【インタビュー】DAGOBA

2017年09月08日 (金) 19:15

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ローチケHMV - ヘヴィーメタル


 7枚目となるアルバム『ブラック・ノヴァ』をリリースするフランスのグルーヴ/インダストリアル・メタル・バンド、ダゴバ。バンドの創設メンバーであり、リーダーでもあるヴォーカリスト、ショウターに話を聞いてみた。

川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『ブラック・ノヴァ』がリリースになりますが、過去の作品と比べていかがですか。

ショウター:『ブラック・ノヴァ』は、俺たちのアルバムでもっともきちんと構成された作品だと思う。俺たちが愛する音楽、つまりメタルやインダストリアル、それからクラシックがミックスされて、過去になかったレヴェルの作品に仕上がっているよ。全体的なテンポは多分よりヘヴィになっているけど、それと同時にダゴバ史上最速の曲も入っている。このアルバムは、間違いなく俺たちの作品の中で、最も映画音楽的なものにもなっていると思うね。とにかく超エピックな仕上がりだよ。エモーショナルなジェットコースターとブルドーザーが同居しているような作品さ。

川嶋:ダゴバというのはとても面白いバンド名ですが、どのような意味なのですか。仏教用語にもありますし、『スターウォーズ』にも出てきますよね。

ショウター:『スターウォーズ』だよ。マスター・ヨーダがいる惑星ダゴバからとったんだ。正しいスペリングは「Dagobah」なのだけど、最後の「h」をとった方が、俺の大好きなメタル・バンドの名前みたいだったからさ。Metallica、Pantera、Sepultraとかね(笑)。この名前を選んだのは、これがとても覚えやすいと思ったからなんだ。たった3音節だからね、非常にシンプルだろう?

川嶋:こういうスタイルの音楽で、クラシックから影響を受けているというのは面白いですね。どのような作曲家がお好きなのですか。

ショウター:ワーグナー、ベートーヴェン、モーツァルト、チャイコフスキー、他にもたくさんいるよ。一番好きなのは、スメタナの『モルダウ』だね。イ・ビョンウの『エピローグ』も忘れるわけにはいかない。それからハンス・ツィマーやジェリー・ゴールドスミスなどの映画音楽も大好きだよ。

川嶋:インダストリアルはどのあたりですか。

ショウター:ラムシュタイン、ミニストリー。それからアンダーグラウンドなDJモノだね。

川嶋:アルバムのタイトル『ブラック・ノヴァ』というのは、どのような意味が込められているのですか。

ショウター:ノヴァというのは新星のことだ。星が爆発して、しかしその後ゆっくりと元の明るさに戻っていく。言うなれば、何度も生まれ変わる宇宙の不死鳥にみたいな感じのものさ。アーティストであるということは、来る日も来る日も自分自身という存在を蘇らせ続けるものだと思っている。何かを創造するときには常に新鮮でパワフルなものを提示するためにね。

川嶋:アートワークはセプティックフレッシュのセトの手によるものですよね。非常に印象的で、シュールレアリスティックなものですが、これはアルバムのテーマと関係しているのでしょうか。

ショウター:そうだね、この人物が黒い玉を口から吐き出しているけど、これは俺たちが経験せざるをえなかったメンバー・チェンジを表している。俺たちは進み続け、自由に好きな音楽をプレイするために、メンバー・チェンジをしなくてはいけなかったから。

川嶋:それはドラムのフランキーが脱退した件でしょうか。昨年20年近く一緒にプレイをした彼がバンドを抜けてしまいましたよね。

ショウター:まあ、アートワークをそういう風にも解釈できるということだよ。あくまで一例さ。絵画というのは主観的なものだから、複数の解釈が可能だろう。でもまあ、そういうことさ。この人物が吐き出しているのは、バンドの過去という解釈も可能ということだよ。フランキーの件も含めてね。ダゴバは多くのメンバー・チェンジを経験してきたけれど、それが大きなトラブルになったことはない。俺は何かを変えるとき、たいてい物事は良い方向へと変わるものだと思っているんだ。不幸にも失われてしまった内なる平和を再び見つけるためにね。


川嶋:ということは『ブラック・ノヴァ』というタイトルにも、新生ダゴバとしての決意が込められているということでしょうか。

ショウター:もちろんそうさ。「お前を殺しはしないものは、お前を強くする!!」ということだよ。

川嶋:歌詞はどのような内容ですか。いくつかの曲は同じテーマのようですが、コンセプトはあるのでしょうか。

ショウター:歌詞は人生一般についてだよ。愛、死、人との関係、嘘、復讐。すべて人間についてさ。しかしそれは宇宙にも通じることがらだ。俺は非常に人間的な感情と、宇宙の広大さを対比させたかったんだ。

川嶋:例えば「ロスト・グラヴィティ」などは、何について歌っているのですか。

これはラブソングだよ。俺たちの曲にはラブソングがたくさんある。愛という感情は、人をハイにするが、一方で落ち込ませることもあるだろう?まさに探検すべき無限の分野だよ。重力を失うというのは良いことではない。重力がないということは、空気もない。空気のない世界に行けば、ハイにはなるかもしれないが、間違いなく命を失うことになる。

川嶋:あなたたちのサウンドは非常にアメリカ的だと思うのですが、フランス的な要素というのは混じっていると思いますか。

ショウター:俺は音楽というのは国際的な言語であるべきだと思っている。俺たちは世界中あらゆるところの音楽から影響を受けているし、俺たちにとって何より大切なことは、音楽に誠実であることさ。もし誠実に音楽をプレイするのなら、それはフランス的にも、アメリカ的にも、日本的にもなれる。世界中どこにでも、その音楽を楽しんでくれる人間を見つけられるということだ。

川嶋:フランスというのは、例えば隣国ドイツなどと比べるとメタルが盛んな国ではないですよね。これは何故だと思いますか。

ショウター:俺にとっては文化というのは政治や宗教より重要なものだ。フランスの文化は確かにロックンロール的ではない。だけど信じてくれ、フランスの食べ物とワインはうまいよ!!

川嶋:フランスでメタル・バンドをやるというのは困難が伴いますか。

ショウター:ああ、とても大変だよ。メディアはさっぱりシーンをサポートしてくれないから、メタルで生計を立てようと思ったら、大きな我慢を強いられることになる。でも自分自身を信じて、ステージ上でもそれ以外でも正しい姿勢を貫き、100%自分のアートに身を捧げて、そして少しの幸運があれば、それも不可能なことではないよ。

川嶋:お好きなヴォーカリスト、影響を受けたヴォーカリストを教えてください。

ショウター:間違いなくフレディ・マーキュリーだね。彼は神だよ。彼みたいな人がまた現れるのか、甚だ疑問だね。メタルで言えば、ジェイムズ・ヘットフィールド、フィル・アンセルモ、チェスター・ベニントンをとても尊敬しているよ。

川嶋:今年5月に初の日本公演を行いましたよね。日本の印象はいかがでしたか。

ショウター:人生で一番楽しかったよ!ショウはクレイジーだったし、ファンはこれまで会った中で最も紳士的で、俺たちに敬意を表してくれた。演奏中はクレイジーに暴れまわるし、たくさんの贈り物ももらったよ。早くまた日本に行きたいよ!!!毎日そのことばかり考えている。

川嶋:お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

ショウター:メタリカの『And Justice for All』、パンテラの『The Great Southern Trendkill』、クイーンの『Greatest Hits 2』だね。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

ショウター:3単語で表すよ。アイ・ライヴ・ユー。



 ダゴバはフランスのバンドであるが、何の情報もなくその音を聴かされたのなら、彼らがフランス出身であることを見抜けくのはほぼ不可能。おそらく多くの人はアメリカのバンドだと思うだろう。その音にはフランスの要素が一切感じられない。大きな影響を受けているというクラシック音楽にしても、一人もフランスの作曲家が出てきていないのも面白い。歌詞もシンプルでストレートであり、その点もフランスらしからぬと言えるだろう。(「人間的な感情と宇宙の広大さを対比させたかった」という発想などは、多少フランス的だが。)

 冒頭便宜上ダゴバをグル―ヴ/インダストリアル・メタル・バンドと紹介したが、『ブラック・ノヴァ』を特別な作品にしているのは、そのジャンル名では表し切れていない、シンフォニック/エピックな要素である。アルバムのオープニングからしてクラシカルなインストであるし、ヘヴィでグル―ヴィーな楽曲の中に挟み込まれるシンフォニックなパートは、とても印象的である。こういった要素は、過去のダゴバの作品にも存在はしていた。だがここまでシンフォニックなパートを前面に押し出してきたのは、本作が初である。ショウターも、本作を「バンド史上最も映画音楽的」と形容しているところからもわかるとおり、このシンフォニック/エピックなアプローチは、ダゴバの新たなアイデンティティとして、意識的に取り入れられたものなのである。

 ダゴバの結成は97年にまでさかのぼる。なので、今年ですでに20周年、ベテランと呼んで差し支えない活動歴である。今回の『ブラック・ノヴァ』は、Century Mediaとの契約を手にしてのリリースとなる。地道な活動が実り、結成20年にして、ついにCentury Mediaという大手との契約を果たしたのだ。そしてまたインタビュー中でも語られているとおり、『ブラック・ノヴァ』製作を前に、ダゴバは大きなメンバー・チェンジに直面した。ギタリストとドラマーがまとめて脱退。特にドラマーは20年近くも活動を共にしてきた初期からのメンバーであり、その離脱はダゴバにとって大きな衝撃だったに違いない。

 新たなメンバーに新たな大手レーベルとの契約。そしてエピック/シンフォニックという新たなアイデンティティ。『ブラック・ノヴァ』は、「ノヴァ=新星」というタイトルが示すとおり、活動歴20年のベテラン・バンドによる、新たな、そして大きな第一歩なのである。激しいリフに、クセになるメロディックなコーラス。メタル、インダストリアル、クラシックが一つの鍋に投げ込まれ、出来上がったサウンドは、とにかくマッシヴ。『ブラック・ノヴァ』は、ベテランらしい成熟と、心機一転のフレッシュさが同居した、素晴らしい作品である。

取材・文:川嶋未来/SIGH


日本盤ボートラ収録

Black Nova

CD

Black Nova

Dagoba

価格(税込) : ¥2,484

発売日: 2017年09月13日

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