【インタビュー】VENOM INC.

2017年08月10日 (木) 20:00

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ローチケHMV - ヘヴィーメタル


 ヴェノムの名曲の数々を演奏するライヴ・バンドであったヴェノム Inc.がついにアルバムデビュー!ということで、ベース・ヴォーカル担当のザ・デモリション・マンことトニー・ドーランに話を聞いてみた。インタビューを行ったのは、ちょうどロンドンでタワー・マンション火災が起こっていたときだ。

川嶋未来(以下、川嶋):ロンドンのタワー・マンションの火災は、こちらでも大きく報道されていますが、どんな状況なのでしょう。

トニー・ドーラン:信じられない。近くに住んでいる友達もいるし。9月11日のツイン・タワーの件を思い出すよ。今は火はほとんど消えたようだけどね。赤ちゃんを投げ落とした女性もいて、幸い下にいた人が受け止めて、赤ちゃんは無事だった。それから飛び降りた男性が下にいた消防士にぶつかって、こちらも両方とも無事だったようだ。本当に恐ろしいよ。きちんとした防火対策をしていなかったせいで、何の罪もない人たちの命が失われたのだからね。ここのところ世界中で悲劇が続いていて、今度はこの火事だろ。マンチェスターの爆弾、ロンドンの通り魔、そして火事でビルがまるごと燃えてしまった。世界はおかしなことになっているよ。

川嶋:では本題に入りましょう。ヴェノム Inc.としての新譜『アヴェ』と、かつてヴェノム名義で活動していた時期の作品とでは、どんな違いがあると思いますか。今回新たに導入した要素などはありますか。

トニー・ドーラン:違いをきちんと定義するのは難しいな。そもそもヴェノム Inc.の始まりはアクシデントのようなものだったからね。俺とマンタスはM-Pire of Evilをやっていて、ただ楽しむために、1度限りでヴェノムの曲を演奏するオファーを受けた。するとさらにいくつかのショウのオファーが来て、すべてにイエスと言い続けた結果、それがデモのレコーディングになり、ついにはアルバムをリリースすることになった。マンタスはM-Pire of Evil用の曲をたくさん書いていて、M-Pireのアルバムのレコーディング準備もできていた。ヴェノム Inc.のデモを作るという話になったときに、マンタスが「どういう曲を書くべきか?」と悩んでいたんだ。だから「ただ自然に書けばいいのさ。俺たちのありのままを出せばいい」と伝えた。ヴェノム Inc.をやると決まったとき、俺はヴェノムの最初のシングルから『Welcome to Hell』、『Black Metal』、『At War with Satan』、『Possessed』、『Prime Evil』から『Temples of Ice』まで、すべてさかのぼって聴いてみた。40年近い歴史を振り返ったんだよ。40年前、確かにこれらの音楽を所有していたのはヴェノムだった。でも今や、これらの所有者はファンだ。音楽は人々にインスピレーションを与える。音楽は人々にとって大切なものだ。俺は『Black Metal』を10種類も持っていないが、実際にそういうファンを知っている。俺は『At War with Satan』を毎日聴きはしないが、そういうファンを知っている。俺たちの音楽は、結婚生活の問題を抱えている人や、家族を失った人、戦闘地域にいる人、健康の問題を抱えている人たちなどを救ったかもしれない。どれほど音楽というものが重要なのか、アーティスト自身が気付かないこともある。だからマンタスやアバドンとやりたかったのは、ファンと直に接することだ。ただフェスティヴァルに出るだけでなく、どんなところでもプレイしてファンと握手をし、ヴェノムが彼らにとってどういう存在なのかをファンから直接聞く。それが大切なのさ。だからマンタスが「どのようなアルバムを作るべきか」と問うたとき、俺たちは過去のアルバムの特定の曲やサウンドをマネて再現するのではなく、ただ自然体で曲を書き、プレイする、それがすべてだと答えた。可能な限り正直に、そして何よりも自分たちのやっていることを楽しむ。その結果が『アヴェ』さ。金のためでもエゴのためでも、過去の栄光を再現するためでもない。ただ正直な俺たちの姿を示しただけだ。

川嶋:収録された曲の中には、元々M-Pire of Evil用に書かれていた曲もあるのですか。

トニー・ドーラン:何曲かはM-Pire of Evil用に書かれたものだよ。M-Pire用には大量の曲が書かれていたからね。メガフォース・レコードのジョン・ザズーラが、デモを聴かせてくれればレーベルを紹介すると言ってくれたので、2曲作って聴かせたんだ。彼の反応は「悪くはないけど、普通のヘヴィ・メタルだな。他にはないの?」という感じだった。「シット、確かにその通りだな」と思い、M-Pire用に書いてあった「ダイン・フライシュ」のことを思い出した。この曲ならうまくはまるかもしれないと思い、マンタスに内緒でこの曲をジョンに送ると、「これは何だ!ずいぶんヴェノムらしくないけど気に入った。こういう曲はもっとないの?」と好意的なリアクションが返ってきた。それをマンタスに伝えると、やはりM-Pire用の「プリ―チャー・マン」を引っ張り出してきた。ジョンに送ったら、これも気に入ってもらえた。M-Pire用の曲はかなり自由に書いていたからね。決まったレーベルに所属していたわけではないし、マネジメントもいなかったから、ただ好きにやっていた。だからどんなタイプの曲でも好きに書けた。ブラック・メタルや地獄、デス・メタルのイメージ捕われる必要もなかったし。だからカテゴライズできればそれでいいし、できない曲もそれでOKという感じだったのさ。M-Pire用に書かれた曲は、雰囲気が違うから聴けばどれかわかるかもしれないね。

川嶋:ヴェノム Inc.としてオリジナルの曲を作ろうと思い立ったのは、ジョン・ザズーラの存在があったからということでしょうか。

トニー・ドーラン:そうなんだよ。ジョンとは長いつきあいで、初めてヴェノムがアメリカ・ツアーをやったのも、彼のおかげなんだ。彼やNuclear Blastのヤープ(Jaap Wagemaker)とは、どちらも長いつきあいで、俺にとってはグルみたいなものなんだ。だから音楽的に迷うことがあったら、ヤープに聴くことにしている。彼は正直に答えてくれるからね。信用できるんだ。ジョンも同じさ。ヴェノム Inc.でツアーを続けるうちに、ライヴ・アルバムを求める声が大きくなってきた。だけど俺たちはどうすべきか迷っていた。このままヴェノムのカタログをプレイし続けるべきなのかね。それでジョンにヘルプを求めると、もう引退した身だが、アドヴァイスくらいならすると言ってくれた。アメリカ・ツアーをしたときに、確か3月だったかな、ジョンが今住んでいるフロリダのオーランドでプレイしたんだ。そこでジョンの部下が俺たちのライヴを見に来て、おそらく彼が非常に良い報告をしたんだろうね。1週間後くらいあとにジョンから電話があって、ヘルプが必要なら言ってくれと。マネージャーが必要だったので、テスタメントのチャック・ビリーを紹介してもらった。それでアルバムを作るべきだって言われて、「いや、俺たちは今やっていることを続けるよ」と言ったのだけど、「いや、絶対にアルバムを作るべきだ」と言い返されてね。結局ジョンに4本のデモを送り、ジョンがそれをニュークリア・ブラストに聴かせて、サインしてアルバムを作ったというわけさ。とてもエキサイティングだったよ。

川嶋:タイトルを『アヴェ』としたのはなぜですか。

トニー・ドーラン:「アヴェ」という言葉には、俺たちのファン、そしてサタンへのあいさつの意味がこめられているんだ。ルシファーは悪とされているけれども、実は光をもたらすものだ。そして俺たち人間はときに正気を失うことがあるので、人としてどうふるまうべきなのかをはっきりと知る必要がある。タイトル・トラックの「アヴェ・サタナス」はそういう内容の歌詞なのさ。

川嶋:アルバムのオープニングである「アヴェ・サタナス」ですが、いきなり9分という長さに驚きました。

トニー・ドーラン:確かに長いね(笑)。でも「At War with Satan」を覚えているだろう?あの曲は一つの物語になっていた。「アヴェ・サタナス」を最初に持ってきたのは、この曲にもストーリーがあり、アルバム全体の雰囲気をセットする役割を果たすと思ったからさ。

川嶋:「ダイン・フライシュ」は、なぜタイトルをドイツ語にしたのですか。

トニー・ドーラン:これはドイツ語でYour Fleshという意味で、人間のダークサイドについて歌っている。倒錯とかね。パートナーや家族、親友についてとてもよく知っていると思っていても、必ず知らない部分があるものさ。ピアスをしたりタトゥーを入れていたり、エクストリームな音楽を聴いていたりすると、人はそれだけで人間性を判断しようとするだろう。一方で非常に感じが良い隣人もいる。ところがある日突然警察が、そいつの地下室から死体を発見する、なんていうこともある。「オーマイゴッド、まさかそんなことをする人間には見えなかった!」ってね。外見は目に見えても、その人の本当の内面がどんなものなのかはわかりやしないのさ。タイトルをドイツ語にしたのは、ドイツには俺たちのファンや友達がたくさんいるからさ。それにニュークリア・ブラストとも契約しているし。さっきも言ったとおり、これはM-Pire用の曲なのだけど、M-Pireも『Crucified』のアルバムを作ったときに、ニュークリア―・ブラストと契約するという話もあったんだ。ドイツのレーベルへの感謝とあいさつの意味を込めたのさ。

川嶋:なぜ「ダイン・フライシュ」を最初に公開する曲に選んだのですか。正直なところ、この曲はまったくヴェノムらしくないですよね。もっとヴェノムらしい曲というチョイスもあったと思うのですが。

トニー・トラン:そうなんだよ、予想通りリアクションは凄まじいものさ!でも俺はこのリアクションは良かったと思ってるんだ。最初にこの曲を発表したのは、社会実験のつもりだったんだよ。ビデオを作るにあたって、ストーリーがあるものにしたかったんだ。ただ倉庫やステージで演奏するだけのイージーなものでなくて。ファンはきっとそういうのを期待していたかもしれないけど。それから「メタル・ウィ・ブリード」みたいな、速くて激しい曲も使いたくなかったんだ。あまりにあからさまな曲は避けたかったから。ファンがあからさまな曲を望んでいることはわかっていたけどね。俺はファンが本当に曲をきちんと聴いてくれるのかを試したかったんだ。音楽というものを聴いてくれるのか、それともただヴェノムのイメージだけを求めているのかね。リアクションは、まったくもって予想通りだった。若いファンや、ヴェノムのファンでない人たちは、非常に好意的な反応をしてくれる一方、オールド・スクールなファンは、信じられないくらいネガティヴなリアクションをしているよ!「ガッカリだ、何なんだよこれは!」って。まあ彼らはアルバムの残りがどんな感じか、まだ知らないわけだからね。ビデオの第一印象で「最悪だ!とても聴いていられない!」なんていうリアクションをしている人も、アルバムを聴けば気に入ってくれると思うよ。クリスマス・プレゼントと同じさ。1年間両親に「自転車が欲しい!自転車が欲しい!」って言い続ける。クリスマス当日、ツリーの下には自転車大の段ボールが置いてある。だが開けてみて、中身はペンとサッカーボールだったら、ショックから立ち直るのは容易ではないだろう。もちろんサッカーボールも素晴らしいプレゼントなのだけど、予想と違ったという最初のショックから立ち直るのは大変で、サッカーボールの本当の価値になかなか気づけない。両親に腹を立てながらキッチンに行くと、そこには自転車置いてある。これが俺がやろうとしたことさ。ご褒美を隠しておくんだ。ツリーの下に置くのではなくね。ファンには違ったものも受け入れる度量が欲しいとも思っている。今は2017年だよ。1981年ではなくてね。俺たちは18歳や20歳ではなく、50歳を超えているし。

川嶋:「ダイン・フライシュ」はゴシック風味すら感じられますよね。

トニー・ドーラン:そうだね、ビデオもそういう感じのアイデアだった。映画の『ノスフェラトゥ』っぽいアプローチさ。クラシックなモンスター・ムービーのような、感情を揺さぶる、多少性的で危ない感じのやつ。ロンドンの火事や通り魔、マンチェスターの爆弾や、オーランドのゲイ・クラブ襲撃事件とか、世の中は悲劇に満ちている。81年には「ヴァージンにツバを吐きかけろ」とか、「ジーザスはクソ野郎だ」なんていう歌詞が十分危険たりえて、世間にショックを与えることができたけど、最近では現実の方がよほどショッキングだ。だからこのビデオでは非常にヴィジュアルな内容になっているのと同時に、哲学的なアプローチもとっている。歌詞を読んでストーリーラインを理解してじっくり考えて欲しい。ポエトリーからアート、ダンスから音楽といった、あらゆる種類の芸術を俺たちは利用している。それぞれの芸術は、それぞれ特別な形態のレシピを持っているからね。地球上には非常にリッチな文化がいたるところにあって、それは多様性に富んでいる。東京やペルーにもそれぞれの文化があって、素晴らしい建物も立てられているが、その気になれば街や市民を1時間で破壊してしまうこともできる。子供にレゴを渡すと素晴らしいものを作る。それを家族に見せて「凄いね!」なんて写真を撮っているそばから子供は作品を壊してしまう。それが人間の性というものさ。作り、壊し、また作る。それこそが俺たちのダークサイドとライトサイドだよ。悪魔と神さ。「ブラッド・ステインド」はまさにそのことで、1000年後に、あるいは3000年後には何が起こっているのかを想像してみたんだ。地球にやってきたものが、血にまみれた赤い地層を見つけるかもしれない。

川嶋:そこもお聞きしたかったのですが、今言われたように「ブラッド・ステインド」、あるいは「ウォー」などの歌詞は、社会的な問題を取り上げていて、これは以前のヴェノムにはなかったことだと思うのですが。

トニー・ドーラン:確かになかったね。俺はずっとサタニズムに興味があって、ルシファーというのは光をもたらすものだと思っている。彼は堕天使で、そのミッションは人類に知恵を与え守ることだった。サタニズムをどのように見るかというのは、とても興味深いことだよ。人の中にも善と悪が同居している。だからサタニズムのそういう捉え方を、俺はヴェノムに持ちこんだんだ。ヴァージンを生贄にする、なんていう内容の代わりにね。俺たち自身が神でありサタンたりえる。善も悪も俺たちの中に存在しているのさ。マンチェスターでは一人の男が爆弾で子供たちを吹っ飛ばそうと考えた。一方でホームレスが、被害にあった子供たちを必死に助けた。男の方は家族もいて仕事も金もあったのに、爆破事件を起こした。一方ホームレスは何も持っておらず、路上で生活していたけれど、爆弾で人を殺そうなんて考えもせず、逆に人々を助けた。このニュースを見て、もっと人間の内側というものに踏み込んだ内容の歌詞を書こうと思ったんだ。レミーはいつもこう言っていた。「俺は神もサタンも信じない。俺の行動は俺が責任をとる。俺が良いことをするのも悪いことをするのも、すべては俺の責任だ」ってね。俺たちはとてつもなく悪いこともできるし、逆にとても素晴らしいこともできる。俺は哲学者でも宣教師でもないけれど、俺たちが持っている性質について深く分析してみたかったんだ。

川嶋:「タイム・トゥ・ダイ」は何について歌っているのですか。

トニー・ドーラン:グラディエイターについてさ。興味深いのは、戦うものたちの精神状態だ。日本のサムライに近いと思うんだ。彼らは厳しいトレーニングを受けていたわけだけど、言うなれば死ぬためのトレーニングを受けていたということだ。第一次世界大戦では、多くの人間が東部戦線へと送られた。彼らは国のために戦う準備はできていたけれど、死ぬ準備はできていなかった。誰も死にたくはないからね。兵士の手紙などを読むと、気持ちをかき乱されるよ。一方でグラディエイターやサムライなどは、死ぬための訓練ができていたと言える。この歌はそういうことについてさ。エンターテインメントのために死ぬ準備をする。人間を訓練してアリーナに入れて、殺し合いをさせていたんだよ?

川嶋:「ジ・イーヴル・デッド」は、映画『死霊のはらわた』についてでしょうか。

トニー・ドーラン:そうだよ。この曲はヤープのお気に入りさ。俺はあの映画が大好きだし、ヴェノムはいつもユーモアのある歌詞を書いてきただろう。「At War with Satan」とか「Red Light Fever」のイントロとか。だから暗くて神秘的だけど、ユーモアのある歌詞を書きたかったんだ。15歳の娘がゾンビ映画にハマっていたので、何かゾンビについて書こうと思ってね。

川嶋:「ブラックン・ロール」はとても楽しい内容ですね。

トニー・ドーラン:あれは俺たちが大好きなものへ敬意を表したのさ。ロックンロール、メタル、ロック。メタリカ、俺の大のお気に入りのモーターヘッド、AC/DC、ジミ・ヘンドリックスにエルヴィス。とにかく楽しい曲だよ。ブルースからロックンロールが生まれ、エルヴィスを経てずっとつながっているんだ。どんなに過激な音楽をやろうともね。レミーはいつでも「モーターヘッドはロックンロールをやっている」と言っていただろう?モーターヘッドがどんなに速く演奏しても、レミーはロックンロール・ガイだったのさ。俺たちも同じ。だから先人たちに敬意を表したんだよ。

川嶋:欧米盤のCDには歌詞がプリントされていないようですが、これは故意なのですか。

トニー・ドーラン:いや、単にCDのブックレットは小さすぎて歌詞をプリントする余地がなかったというだけのことだよ。多分LPバージョンは歌詞付なんじゃないかな?

川嶋:あなたの歌い方も、80年代からずいぶん変わったように思います。30年経っているのだから当たり前なのかもしれませんが、意図的な歌唱法の変化というのはあったのでしょうか。

トニー・ドーラン:初期からヴェノムに加入するまで、それから00年代とで、俺の歌い方は確かに変わってきていると思う。もちろん年をとって声が深くなったというのもある。煙草も吸いすぎているし。俺は常に広いレンジの声を出せるタイプではあったのだけど、俳優や声優の仕事をするようになって...

川嶋:俳優や声優をやられていたんですか?

トニー・ドーラン:そうだよ、今はやっていないけどね。映画やテレビにも出た。CMに声の出演をしたこともある。声を使う仕事を色々やったんだよ。友人に、俺はいつもただ歌っているだけなので、もっとストーリーを伝える努力をするべきだと言われたことがあるんだ。M-Pireを始めたころだから、10数年前かな。それでM-Pireの最初のアルバムをやるときに、ストーリーを伝えるよう心掛けた。今回も「ダイン・フライシュ」や「アヴェ・サタナス」ではそのキャラクターになりきって歌ったよ。これも俳優をやっていた成果だと思う。それぞれの曲で違うキャラクターを演じたのさ。ずっと同じ調子で歌うのとは違って、とてもエキサイティングだったね。

川嶋:今回大合唱になりそうな曲が多く入っていますが、ライヴではどの曲を披露する予定ですか。

トニー・ドーラン:マンタスは曲を書くときに、必ず観客のことを頭に置いているよ。観客が大合唱できるような、例えば「Countess Bathory」みたいな曲。ライヴでは、できればアルバムの曲すべてを演奏したい。先日ダンジグとのツアーで、「アヴェ・サタナス」を初お披露目したのだけど、早速大合唱になってね。ちょっと変な気分だったよ。「フォージド・イン・ヘル」が大合唱になるならわかるけど、まさかあの曲がね。次のツアーでは、新曲を4−5曲は混ぜたい。どの曲をやるかは日によって変えるようにして。「メタル・ウィ・ブリード」は自分たち、そしてメタル・ファンに捧げる曲だし、ぜひやりたい。大合唱になるだろうし。「ウォー」もやりたいな。俺はいつでもオーディエンスが曲の一部になるようなものをやりたいんだ。合唱したりスラム・ダンスやステージダイヴをしたり、とにかくみんなが参加できるもの。自分たちを解放できるだろ。俺たちは日常生活ではいつも妥協を強いられる。でもショウでは思いっきり好きにやれる。とにかく大声で一緒に歌って欲しいね。

川嶋:今回曲はマンタスが書き、歌詞はあなたが書くという役割だったのですか。

トニー・ドーラン:基本的に、曲はマンタスがすべて書いた。俺はマネジメントなどを担当しているからね。アートワークやビデオの手配をしたり。マンタスも時々助けを求めてくることはあったけれど、「いや、君が書いた曲はすべて素晴らしい。本当に行き詰ったのなら言ってくれ。そうでないのなら、曲を書き続けてくれ」と伝えた。母親の作るケーキのレシピが完璧だとわかっていれば、そこに何かを足すように伝える必要なんてまったくないからね。余計なことをすれば、逆にケーキを台無しにしてしまう。マンタスが曲を書いている最中は、口を挟みたくないんだ。歌詞は一部マンタスが書いていたものもあったよ。マンタスは何でも事前にきちんと用意をしておくタイプなんだ。俺は歌詞を書くにも、音楽からインスピレーションを受ける。例えば『The Waste Lands』の「Clarisse」をレコーディングしたときも、スタジオに入った時点でまだ歌詞はできていなかったんだ。しかし曲が流れると、一気に歌詞が湧き出てきたよ。お互いのアプローチは違うけれども、とにかくマンタスとの共同作業は非常にうまく行く。例えば今回のアルバムの曲順を、俺とマンタスで別々にジョン・ザズーラに送ったんだ。お互い何も知らずにね。ところがふたを開けてみたら、2人が送った曲順はまったく同じだったんだよ!

川嶋:昔の話も聞かせてください。そもそもあなたがヴェノムに参加した経緯はどのようなものだったのでしょう。ヴェノムに参加するというのはどんな気分でしたか。

トニー・ドーラン:当時俺はAtomkraftをやっていて、Nasty SavageやExhumerとヨーロッパ・ツアーに出た。アバドンがツアー・マネージャーでね。ポーランドでWolf Spiderが前座だったのだけど、彼らが「アバドンがいるのなら、『Welcome to Hell』でもやってくださいよ」というので、アバドンに相談して、ぜひやろうということになった。とてもうまくいったよ。その後ツアーも終わり、家に戻って、Atomkraftの新たなディールをとろうとしていたのだけど、結局メンバーの二人が脱退することになってしまった。ドラマーは、新メンバーを探してバンドを続けるべきだと主張したのだけど、俺は長旅にも疲れていたというのもあり、少々休みが欲しいと思っていた。数週間後、アバドンから電話があり、ヴェノムのマネージャーのエリック、彼は最近死んでしまったけど、と飲もうと誘いがあった。それで「クロノスが二人のギタリストを連れてアメリカのマーケットでの成功を目指してアメリカに行ってしまった」という話を聞いた。新しいヴォーカリストを探しているというので、「誰か良い候補がいるかな?ちょっと考えさせてくれ」と答えたんだ。そしたら「いやいや、君を誘っているんだよ!」って。「君はヴェノムの大ファンだし、俺たちのことを初めからよく知っている。『Calm before the Storm』が失敗したことも知っている。誰かいるとしたら、君しかいない」とね。それで「マンタスが一緒ならばぜひやりたい」と答えたんだ。マンタスは友達だったので、話してみると「君が入るならやるよ」ということで話はまとまったのさ。正直、ヴェノムに加入するだろうなんて、まったく思っていなかった。だから衝撃的な申し出ではあったよ。素晴らしい音楽をやっている素晴らしい友人が、俺を必要としてくれた。そしてみんなで「Carnivorous」や「Blackened are the Priest」、「Parasite」を書いたり、「Skeletal Dance」をアバドンと書いたりと、非常に創造的な作業ができて、とても楽しかった。何のソースも無しに「こんなアルバムを好きな奴はいない」なんて書き立てるやつもいたけど、俺たちは空っぽのホールでプレイすることもなかったし、オーディエンスが無反応なんていうこともなかった。ヴェノムをお終いにしたときも、まったく喧嘩もせず、ただ終わるべきときが来たという感じだった。それで俺はロンドンで俳優としての仕事を始め、その後はご存じのとおりさ。

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