Fi。テープならではの感触で1曲目冒頭から音がひん曲がってます。かっこいい。そこにポールの「Take it!Tony!」(Tony=エンジニア)という掛け声が入るんですが、なんというか明るいと言うか何も考えてないというか、もったいつけずにあっさり始まる感じが僕は大好きです。ビートルズ解散後、またバンドをはじめようと思ったポールのガッツを感じます。録音も3日で済んだとか。「さっさと作って出そ、な!」てとこでしょうか。これ聴くと、レコーディングしてて音質のちょっとした違いとかで悩んでるのがアホらしくなります。このアルバムはビートリーなテイストを求めた当時のメディアからは不評だったそうですが、「Tomorrow」みたいな名曲も「これで文句ないだろう」と言わんばかりに実はちゃっかり入ってるのがポールの凄みだと思います。

Todd Rundgren 『With A Twist...』

トッドラングレンから1枚選ぼうと思って『Something/Anything?』か『Runt: The Ballad Of~』で悩んだんですが、このセルフボッサカバー集を思い出し解決。南国風で無人島にピッタリ!ジャケがどうかと思うぐらいダサいですがここまでくると逆に面白いのでいいと思います(裏ジャケも凄い)。近年のフジロックでのパフォーマンスも話題になりましたがこの人、自ら進んで悪ふざけしてるフシがありますし。でなかったらド天然ですね、どっちかは正直わかりません…。「多幸感」ってワードが音楽の感想によく使われますが、このM5「It Wouldn't Have Made Any Difference」はまさにそんな言葉を使いたくなるアレンジ。これだけのためにでも聴く価値あると思います。オリジナルが名バラードとして最高なわけですがボッサバージョンもいけます。初めて聴いた時はぶったまげました。



The Beach Boys 『Friends』

ブライアン・ウィルソンの曲って時たま綺麗すぎて怖いと言うかひんやりした冷たさを感じる時があって、このアルバムはそんな美しい曲がつまったアルバムだと思います。無人島の暑さも和らげてくれるでしょう。御大ご本人もお気に入りだそうです。僕はM10「Busy Doin' Nothin'」を聴くと、ブライアンという天才狂人にだけ見えているまぶしくて妖しい白昼夢の世界をほんの少しだけ覗き込んじゃったような気持ちになってドキドキしてしまいます。使われている楽器、アンサンブルにも「これじゃなきゃダメ」という必然性みたいなものを感じます。名曲の条件かもしれません。



Teenage Fanclub 『Deep Fried Fanclub』

Teenage Fanclub が大好きなんですが、僕はとりわけ初期がたまらなく好きです。これは1stアルバム時にリリースされたEPの曲群を編集したアイテム。M6「God Knows It's True」とM8「So Far Gone」なんて、なんで正規のアルバムに収録されなかったのか解せないぐらいいい曲です。またどの曲も、得体の知れない勢いと青臭さと死ぬほどいいメロディーと轟音ギター(ジャガー!)がラフな演奏と録音で記録されています。Wings の『Wild Life』もそうだけどバンドが始まってすぐの頃の音ってなんかいいんですよね、こうありたいもんです。カバー曲として、ビートルズの「The Ballad Of John & Yoko」や、ニールヤングの「Don't Cry No Tears」、アレックス・チルトンの「Free Again」、ビート・ハプニングの「Bad Seed」が収録。選曲センスが天才な上に、愛情こめてやりたい放題やった結果こうなった、みたいなノリが最高の仕上がりに。TFC の裏名盤的存在だと思います。



Alex Chilton 『Clichés - Loose shoes tight pussy』

TFC もリスペクトの Alex Chilton。彼が在籍した Big Star もいいんですが、僕はソロになって人の曲のカバーばっかしてた彼の晩年期の音源がとにかく大好きです。シンプルなバンドが出す音の、一つの理想だと勝手に思っています。いつかこんな音作りができたらなと。ギターの響きがとにかく好き。コード感がちゃんと伝わる軽く歪んだ(またはアコギの)カッティングやオブリガートにのったアレックスチルトンのヘロヘロッとした甘い声が明るい曲調の時にもほんのり影を感じさせます。あくまで僕の勝手な妄想ですが、この人は自分の声とギター(+ベース、ドラム)だけでどれだけ歌ものの表現力を高められるか探求している感じがするというか、曲の解釈をコード進行から洗い直して、単純な7thコードからジャジーな響きのするテンションコードまで抑え方含めさんざん試してたんじゃないかって気がします。シンプルで一番「効く」部分を探してたというか。ちなみにこの盤は Two In One のお得盤。「Loose shoes tight pussy」がバンドサウンドで「Clichés」がアコギ弾き語りとなっていて、どちらも最高としかいいようがありません。アコギ弾き語りの方「Clichés」なんか、家で聴いてても無人島で聴いてるみたいな気持ちになれます。

Matthew Sweet 『Girlfriend』

マシュー・スィートの大名盤『ガールフレンド』。ストラトの凶暴さについて改めて考えさせられる一枚でもあります。このアルバム、スタジオでライブ録音、いわゆる一発録りされたものと思いきや、実は綿密な多重録音により割と慎重に制作されたものと後から知ってますます好きになりました。マシューのアイドル的ギタリストであったロバート・クワインとリチャード・ロイドを別々に招いて何テイクも弾いてもらい、それを後から狂喜乱舞しながら聴いて編集作業でいいところを切り貼りして作り上げたという…。音楽オタクの夢、ギター小僧の夢、宅録野郎の夢でしかないですね。クワインとロイドがそれぞれどのパート弾いてるのか考えながら聴くのも楽しいんですが、YouTubeに上がってる当時のライブ映像で彼らの弾いてる姿を拝むのも一興です。僕の場合、後のインタビューとか読む事で、長いこと勝手にクワインの仕事だと思ってたとこがロイドによるものだったりする事が判明したりして色んな驚きがありました。いつまでたっても飽きのこないアルバムです。そういえば、レコーディング中のルールとして「リバーブ禁止」というのがあったそうです 笑。かっこいい!



Prefab Sprout 『Jordan: The Comeback』

リバーブ禁止の対極にあるかのような空間処理がなされているプリファブ・スプラウトの音楽。もちろんプリファブの真髄はリバーブ云々にあるのではなくパディ・マクアルーンの作るメロディ、曲そのものにあるわけで、彼の曲作りに対する執念が世界中の音楽ファンを虜にしていることに敬意しかありません。いわゆる「美メロ」なるものに魅せられて音楽探訪の旅に出た人は一度はプリファブにハマるのではないでしょうか。天才SSWソンドレ・ラルケがプリファブのカバーをしてるのも頷けます。僕がプリファブの曲を好きなとこって、コードが複雑になっても決してAORまでいかないというか、アコギ一本で弾き語れるラインを保ってるところかもしれません。何というか独学で作曲学んだ人のオリジナリティと強さみたいなものを感じるし、めちゃくちゃ高性能な門戸の広いポップソングなんだけど、甘いとか切ないだけじゃない、怒りを内包したロックとして胸に刺さります。現状に満足してる人が作る曲ではない感じ。Elliott Smith や Kings Of Convenience のアコースティックな曲がそこらの音デカいだけの自称パンクバンドよりもよっぽどパンクに聴こえるのと一緒だと思います。



The Flaming Lips 『Clouds Taste Metallic』

この時期の Flaming Lips は本当にヤバい。これの前作にあたる『Transmissions From The Satellite Heart』と同列に大好きです。Flaming Lips が他のバンドと違うところっていっぱいあると思うんですが、スティーブン・ドローズの叩くドラムのカッコ良さはまず挙げられると思います。キックの音量がデカかったりハットやシンバルの入れ方がちょっと普通じゃなかったり。リズムキープとか構わず走り倒す感じとか。そして何より口で歌えるようなキャッチーなドラムフレーズに溢れていて、自分も真似して叩きたくなるところ。これ聴いて僕はドラマーでも何でもないのに近所の練習スタジオ個人練枠電話予約してドラム叩きに行った事あります。もちろん全然叩けませんでしたが。あとギターの高域のアルペジオがそう連想させるのかもしれないんですが、どの曲にもビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』の1曲目<「素敵じゃないか」感>みたいなのがある気がしていて、アルバム1枚使ってあの曲の泣き笑いハッピーサッド、叶う事のない未来の幸せを祝福してると同時に絶望してるみたいなわけわかんないけどグッときてしまう瞬間を作り出してる感じがします。このアルバムはギターのロナルドさんが参加してる最後のアルバムになるんですが、ギターバンドの可能性を更新した一枚だと思います。ノイズがアンサンブルに溶け込んでててホント気持ちいい。



Prince 『Sign Of The Times HDニューマスター版』

Prince はアルバムだと迷っちゃって選べなかったのでこのライブ映画を。3万回ぐらい見ました。メンバー全員が鼓笛隊となって登場する一曲目の「Sign Of The Times」からもう度肝をぬかれまくりです。怒濤のセットリストは同名最高アルバムからの曲中心で、1曲1曲ビジュアルがめちゃくちゃ凝っていて何度見ても至福。曲によっては何テイクも当て振りで撮影されたそうで、完璧を目指したからこその手段であったことが想像されます。(ちなみにボツになったテイクを集めた海賊版DVDも見ましたが、正規版の映像に慣れきっていた目にNGシーンの数々はなかなか衝撃的で興味深かったです。しかも結構淡々とやってるという…)とにかく20代のプリンスの曲はメロディックでほんと名曲だらけで、この『Sign Of The Times』の直前の時期にあたる Prince & The Revolution 名義での曲群もそれはもう素晴らしく、YouTube で「Pop Life」の演奏なんか見つけようもんなら繰り返しエンドレスで味わってしまうこと必至です。



Ben Folds Five 『Ben Folds Five』

ピアニストに憧れるギタリストってかなりいると思うんですがご多分にもれず自分もそのクチで、じゃあ練習して弾けるようになればいいじゃんとか思うかもしれませんが怠け者体質なものでなかなかそうもいきません…。ギターで事足りちゃうもんだからなおさらってのもあります。でもやっぱりベンフォールズのピアノって、こういうピアノ弾けたらいいのになっていうフレーズのオンパレードでホントたまらんですね。歌メロと同等にピアノが歌いまくってる感じがします。無人島だったら時間あるから聴きながら練習めっちゃしたら少しは弾けるようになるかな?Bsロバート&Drダレンの絶妙なコーラスもツボだったり(仕事量多い)歪ませたピック弾きベースの音も大好きだったりで、飽きるほど聴いた1枚です。2012年に出た『The Sound Of The Life Of The Mind』も良くって嬉しかったです。



無人島 〜俺の10枚〜 とは

音楽好きには、超定番の企画「無人島 〜俺の10枚〜」。なんとも潔いタイトルで、内容もそのまんま、無人島に持って行きたいCDを10枚チョイスしてもらい、それぞれの作品に込められた思い入れを思いっきり語ってもらう。ミュージシャンとしてルーツとなるもの、人生を変えた一枚、甘い記憶がよみがえる一枚、チョイスの理由にはそれぞれのアーティストごとに千差万別だ。

「無人島 〜俺の10枚〜」過去のアーカイブはこちら



作品情報


The Recreations
『Swing Together EP』
1月10日(水)発売
¥1,200+税

<収録曲>
01. Swing Together
02. Someday I Will
03. Smile Again
04. Hot Summer Days
05. Winter Balloon
06. Tell Me

The Recreations(ザ・レクリエーションズ)プロフィール

The Beatles、Wings、The Beach Boys、Todd Rundgren、XTC、Prefab Sprout、Prince、Burt Bacharach など数多あるPOPレジェンドと、Teenage Fanclub や Dinosaur Jr、Flaming Lips といった英米オルタナバンドを敬愛する南葉洋平のソロプロジェクトとして2014年にスタート。2015年頃から、作詞作曲と全ての楽器演奏をセルフプロデュースで行い、楽曲をサウンドクラウドに発表。メロディーの良さと、振り幅の広いソングライティングが耳の早いPOP愛好家の間で支持され話題となる。

2016年、同サウンドクラウドで「Swing Together」(本EP収録)を耳にしたアメリカ人ソングライター、スコット・マクファーソン(Prefab Sprout のトリビュートバンドとして知られる Sproutless や、Pop4などの中心メンバー)のラブコールを受け、彼のソロプロジェクト Tiny Volcano のニューアルバム収録となる曲を共作。(2018年米でリリース予定)
同2016年、米POPマニアによる人気ネットラジオ番組 <Pure Pop Radio>でも「Swing Together」「Smile Again」などの曲が、Jelly Fish、Burt Bacharach などを引き合いに幾度も取り上げられる。
2017年8月よりバンド編成でのライブ活動を開始すると共に自らのレーベル、ザクロレコーズより1stEP『Swing Together EP』をリリース。Holiday!Records で先行発売され、ヒット作となる。



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