【インタビュー】ELVENKING

2017年12月25日 (月) 21:00

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イタリアのペイガン/フォーク・メタラー、ELVENKINGが'14年作『THE PAGAN MANIFESTO』に続く、ファン待望のニュー・アルバムをリリース! 『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』とタイトルされた同作は、オリジナル・スタジオ・アルバムとしては通算9枚目で、ドラマーを交代しての第1弾作となる。見事に原点回帰を果たした『THE PAGAN MANIFESTO』の路線を引き継ぎながらも、フォーキーなパートはよりフォーキーに、メロディアスなパートはよりメロディアスに、アグレッシヴなパートはよりアグレッシヴに──そして、壮大なるオーケストレーションを随所に配し、さらなる飛躍と進化を遂げた『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』について、今や唯一のオリジナル・メンバーとなったギタリストのエイダンに、たっぷりと語ってもらった…!

――'16年秋に初来日公演を行ないましたが、振り返ってみていかがでしたか?

エイダン:素晴らしい体験だったよ! 俺達みんな、日本に行くのはあの時が初めてでさ。バンドとしてだけでなく、個人的に誰も行ったことがなかったんだ。だから音楽的にも、また文化的な面でも、本当にあらゆる面で信じられないほど良い経験をさせてもらった。日本はとても魅力的な国だ。みんなとても親切にしてくれたし、俺達が慣れ親しんでいる(イタリア/ヨーロッパの)文化とはかなり違っている。ライヴでのオーディエンスの反応も最高だったよ。日本にELVENKINGのファンがどれぐらいいるのかどうかさえ知らなかったのに、ライヴに来てくれたみんなは俺達のショウを大いに楽しんでくれたようだった。ファンと交流したり、話したりする機会も沢山あって、その度に驚かされたし、みんな俺達の音楽の真価を認めてくれているということが分かって嬉しかったな。

――今年に入ってドラマーがチェンジしましたが、サイモンはどうして脱退したのでしょう?

エイダン:サイモンは、俺がこれまでに出会った中でも最高のドラマーのひとりだと言える。きっと、イタリアは勿論のこと、ヨーロッパでも屈指のドラマーと言えるんじゃないかな。ただ、彼は自分の技を見せることに一生懸命になることが多くて…。俺達はバンドをひとつのマシーンとして捉えている。つまり、メンバーはみんなそのマシーンの一部であり、それぞれが役割を持っているんだから、自分の力を殊さらに誇示したり、個人技に走ってしまうことなく、ちゃんとバンドとして機能するよう、みんなで共通の目的を持たなきゃならないのさ。だから、俺達がやっている音楽にもっと興味を持ってくれるドラマーを探すことにした。自分のドラミングのためにスペースを設けたりすることなく、シンプルなプレイを心掛けてくれるドラマーを見つけようと…ね。そして、新しいドラマーとしてランクスを見つけたんだけど、彼は人間的にも素晴らしいし、当然ドラマーとしても最高だけど──単にそれだけじゃなく、このバンドの音楽によりフィットしたプレイが出来る…というのが重要なんだよ。

――そのランクスはHELL IN THE CLUBのメンバーですが、身近にいた仲間だから迎えたというのもありましたか?

エイダン:ああ。確かにランクスは、HELL IN THE CLUBでシンガーのダムナと一緒にやっているよ。でも、時間的な制約もあったんだ。俺達がドラマーを替えることにしたのは、ヨーロッパ・ツアーが始まるほんの2〜3週間ほど前のことだったから、とにかく時間がなかった。数日間で曲を覚え、問題なくプレイ出来る人材が必要だったのさ。それにはランクスがまさに打って付けだったよ。彼のことはよく知っていたからね。ただ当初は、来たるべきツアーに向け、ライヴ・メンバーとして起用するだけのつもりだった。ところが、ツアー・バスで一緒に長い時間を過ごしたり、ショウをコナしていく中で、彼がいかにこのバンドに合っているかが分かってきて──だったら、パーマネントなメンバーとして正式に加入してもらった方が、バンドにとって良いという結論に到ったのさ。

――新作『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』の曲作りを始めたのはいつでしたか?

エイダン:全行程に要した期間は1年ぐらいだったと思う。前作『PAGAN MANIFESTO』('14)からは、ほぼ3年半も空いてしまったけど、それってこれまでのキャリアの中でも最長だ。『PAGAN MANIFESTO』で、俺達はこれぞという“自分達のサウンド”を遂に見つけ、決定的なアルバムという境地に達することが出来た。ファンやプレス、評論家などからのウケも凄く良かったしね。でも…それで、新しいアルバムの曲作りに取り組むのがちょっと怖くなってしまったんだ。まだ新作の曲作りをする準備は出来ていない…と、ずっと感じていたのさ。  ただ、そうこうしているうちに、そろそろ新曲を書いて様子を見ても大丈夫なんじゃないか…と思えるようになり、実際に1〜2曲書いてみたら、自信を持てるようになった。自分達が正しい方向に進んでいると、ようやく感じられるようになったんだよ。そうして、それから1年ほど曲作りやデモ制作といったプリ・プロダクションを行ない、その一方でどんどん新曲を書いては、それらの曲がアルバムに収録するに相応しい出来かどうかを検討し、場合によっては書き直したりもしていた。当時は、自分達の作品に関して、何というか──とても自己批判的になっていてね。

 俺達が作りたかったのは、単に聴き易い曲が入った標準的なアルバムではなく、もっと壮大でエピックなモノだった。だから新作は、1〜2回聴いただけですぐに気に入ってもらえるような、聴き易いアルバムではないかもしれない。聴いたらすぐに好きになるようなシングルも入っていないしね。このアルバムを完全に把握するには、少なくとも4〜5回は聴かなきゃいけないだろう。要は、それだけ内容が深く混み入っていて、理解するのに時間が掛かる類のアルバムだということ。ただその代わり、3〜4回も聴いたらすぐに飽きられたりはしないので、ある意味で息の長いアルバムになるんじゃないかな。

――作曲クレジットを見ると、[Damna/Aydan]に加えて、ラファエル(g)の名前も見られますが、いつも曲作りはどのようにして行なっているのですか? バンド全員で曲作りを行なうこともあるのでしょうか?

エイダン:正直言って、バンド全員で曲作りを行なった経験はないな。みんなが一斉に曲を持ち寄ると、なかなかウマく対処出来なくなるからね。勿論、そういうやり方に慣れているバンドもいるだろうけど、きっとそういう場合は、リハーサル・ルームで一緒にプレイしながら作っていくんだろうな。でも俺達の場合は、そういった経験は一度もなくてさ。俺とダムナはバンドの初期からメインのソングライターだったんで、自分達だけで曲作りをする方が好きなんだ。曲作りの際、最初に欲しいのは強固な歌メロで、大抵の場合、リフやもっとメタル的なパートはあとから作ることが多い。だからいつも、まずは力強いヴォーカルが入ったコーラスやヴァースを作ることから始めるよ。

 最初の段階では、アコースティック・ギターとヴォーカルだけで、充分に良いと思えるメロディ・ラインを見つけ、それを元にドラムのパターンなど全体のストラクチャーを構築していくのさ。つまり、俺達にとって重要なのは歌メロとサビなんだ。それは、バンド全員でプレイしながら作っていくようなモノじゃない。そうではなく、じっくり腰を据えて、集中し、正しい方向性と適切なメロディを見つけていく必要がある。これぞというラインを2つ3つ見つけるだけのために、かなりの時間を費やすこともあるしね。勿論、時にはすぐに良いアイディアを思い付くこともあるけど──いずれにしても、バンド全員でプレイしながら曲作りを進めるよりも、その方が俺達はウマくいくんだ。

――曲作りの時点でアルバムの方向性やサウンドの傾向は見えていましたか? それとも、特に何も計画せず、ただ曲をどんどん書いていっただけですか?

エイダン:今回このバンドで初めて計画を立てたよ。これまでのアルバムを振り返って見ると、たとえ前作がとてもウマくいったとしても、次のアルバムはそれとは違うものにする…と、俺達はアルバム制作の度に毎回違うモノを目指してきた。ビジネス的な観点から見れば、このバンドは最悪かもしれない(笑)。だって、せっかくファンに好評を博したアルバムがあっても、次に作るのは全く違うモノになるから、常にファンは驚いてばかりいたのさ。でも、『THE PAGAN MANIFESTO』はあまりに出来が良かったから、初めて「次もこの路線に沿ったアルバムを作る必要がある」と思った。要するに、今回はそれが“当初の計画”だったんだね。

 ただ──結局のところ、そうはいかなかった。というのも、このアルバムは前作の延長線上にあるとは言いつつも、やっぱりちょっと違っていて、もう少しダークなフィーリングが込められているし、不可思議で不気味だったりもして、より壮大でエピックな仕上がりになってもいるからね。だから、前作のコピーではない。俺達は単に自らをコピーすることなんて出来なかったのさ。きっと、そうはしたくなかったんだろうな。そんなワケで、今回のアルバムはより不気味で、謎めいていて、とてもディープで興味深い仕上がりになっているんじゃないかな。

――前作『THE PAGAN MANIFESTO』については、以前に“原点回帰したアルバム”とおっしゃっていましたよね? その“原点”を意識してアルバム制作を行なったということは?

エイダン:そうだね。ここ数作を手掛ける中で、俺は個人的に、ある意味ちょっと“道に迷ってしまった”と感じるようになっていた。音楽的な実験を色々とやっていく中で、当初からのコンセプトや、本来の音楽的ルーツ、独特な歌詞世界、ヴィジュアル・コンセプトなどを見失ったような気がしてね…。アルバム毎にサウンドを変化させていった結果──何枚もそういうことをやっていると、時の経過と共に、ファースト・アルバム('01年『HEATHENREEL』)にあった自分達独自のやり方が失われてしまっていたのさ。だから、夢を抱いてバンドを結成した当初のサウンドや、このバンド独自のコンセプトを取り戻したいと思い、『THE PAGAN MANIFESTO』で原点やルーツに立ち戻り、その手のサウンドを再構築したというワケだ。実際のところ、新作『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』は『THE PAGAN MANIFESTO』の延長線上にあると言える。でも、今回のアルバムの方がより壮大でエピックだよね。つまり新作は、『THE PAGAN MANIFESTO』で取り戻した“原点”をさらに高いレヴェルへと押し上げ、よりエクストリームな仕上がりになっていると言えると思う。

――『SECRETS OF THE MAGICK GRIMOIRE』はコンセプト・アルバムですか? 魔術や魔法がテーマなのでしょうか?

エイダン:一貫したストーリーがある本格的なコンセプト・アルバムではないけど、どの曲も互いに関係し合っていて、それぞれにつながりがある。“grimoire”とは黒魔術の手引き書のことだ。そこには、魔法の呪文や民間伝承について書かれてある。だから、収録曲はそれぞれその手の書物の1ページを意味しているんだよ。ひとつの物語が綴られているワケではないものの、個々の楽曲には共通のテーマがあり、どれもつながっているのさ。

――今作もDGMのギタリスト、シモーネ・ムラローニがレコーディング・エンジニアを務めていますが、ブックレットを見ると、“The Demonic "Secrets Of The Magick Grimoire" were Invoked, Summined and Gathered by Aydan, Damna and Simone Mularoni”とあります。この一文は何を意味するのでしょう?

エイダン:彼はアルバムのプロデューサーのような役割も兼ねていてね。実際に曲作りなどで貢献したワケじゃないけど──彼はDGMのギタリストで、非常に有能なプロデューサーでもあるから、スタジオでのサウンド作り以外にも、俺達がレコーディングしている最中に、「こういうやり方も出来るよ」という風に、色々なアイディアを提供してくれたんだよ。彼は本当に耳がイイ。素晴らしいプロデューサーであり、友達でもある。だから、俺達は彼の仕事を完全に信頼していたし、実際に素晴らしい仕事をしてくれた。この数年のうちに、きっと彼は最も偉大なプロデューサーのひとりになるだろう。勿論、今でも既に有能なプロデューサーだけど、この分野でさらにもっと名を馳せるようになるハズさ!


――レコーディングには、そのシモーネの他にも、イヴァン・モニ・ビディンやクリストフェル・ブレッリが関わっていて、ヴァイオリンやコーラスの録りは後者2人が担当し、ヴォーカル録りはあなたが行なったようですね? そうしてパートごとにスタジオやエンジニアを変えて作業を行なった理由は?

エイダン:それぞれ最適な時期に作業を行ないたかったからだ。特にヴォーカルに関しては、1週間スタジオを借りて、一気に全て録るなんてことはしたくなかった。ヴォーカルをレコーディングするのにちょうどよい時を見計らう必要があるからね。例えば、「今日の調子はどう?」「なかなかイイ感じだ」「そしてら、1曲レコーディングしてみる?」「よし、やってみようぜ」…というような感じで、じっくり時間を掛けてヴォーカル録りを行なったんだよ。近所のスタジオに行って、じっくり試してみて、調子が良ければその時レコーディングしたモノを使い、今イチだったらまた翌日出直して録り直す…といった具合さ。

 そうして、アルバムのどのパートに関しても、完璧なテイクが録れるまで、時間を掛けてレコーディングしていったんだ。パート毎にスタジオや場所や時期などを変えて作業を行なったのも、同じ理由だよ。ドラムとギターとベースに関しては、シモーネがレコーディングを担当し、一気に録ったし、ヴァイオリンやヴォーカルなど、アコースティカルなパートに関しては、もう少しフィーリングや解釈が必要だと思ったから、ゆっくり時間を掛け、調子がイイ時にレコーディングした。

――イヴァン・モニ・ビディンはアレンジ面でも深く関わっているようですね?

エイダン:さっきも言った通り、今回はこれまでとは違うやり方で作業を進めた。以前は、まずさっさとデモを作り、その後みんなでリハーサルを行ない、様子を見つつ曲をレコーディングしていっていたんだけど、今回はじっくり時間を掛け、正確なプリ・プロダクションを行なったからね。だから、デモの段階で既に曲のアレンジはどれも完璧に仕上がっていた。そして、この作業をイヴァンと共にやったから、彼はアレンジでも全面的に貢献しているのさ。俺達はアレンジをしながら、同時にプリ・プロダクション用のトラックも録ろうとしていたから、彼の提案は大歓迎だった。

 例えば、俺達が何か試していると、「ここのパートは少し長過ぎるから、カットした方がイイ」「ここでもまた同じことをやっているのかい?」…なんて風にね。そんな感じで、今回プリ・プロダクションは全て彼が担当したワケだけど、こんなに正確で、何もかもアレンジが完成された状態まで仕上げたことは、これまでに一度もなかったよ。おかげで、それぞれの楽曲をどんなサウンドにすべきか、事前に明確なアイディアが全て固まっていて、すんなりとレコーディングに入ることが出来たんだ。

――BAL-SAGOTHのジョニー・マードリングがオーケストラル・アレンジを手掛けているのにも驚きました。彼とのコラボはどのようにして実現したのですか?

エイダン:俺もダムナもBAL-SAGOTHの大ファンで、彼等のアルバムが大好きでね。でも、それだけじゃない。真の理由は、MY DYING BRIDEの『EVINTA』('11)というアルバムにあるんだ。これは、MY DYING BRIDEの過去曲をピアノとオーケストレーションだけで再アレンジしている作品で、その作業を行なったのがジョニーだったのさ。あのアルバムを聴いて、「実に素晴らしい!」と思ったよ。内省的で、とてもロマンティックな仕上がりだから、正直言って、メタル・ファンにはあまり好かれないアルバムなんだけど、俺はこのアルバムが大好きて、ピアノとオーケストラのアレンジをとても気に入っていた。だから、次にELVENKINGのアルバムを作る時は、1曲でも2曲でもイイから、何としてもジョニーにオーケストラル・アレンジをやってもらいたいと思っていたんだ。

 俺がこのバンドの音楽に採り入れたいと思っていたフィーリングを、彼は山ほど持っている。それは彼ならではのロマンティシズムといったモノで、そんな彼が手掛けたオーケストレーションが加われば、よりロマンティックな仕上がりになるという確信があったのさ。そこでジョニーに連絡を取り、1〜2曲だけでもイイから、興味を持ってもらえないか…と訊いてみたら、快く引き受けてくれて──それどころか、1曲だけにとどまらず、アルバムのオーケストレーションの大半を手掛けてくれたんだよ。結果は言うまでもなく、とにかく最高だったね!

――オーケストラル・アレンジはもうひとり、元SECRET SPHEREのアントニオ・アガテも関わっていますね?

エイダン:アントニオは、前作でもオーケストラのアレンジを手掛けてくれていたから、今回も何曲か彼に頼むのは当然のことだったよ。さっき言ったように、当初はジョニーに1〜2曲だけオーケストレーションを頼むつもりだった。ところが、彼はそれ以上やってくれたから、アントニオには残りのうち2曲のアレンジをお願いしたんだ。彼もまた最高のアレンジャーであり、素晴らしいキーボード奏者だね。

――グロウル・パートを担当したWITCHERYのシンガー、アングストことアングス・ノルデールのゲスト参加のキッカケも教えてください。

エイダン:新作には非常に力強いグロウル・ヴォーカルが必要だと感じていた。そこで、デス・メタル系の強烈にアグレッシヴなヴォーカルを起用しようということになったんだけど、俺達は有名なシンガーをゲストとして呼ぶことには興味がなかったんだ。でも、ツアー中にWITCHERYのアルバムを手に入れたダムナが、「おい、この新しいシンガーは驚くほど凄いグロウル・ヴォイスを持っているよ」と言うから聴いてみたら、「本当に凄い!」と驚き、「ニュー・アルバムでグロウルのパートを歌ってもらえないかどうか、連絡して訊いてみよう」ということいなったのさ。彼のグロウルは正に完璧で、とてつもなくアグレッシヴで、これこそ俺達が探し求めていた“声”だったよ。

――女性シンガーのエリザベッタ・フルラネットは?

エイダン:彼女は地元の友達でね。有名なバンドに参加したこともなければ、メタル・バンドに参加したことすらないけど、素晴らしいシンガーだから声を掛けた。実際、彼女の声もまさに打って付けだったよ。

――「At The Court Of The Wild Hunt」にはスノーウィ・ショウが客演していますが、冒頭でダムナと一緒に歌っているのがそうですか? あと、終盤のチャントでも彼の声が聴けるような気がしますが…?

エイダン:彼が歌っているのは、冒頭と中盤のアコースティック・パートだ。それらのパートには違う声が必要だったからね。特にイントロにはマジカルな歌い手が必要だった。残りは全てダムナが歌っているよ。スノーウィもまた、俺達にとって長年お気に入りのミュージシャンでさ。思うに彼は、世界でも指折りのドラマーのひとりというだけでなく、素晴らしいシンガーでもあり、素晴らしいギタリストやベーシストでもある。それに、KING DIAMONDやMERCYFUL FATE、DREAM EVIL、SABATON、DIMMU BORGIRなど、様々なバンドでプレイしていたし、THERIONでは見事なヴォーカルも聴かせてくれた。メタル界広しといえども、彼ぐらい完璧に何もかも兼ね備えたミュージシャンはいないんじゃない? そこで参加を依頼してみたところ、有り難いことに引き受けてくれたんだ。本当に素晴らしい仕事をしてくれたよ。俺達のアルバムに彼を迎えることが出来て、本当に光栄に思うな。

――あと、ホイッスル担当のデイヴ・ブリッグスは、'08年作『TWO TRAGEDY POET』以来の起用ですね?

エイダン:デイヴとは仲のイイ友達だし、今回フォークロア系のアコースティック楽器やパーカッションが必要だったから、声を掛けたんだよ。彼はその手の楽器のエキスパートだし、何より俺達のファンだからさ。確かにここ何年も、彼は俺達のアルバムに参加していなかったけど、このアルバムには本当に必要だったんだ。そこで頼んでみたら、大いに乗り気でね。彼のおかげで、曲がとても良くなったと思う。

――ところで、今回アルバムのリリースに先駆けて、「Draugen's Maelstrom」「The Horned Ghost And The Sorcerer」「Invoking The Woodland Spirit」と、先行で3曲もシングルとして公開しましたね? これは以前にはなかったことですが…?

エイダン:ここ数年で音楽業界の状況は様変わりした。アルバムがリリースされるや否や、Spotifyなどの音楽配信を利用すれば、インターネットを通じてすぐに曲を手に入れることが出来るから、最早リスナーはアルバムの発売を心待ちにすることがなくなってしまったんだ。だから今では、アルバムをリリースする前に、リスナーが納得するようなモノを世に出す必要がある。そこで、今回のアルバムがどんな感じなのか、お試しという意味でも、これらの3曲を先行で公開したというワケさ。このアルバムには、色々と異なる楽曲が収録されているぞ…と知ってもらうためにね。速い曲、フォーキーな曲、アコースティック寄りの曲…という風に、アルバムの中から違うタイプの曲を選んで、シングルとして発表することで、興味深いアルバムで、チェックする必要があると分かってもらいたかったんだ。そうすれば、アルバムを買ってくれるかもしれないだろ?

 メンバーのみんなとも、今の音楽シーンについて話し合ったんだけど、本当に状況がすっかり変わってしまった。かつてはみんな、外にアルバムを買いに出掛けていたのに、今ではSpotifyで1〜2曲聴くだけで、俺が'90年代にやっていたように、じっくり腰を据えてブックレットを見たり、歌詞を読んだりしながら、アルバムを最初から最後まで聴く人はあまりいないようだ。でも俺達としては、リスナーのみんながまた以前のような聴き方をするようになればイイのに…と思っていてね。無論、それが難しいということはよく分かっているよ。若い世代は、ストリーミング配信を使って音楽を聴くことに慣れきってしまい、アルバムを1枚丸ごとじっくり聴く時間も、その意志も持ち併せていない。せいぜい1〜2曲聴いて、それでおしまいだ。俺としては、昔ながらの方法で音楽を聴く情熱を持っている人達が、今でもいると信じたいんだけどさ…。

――では最後に、今後のツアー予定を教えてください。

エイダン:ちょうど南米から戻って来たところなんだけど、次は('17年)12月のイタリア・ツアーで、その後も、イギリス、スペイン、オーストリアなどヨーロッパで行なわれる冬のフェスティヴァルに幾つか出演する予定だ。そしてそのあとは、多分ヘッドライニング・ツアーを行なうことになるんじゃないかな。

――再来日公演も楽しみにしています。

エイダン:実は、また来日して欲しいという要請があって、既にプロモーターと話をしているところなんだ。最も可能性が高いのは、ヨーロッパでの('18年の)サマー・フェスが終わってから…かな? 現時点ではまだ何も決まっていないものの、'18年の夏の終わりから秋頃に掛けて、また日本に行けるかもしれないな。まぁ、今後の状況次第でどうなるのかまだ分からないけど、さっきも言ったように、日本では本当に素晴らしい経験をしたから、可能な限り早くまた日本をツアーしたいと思っているよ!

取材・文:奥村裕司




日本盤 2枚組

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Elvenking

価格(税込) : ¥3,024

会員価格(税込) : ¥2,782

まとめ買い価格(税込) : ¥2,570

発売日: 2017年12月29日

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