【インタビュー】ENSIFERUM / Sami Hinkka

2017年10月02日 (月) 23:00

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ローチケHMV - ヘヴィーメタル


フィンランドのヴァイキング・メタラー、ENSIFERUMが待望のニュー・アルバムをリリース!『TWO PATHS』とタイトルされたこの新作は、前作『ONE MAN ARMY』('15)に続く通算7枚目で、昨年、鍵盤奏者がエンミ・シルヴェンノイネンからネッタ・スコグに交代して初のアルバムとなる。ネッタとは──そう、かつてTURISASに在籍していたアコーディオン奏者だ。当初、ツアー・メンバーとして起用された彼女は、程なく正式メンバーに昇格。デジタル・アコーディオンを駆使した演奏で、『TWO PATHS』に新たな風を送り込んでいる。今回、インタビューに応じてくれたのは、ベーシストのサミ・ヒンカ。彼にはそのメンバー・チェンジについて、また勿論、ニュー・アルバムについても、大いに語りまくってもらった…!

──まずは新作について訊く前に、メンバー・チェンジのことから話してください。昨年春にエンミ・シルヴェンノイネンが脱退しましたが、これは以前から言われていたように、家庭の事情に拠るものだったのでしょうか?

サミ・ヒンカ:確かにエンミには、個人的な理由や家庭の事情があって、前作『ONE MAN ARMY』がリリースされた際、既にツアーには参加出来ないということだった。それで、ネッタに代役を頼んだのさ。俺が彼女と知り合ったのは'08年のことだったから、もうかれこれ10年来の付き合いになる。それに、ネッタは『ONE MAN ARMY』でゲスト・ヴォーカルも務めていたんだよ。ネッタはデジタル・アコーディオンを弾いているけど、それってインターフェイスが通常のキーボードではなく、アコーディオンだというだけで殆ど変わりないし、実際のところ、彼女はエンミがプレイしていたモノはどれも弾きコナせる。というか、彼女が優秀なミュージシャンだというのはよく分かっていたから、それで声を掛けてみたところ、引き受けてくれたんだ。

 ネッタは当初、ツアー・サポート・メンバーとして起用されたワケだけど、その後エンミが「きっと、私が身を引くのが一番イイんじゃない?」と言い出したため、その後任として迎えられた。そこに何か劇的な出来事があったということではない。俺達がエンミの後任として考えていたのは、唯一ネッタだけだったし、彼女とは既にツアーを一緒に廻っていたので、「正式メンバーにならないか?」と言ったら、すぐに承知してくれたのさ。本当に簡単に決まった。人生には変化が付きモノだし、みんな前に進んで行かなきゃならないからね。それに、ツアー・バンドである限り、やはり全員がツアーのためにスケジュールを開けておく必要がある。そうじゃないと、みんなが公平でなくなり、ウマくいかなくなるよ。でも、みんなエンミとは今でも良い友達だし、以前に在籍した他のメンバーとも、俺達は未だに友達なんだ。ともあれ、ネッタはとても気さくで、素晴らしいミュージシャンだ。そんな感じで、メンバー・チェンジは非常にスムーズに行なわれたよ。

──バンドとしては、ギリギリまでエンミの残留を願っていたのですか?

サミ・ヒンカ:ああ勿論、エンミの残留を願っていたよ。しかし、結局エンミは脱退することになり、ネッタに加入を持ち掛けたら、彼女はちょっと驚いていたな。何故なら、自分が単なるツアーのための代役だと思っていたからさ。それに、ネッタがツアーに参加している間も、エンミは何とかスケジュールを調節して、フェスティヴァルには何度か出演することが出来たからね。そうして、俺達としては彼女が戻って来ることを期待していたけど、結局そうはならなかった。まぁ、人生なんてそんなモノだよ…。

──あなたが最初にネッタと知り合ったのは'08年だったとのことですが、それは彼女がまだTURISASに在籍していた頃ですよね?

サミ・ヒンカ:そう。彼女は当時TURISASにいて、ENSIFERUMと一緒に北米ツアーを行なっていたんだ。というか、TURISASに加入してからまだそんなに経っていなかったな。当時まだ、彼女はかなり若かったよ。その時、エンミとも仲良くなって、以来2人はとても親しくしていた。それってクールだよね。

──ネッタは'11年にTURISASを脱退しますが、その後の活動状況は、少なくともここ日本にはあまり詳しく伝わってきませんでした。ENSIFERUMに加わる前、彼女がどんな活動をしていたのかご存知ですか? しばらくメタルから遠ざかっていたのでしょうか?

SH:確かに、TURISAS脱退以降、ネッタはメタル・シーンから──中でも特にフォーク・メタルのシーンから、しばらく遠離っていたようだ。でも、プロのミュージシャンとして、忙しく活動していたんだよ。というか、ENSIFERUMに加入した今でも、彼女はソロ活動を行なっている。ソロのショウでは、アコーディオンを弾きながら、歌も唄うんだ。あと、他のバンドのライヴにもしょっちゅうゲストとして呼ばれていて、つい先日も、ENSIFERUMが週末にドイツでプレイした際、彼女はショウが終わったらすぐに、他のバンドとプレイするため、空港へ直行していたよ。

──そもそもネッタのどんなところが気に入って、正式メンバーとして迎えたのでしょうか?

サミ・ヒンカ:俺達としては、ライヴで一緒にプレイしているのに、彼女がフルタイムのメンバーじゃないというのは変な気がしたし、それ以前に、このまま4人だけでバンドを続けるのも、何だかしっくりこなくてさ。このバンドにはごく初期からキーボード奏者がいて、だから…何と言うか、ネッタを正式メンバーにするのは、本当にごく当たり前のことに思えたんだよ。ライヴの時だけ誰かを雇って、それ以外の時は4人編成のままバンドを続けるなんてことは考えもしなかった。それに、単なるライヴ要員だったら、きっと誰もバンドに全力で取り組もうとはしないだろう。でも、全員が正式メンバーで平等であれば、みんながバンドに力を注ぐことが出来ると思ったのさ。

──ところで、新作はMetal Bladeからの第2弾アルバムとなりますが、そもそもMetal Bladeとはどんな経緯で契約を交わすことになったのですか?

サミ・ヒンカ:『ONE MAN ARMY』の制作を開始する前に、それまで所属していたSpinefarm Recordsとの契約が切れたんだ。Spinefarmとは長い付き合いで、未だに彼等とは仲良くしているけど、レーベルがUniversal Music Groupの一員になり、会社の組織が色々と変わったのもあって、レーベルを移籍するのもイイかもしれないと思ってね。Metal Bladeについては、TYRやAMON AMARTHといったバンド仲間から、沢山よい噂を耳にしていたから、オファーがあった時、伝説的なレーベルだし、大いに興味を持ったよ。ただ、俺達にとっては、書類上のことよりも、レーベルの人達との相性の方が遙かに大事なんで、実際にスタッフと会ってみて、このレーベルなら俺達の後押しをしてくれる、俺達のことやこのバンドの音楽を大切にしてくれると感じたんで、契約することになった。今はMetal Bladeに移籍して大いに満足しているよ。

 Metal Bladeの本社はアメリカのLAにあるから、フィンランドとはかなりの時差があるし、最初その点が気になったのも事実だ。Spinefarm Recordsのオフィスはヘルシンキのど真ん中にあって、いつでも訪れることが出来たし、直接スタッフと顔を突き合わせて話すことも可能だったんでね。その点では、Metal Bladeは別の大陸にあるから、ちょっと不安だったさ。でも、結果的にそれは杞憂に終わったよ。というのも、彼等に何か訊きたいことがある時は、Eメールを送ったり、電話をかければイイんだし、実際、何でも早急に対応してくれるんだ。それに、Metal Bladeはドイツやイギリスにもオフィスがあって、ドイツだったら(フィンランドとの)時差はたった1時間しかない。だから、今では全てがウマくいっているよ。レーベルのスタッフが、いつもみんな熱心に新しいアルバムに取り組んでくれている点も、大いに気に入っているしね。


──Spinefarmといえば、'16年にベスト『TWO DECADES OF GREATEST SWORD HITS』がリリースされました。このアルバムのリリースや選曲などにバンドは関わっていますか?

サミ・ヒンカ:ああ、勿論さ。さっきも言ったように、Spinefarm Recordsとの関係はとても良好なんでね。バンドがレーベルを移籍した場合、前のレーベルがベスト盤のようなアイテムをリリースするのはよくあることで、音楽業界では何も目新しいことじゃない。でも、Spinefarmの良い点は、俺達に選曲を完全に任せてくれたことだ。それにブックレットには、マルクスとその前任シンガーのヤリ(・マエンパー:現WINTERSUN)が書いた各曲についての解説も掲載されているんだよ。それって素晴らしいよ。というワケで、俺達はあのベストに大いに関わっている。ベスト盤をリリースするということ自体は、Spinefarmが思い付いたアイディアで、俺達が考えたのではなかったけど、ある意味で彼等を手助けすることが出来て、それも本当に良かったよ。

──『TWO PATHS』の曲作りを開始したのはいつですか? ツアー中も曲作りは行なっていましたか?

サミ・ヒンカ:ツアー中に曲作りは行なわなかった。何度か書こうとしたけど、何故か俺達にはそういうやり方が向いていないようだ。というのも、曲作りやアレンジを行なう際、俺達はバンド・メンバー全員が同じ部屋に集まるようにしている。しかし、ツアーの最中にそれをやるのは非常に難しい。だって、俺達はMETALLICA(のようなビッグネーム)じゃないから、単にジャムをやるためだけに、ツアー中にわざわざ機材が全て揃った部屋を借りるワケにはいかないんでね(苦笑)。勿論ツアーの合間も、可能な限りみんなリハーサル・ルームで過ごしてはいるよ。俺達の曲作りのプロセスは、まず誰かがリフやメロディなどのアイディアをリハーサル・ルームへ持ち込み、それをみんなで一緒にアレンジしたり、また別のアイディアを加えていき、最終的に完成させるというモノなんでね。

 だから、時には凄く時間が掛かる。例えば、新作「I Will Never Kneel」で使っている2つのリフのデモを最初に作ったのは7年前だった(笑)。当時はまだ曲として完成していなかったけど、今回ようやく仕上がったから収録したのさ。一方、「King Of Storms」について言えば、俺がコーラスのメロディを思い付いたのは去年の8月で、それから8ヵ月で完成したことになる。そういう意味では、俺達の場合、曲の完成がいつになるか全く分からないんだ。こんなやり方をしていると、典型的なコンセプト・アルバムを作るワケにいかないから、ちょっと残念だよね。俺達は常に、ラフなアイディアを山ほど温めている。でも、アルバムの〆切に合わせて、それらのアイディアを曲として無理やり完成させるなんて不可能だよ。いつ曲が仕上がるのか──それは、全てその曲次第だからな(笑)。

 実際、2〜3週間集中して、全曲を一気に完成させるというようなやり方は、俺達には向いていない。だって、いつインスピレーションが湧くかなんて分からないからね。時には、その曲をどうやって完成させたらイイのか、1ヵ月ぐらい何もアイディアが浮かばなくて行き詰まり、欲求不満に陥ることもある。ただ、何かほんの小さなキッカケでウマくいくこともあるんだ。「King Of Storms」がその好例だった。この曲は、たったひとつのコーラス・パートから始まり、俺がそれを録音してデモを作り、みんなに送ったところ、「クールなメロディだから、ここから曲に発展させよう」ということになったものの、しばらくまるで進展がなくて…。ところが2〜3週間ほどして、ドラマーのヤンネ(・パルヴィアイネン)がリハーサル・ルームにやって来て、「もっとスピードをグッと速めたらどうだい?」と言って、実際にそうやってみたら、モノ凄く良くなったんだよ。俺自身、この曲を速くプレイするなんて考えもしなかったけど、そこからマルクス(・トイヴォネン:g)がヴァースやリフを考え、あっという間に曲が仕上がったのさ。

 というように曲作りとは、たとえしばらくずっと行き詰まっていたとしても、何かキッカケがあると一気に完成に向かうこともあるのさ。それこそ、みんなで曲作りを行なうことの長所と言える。自分では思いも付かなかったアイディアを、他の誰かが出してくるかもしれないからね。俺は、そんな風にメンバー全員が関わる曲作りの方法が本当に好きなんだ。曲作りの際、何らかのアイディアが浮かぶと、それが頭にこびり付いて、別のアレンジを施すのが凄く難しくなることがある。そういう場合でも、他のメンバーが周りにいると、自分では予想もしなかったアイディアを提供してくれたりして、本当に助かるんだよな。


──『TWO PATHS』用の曲作りを行なう際、アルバムの方向性などは事前に決めていましたか? それとも、ただ曲をどんどん書いていっただけですか?

サミ・ヒンカ:ただ曲をどんどん書いていくというのが、俺達の曲作りのやり方だ。まず何か曲を書き始め、その曲が良ければ、そのまま進めていくという感じだな。今回のアルバムに関しては、より雰囲気を重視し、サウンド的には『ONE MAN ARMY』でやったような、オーガニックで生々しいモノにしたかった。本当にタイトなライヴ・アルバムみたいにね。何もかもプロ・トゥールズでエディットしたり、ドラムにクリックを用いたりといった、一般的なメタル・アルバムのようなサウンドにはしたくなかったんだ。そうではなく、その場で実際にバンドがプレイしているようなサウンドを目指したよ。だから、ギター・トラックも山ほど重ね過ぎたりせず、基本的に2本だけにし、ソロやメロディといったモノだけを後から加える…というのが俺達の考え方だった。だけど、曲そのものに関しては、“こうしなければならない”というような制限は何も設けなかったね。

──通常のキーボーディストではなく、アコーディオン奏者であるネッタが加わったことは、曲作りで何らかの影響を及ぼしましたか?

サミ・ヒンカ:ああ、そう言えるかもしれないな。ネッタは俺達と異なる音楽的バックグラウンドを持っているから、その影響はあると思う。彼女がバンドに加入し、曲作りのためにリハーサル・ルームへ来た時、「曲に関して思い切った意見を言ったり、自分のアイディアやメロディを遠慮なく提示したりして欲しい」と言ったんだ。というのも、他のメンバーとは'05年からずっと一緒に活動してきたのもあって、時々、色々なことを非常に率直に話し合うことがあるんでね。俺達はお互いのことを熟知していて、相手のことが本当によく分かる。でも、ネッタも俺が言わんとすることを理解してくれて、クリエイティヴなアイディアを幾つも出してくれたんだ。ある時、みんなでリハーサル・ルームに集まって、「このパートに何かパッセージが必要だ」となり、ネッタに「何か出来ないか?」と訊いたところ、すぐに凄く良いパッセージを思い付いて、演奏し始めたのさ。そんな風に、ネッタは一種のインプロヴィゼーションや創造性を、曲作りのプロセスにもたらしてくれたよ。

──今回のレコーディングでも、前作と同じくアンシ・キッポをプロデューサーに迎えていますが、彼との仕事はいかがでしたか?

サミ・ヒンカ:レコーディングは『ONE MAN ARMY』の時と同じ、フィンランドのラッペーンランタという街にあるAstiaスタジオで、全部で5週間かけて行なった。アンシは素晴らしかったよ。本当に優れた人物で、一緒に仕事をするのが楽しい。メチャクチャ度胸があるし、仕事に対する倫理観も本当に並外れている。長時間仕事をするのも全く厭わない。仕事には厳しいものの、いつも俺達をサポートしてくれるんだ。

──今回はアナログ・レコーディングを、アナログ・テープも使って行なったそうですね?

サミ・ヒンカ:うん。ドラム、ベース、リズム・ギター、それとペトリ(・リンドロース:g,vo)のハーシュ・ヴォーカルを、アナログ・テープにレコーディングしたんだ。アナログ録音を提案したのはアンシだった。でも、俺達もすぐに興味を持ったよ。そもそも、ファースト・アルバム(『ENSIFERUM』:'01)はテープを使ってレコーディングしたし、それよりも以前──俺達が10代だった頃、デモをレコーディングするといえば、テープを使うのが普通で、プロ・トゥールズでエディットするなんて有り得なかったんでね(笑)。だから、今回のアルバムもそういうやり方でレコーディングしたかったのさ。出来る限りダイナミックなサウンドが欲しかったし、可能な限りライヴ感が出したかった。

 実際、ドラムをレコーディングする時は、他のメンバーも全員その場で一緒にプレイしたんだよ。つまり、みんなでジャムをやったというワケ。それに、少なくとも3曲のベース・ラインに関しては、ドラムをレコーディングした時と同じテイクを最終的に採用している。当然、クリックも使っていない。本当にクールなセッションで、正にオールドスクールな録音方法だったね。ただ、アンシは24トラックの機材しか持っていなかったから、ドラム、ベース、リズム・ギター、ハーシュ・ヴォーカルのレコーディングを済ませた後、それらのテープ音源をコンピュータに移したんだ。そうすれば、それ以上テープを使う必要がなくなり、摩耗させることもなくなるんでね。何度も何度も使うと音が劣化する──それがテープの問題点なんだ。それで、その他の楽器は全部コンピュータを使ってレコーディングし、その後アンシが、テープに録音したトラックとミックスしていったのさ。そうすれば、テープにレコーディングされた音源は、デジタル化されることなくミックスされる。音の情報を失う確立も減り、可能な限りアナログなサウンドが維持出来るというワケだね。

──アルバム・タイトルの『TWO PATHS』とは? 2つの道はどこへ通じるのでしょう?

サミ・ヒンカ:『TWO PATHS』の収録曲は、どれも人生に於ける大きな決断をテーマにしているんだ。みんな誰しも毎日毎瞬、小さなことについて決断を下している。日常的な些細なことであっても、それをやるかやらないか、あるいは言うか言わないか、常に選んでいるだろ? それがすぐ人生に影響を与える場合もあれば、10年後になって初めて今やったことの意味に気付く場合もある。「何てこった。あの時あんな選択をしなければ、全く違う人生を歩んでいたかもしれないのに」…なんてさ。例えば、信号が赤から青に変わるのを待たずに車を発進させ、その結果、トラックにぶつかったとする。それは信号が変わるまで待つという、もう一方の道を選ばなかったことで引き起こされた結果だ。これはかなり劇的な例で(笑)、払う代償も大きいけど、もっと小さな例を挙げれば、たまたま誰かと出会って話をしたら、10年後にその人が大親友になっていた…とかね。

 要するに、どんな決断にも必ず代償が伴うということ。その決断によって何かを得ても、別の何かを諦めなきゃならないこともある。先のことは誰にも分からない。ただ、その決断が正しいか、間違っているかということは問題ではないんだ。俺達が下す決断の多くは、大抵の場合、飽くまでニュートラルだけど、それでも、自分自身や周りの人達に何らかの結果を即もたらしたり、あるいは、将来的にもたらすことになる。これは、個人的なレヴェルでも、もっとスケールを大きくして、人類全体といったレヴェルでも、神話の世界のヒーローやアンチヒーローの下した決断に至るまで、全てに当てはまることだよ。実際に歴史を見れば、誰かが下した小さな決断が、ひとつの国全体に影響を与えたり、全人類に影響を与えたりしたこともあったよね。

──『TWO PATHS』を聴いて、『ONE MAN ARMY』やその前の『UNSUNG HEROES』('12)よりも、初期路線へ回帰したという第一印象を持ちました。バンドとしては、新作を過去作と比べてどのように位置付けていますか?

サミ・ヒンカ:『TWO PATHS』収録曲は、どれも聴けばすぐにENSIFERUMらしいと思ってもらえるだろう。全く新しいモノをイチから作ろうとしたワケじゃないからね。でも、これまでのアルバムよりさらに良くなったとは思う。そういう意味では、これまで制作したENSIFERUMのアルバムは、どれも自ずと『TWO PATHS』とつながりを持っていると言えるんじゃないかな。例えば、'09年にリリースした『FROM AFAR』では、初めてオーケストレーションにハマってしまい、狂ったようにめいっぱい導入してみた(笑)。いや、あのアルバムはとても出来がイイと思うし、気に入ってもいるけど、多分ちょっとやり過ぎだったんじゃない?(苦笑) だからそれ以来、ずっとトラック数を減らすようにしているんだよ。その方が、より細かいディテールまで聴いてもらえるし、言わば音楽を呼吸させることが出来るんでね。

 さっきも言った通り、今回のアルバムでは、あたかもバンドがライヴでプレイしているような感じが出したかった。よって、初期の路線へ回帰したという印象を持ったのも分かるよ。ファーストはテープにレコーディングしたから、理論的には、今回のアルバムと似たような手法を採ったとも言えるし。ただ、俺達は常に前を向いていて、あまり後ろを振り返ったりはしない。もしもファンから「デビュー作に入っていたような曲をもっとやって欲しい」と言われても、「それはもう16年も前にやったことだから、ファーストの曲が好きならあのアルバムを聴いてくれ。俺達はいつも前を向いていたい。人生とはどんどん先へ進んで行くモノなんだよ」と、俺はいつも答えているよ。人間は年を重ねて成長する。ミュージシャンにとって音楽とは、芸術の一形式であり、そんな自分自身や自分の人生に起こった出来事を表現するチャンネルなんだ。だから、自然に生み出されるモノであり、20年前と同じことを延々やるなんておかしいね。俺にとって、人生とは学びの道なのさ!


──前作にはバンド史上最長の組曲(“Heathen Throne Part III”)が収められていましたが、今作は長くても5分台と、6分以上の大作曲がありません。これは意図的に?

サミ・ヒンカ:特に意図したワケではなくて、ただの偶然だ。何しろ曲作りを始めた段階では、どの曲もどれぐらいの長さになるかなんて全く分からなかったんでね。「この曲は10分の大曲にしよう」とか、そんなことは考えもしなかったよ。ただ自然にそうなっただけさ。ある意味、楽曲自体が適した長さを自ずと教えてくれる。自然に「これでよし」と感じることが出来たなら、それでその曲は完成したということなんだ。だから、次のアルバムではまた長い曲をやるかもしれないし、どうなるかまだ分からないな。ちょうど次作の新曲に取り掛かり始めたところだけど、それらの曲が3分になるのか、あるいは30分になるのか予測するのは不可能だよ。

──新作のゲストについて教えてください。

サミ・ヒンカ:今回、唯一のゲスト・ミュージシャンは、ニッケルハルパ奏者のラッシ・ログレンだけだよ。ラッシはこれまでも俺達のアルバムに何度も参加してくれている。あと、オーケストレーションはミッコ・P・ムストネンが担当してくれた。彼も『FROM AFAR』以降、ずっとENSIFERUMのアルバムでオーケストレーションを手掛けてくれているんだ。彼はこのバンドの真髄を本当によく理解していて、俺達がオーケストレーションに何を望んでいるのかよく分かっている。だから、一緒に仕事をするのは実にクールなことだね。あと、Metal Bladeのスタッフがスタジオに来ていたんで、彼にもシャウトやクワイアに参加するよう頼んだよ。せっかくそこにいるんだから、使わない手はないだろ?(笑) あれも本当にクールだったな!

──ボーナス・トラックの「God Is Dead」と「Don't You Say」の“Alternative Version”についても教えてください。

サミ・ヒンカ:どちらも、本編収録ヴァージョンとの違いはヴォーカルだけだ。“Alternative Version”ではペトリが(ハーシュ・ヴォイスで)歌っている。レコーディングしていた時、単なる好奇心から、俺がペトリに「ちょっと試しに歌ってみないか?」と言ってみたのさ。実際にやってみたら、2曲とも凄く良かった。それで、どっちのヴァージョンも捨て難いと思ったから、ハーシュ・ヴォーカルが好きな人と、クリーン・ヴォーカルが好きな人のために、両方収録することにしたよ。ライヴでプレイする際も、毎晩ファンは俺達がどっちのヴァージョンでプレイするか分からないなんて、なかなか楽しいよね!(笑)

──では最後に、今後のツアー予定を教えてください。再来日公演はいつ頃になりそうですか?

サミ・ヒンカ:『TWO PATHS』が9月15日にリリースされると、同月後半に中央ヨーロッパで6公演を行ない、それから母国フィンランドで10回ばかりショウを行なう予定だ。その後は南米をツアーしたり、ロシアで何回かギグを行なうことになっていて、次にアジア・ツアーの予定が入っているんだけど…まだ計画の段階なので、詳しい日程は分からない。少なくとも、中国と日本には行くことになると思う。恐らく、今年の終わりか来年の初め頃になるんじゃないかな? さらに来年の春には、長期のヨーロッパ・ツアーと北米ツアーを行なうことになっている。そしてその頃には、もうヨーロッパではフェスティヴァル・シーズンに入っているから、本当に忙しくなるよ。でも、それこそが俺達にとってやりたいことなんだ。俺達はライヴをやるのが大好きだからね。ライヴを行ない、ファンと共に時間を分かち合うのは最大の醍醐味だね!!

取材・文:奥村裕司
Photo by Mikael Karlblom



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発売日: 2017年09月15日

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