【インタビュー】RINGS OF SATURN

2017年07月28日 (金) 21:45

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ローチケHMV - ヘヴィーメタル


カリフォルニア出身、変態テクニカル・エイリアン・デスコア・バンド、リングス・オブ・サターン。4枚目となるアルバム『オルトゥ・ウラ』リリースということで、リーダーであるギタリスト、ルーカス・マンに色々と話を聞いてみた。

川嶋未来(以下、川嶋):ニュー・アルバム『Ultu Ulla』がリリースになりますが、以前のアルバムと比べるとどんな感じですか。

ルーカス・マン:以前のアルバムでは、細部に至るまで俺がほとんど一人で曲を書いていたのだけれど、今回はもっと他のメンバーの貢献があったよ。それに今回はシンセサイザーも使ったし、立体的な音使いになっていると思う。いくつものレイヤーがあってね。ただエクストリームなギターやエクストリームなドラムだけでなく、まったく新しい楽器使いになっているよ。

川嶋:今回のアルバムは、メロディックになっているという印象を受けたのですが。

ルーカス・マン:そうだね、何というか(笑)、うん、同意するよ(笑)。

川嶋:マイルズ・ディミトリ・ベイカーが新たなギタリストとして加入していますが、この変化は彼の影響によるものでしょうか。

ルーカス・マン:他のメンバーが書いたパートについても、一応俺がすべて見直しをするんだ。リングス・オブ・サターンの方向性に合うかの確認をするためにね。確かにマイルズはメロディックなパートのいくつかを書いたよ。シンセは全部俺が弾いたけれど。今回確かに、基本的に聴きやすい方向性をとろうという意図があった。メンバーお互いで補いあった結果だね。過去の作品と同じことをやるのではなく、ロジカルな進歩をした結果だよ。

川嶋:今回はホールトーンやディミニッシュ系のスケールではなく、普通のスケールも多用されていますよね。

ルーカス・マン:確かに普通のスケールも使われているけど、いまだにホールトーンやディミニッシュも多用されていると思うよ。

川嶋:そもそもホールトーンやディミニッシュに惹かれるのは何故なのですか。

ルーカス・マン:俺はハーモニック・マイナーも好きだよ。だけどホールトーンやディミニッシュを使うと、アウト感が出るだろ。即座に耳を惹きつける力があるというのかな。もちろん普通のメロディも素晴らしいけれど、こういうスケールを使うと、ファンや、あるいはファンでなくても、「一体今のは何なんだ?」という感じで注意を引きつけられる。無調のメロディというのは、通常のものとは違った形で頭に残るからね。ファンが楽しめる、俺たちの特徴的なスタイルさ。

川嶋:アルバムに収録されている曲について、順番に説明をして頂きたいのですが...

ルーカス・マン:正直言って、レコーディングしてからこのアルバムを一度も聴いていないんだよ。だから内容をよく覚えていなくて(笑)。6カ月前にレコーディングを終わらせて、もうそれでウンザリ。その後聴く気になれなくて(笑)。発売日は7月28日だったかな?発売されたらまた聴いてみようとは思っているのだけど。「パラレル・シフト」と「インアディクエット」はライヴでもやっているけどね。

川嶋:「パラレル・シフト」は、中間部のシンセ・パートがとてもゲーム音楽っぽいですが。

ルーカス・マン:ビデオ・ゲームというのは、俺が曲を書く上で非常に大きなインスピレーションだよ!特にシンセ・パートにおいてはね。ビデオ・ゲームやそのサウンドトラック以外の音楽、あるいはバンドからインスピレーションを受けることはないんだ。ビデオ・ゲームの音楽というのは、ただギターとベース、バスドラが一緒に演奏しているだけではなくて、メロディやアレンジが複雑で、非常に多くのことが同時に起こっているものだ。それぞれのメロディや楽器を取り出して聴いてみると、とても刺激的で、まったく退屈することがない。だから俺が曲を書くときも、同時にいくつものことが起こるようなスタイルにしている。「パラレル・シフト」のシンセ・パートは、俺もとても気に入っているよ。

川嶋:ジャズやクラシックの風味を感じるパートもあるのですが、こういった音楽からの影響はないのですか。

ルーカス・マン:ビデオ・ゲームだけだね。他のバンドというのは、なるべく聴かないようにしているんだよ。聴いてしまうと、意識的であれ、無意識であれ、似たような音楽を書くはめになりかねない。俺は他人にインスピレーションを与えるような、新しい音楽を書きたいんだ。ビデオ・ゲームからインスピレーションを受けている人はそう多くないだろうし。それから自分が昔書いた曲からインスピレーションを受けて、さらに先へ進めるかというのも試しているよ。

川嶋:今回は、3拍子の曲、パートが目立つように感じましたが、意図的なものですか。

ルーカス・マン:俺たちがやっていることは、すべて意図的だよ。俺は3拍子ってとても好きなんだ。スウィングのフィーリングが出るからね。プレイするのも聴くのも好きだ。多くのメタル・バンドというのは、ブレイクダウンのパートにしても、みなストレート(注:スウィングしていない、シャッフルでない)だろ。ただ俺もあまり変な拍子には頼らないようにしている。誰もついていけないような、あまりにプログレッシヴすぎるものを作るつもりもないしね。複雑なパートに、よりシンプルなパートが入っていると、とてもキャッチーに感じられると思うんだ。

川嶋:歌詞のコンセプトはどのようなものですか。

ルーカス・マン:俺はヴォーカリストでも歌詞を書く担当でもないので、あくまで話を一般化すると、人類を作ったエイリアンが、人類は失敗作だという結論に達し、人類を抹殺する。その後エイリアンは天使と悪魔と戦い、その戦いに勝利をすると、時間と空間を超えて別次元へと向かう。そこで偶然古の存在に遭遇する。その存在は非常に強力で、宇宙の存在そのものを消す力を持っている。おそらくはその存在が、宇宙というものを作り出したんだ。

川嶋:歌詞はエイリアン側の視点で書かれているのですか。

ルーカス・マン:良い質問だね。おそらくはエイリアンの視点で書かれているんだと思うよ。ヴォーカリストが歌詞にしたからね。俺が大まかなストーリーを提供しただけ。正直、彼が書いた歌詞は読んでみてもいないので、詳細はよく知らないのだけど(笑)。俺はあくまで音楽の方を担当しているからさ。

川嶋:今回もアルバム・タイトルはシュメール語ですが、これは何故なのでしょう。

ルーカス・マン:俺とヴォーカリストでリサーチをしたのだけど、シュメール文明の時代に、エイリアンが地球にやってきたと言われているんだ。シュメール人たちは、その様子を「天の神」という形で書き残しているんだよ。とても興味深いだろう。

川嶋:そういったエイリアンに興味を持ったきっかけは何だったのですか。

ルーカス・マン:ずっと興味があるんだよ。もし神というものが存在するとしたら、その正体はエイリアンという可能性があると思うんだ。遺伝子を操作して人類を創ったりさ。あらゆる宗教は、どのようにして人類が生まれたかを説明しようとしているけど、この無限の広さを持つ宇宙には、そういうエイリアンがいても不思議はないだろう。エイリアン関連の映画やゲームも大好きさ。人間対人間の戦争モノのは、いつも同じ感じがしてさ。『Gears of War』や『Dead Space』、『Halo』みたいなゲームは、この世界の外側について考えさせてくれる。きっと俺たちの使うハーモニーやスケールを初めて聴いた人も、同じように感じてくれるんじゃないかな。奇妙な宇宙人のサウンドみたいにね。

川嶋:いわゆるインテリジェント・デザインに興味があるということなのですね。

ルーカス・マン:それはどういう意味?

川嶋:人知を超えた存在が、人間や生命体を創ったというやつです。

ルーカス・マン:そうそう、それ。映画の『プロメテウス』って見た?続編が公開になったばかりだけど、俺はまだ見てないんだ。「インアディクエット」が似たような内容を扱っているけれど、俺たちはこの映画が公開になる前からそういうコンセプトに興味があってね。


川嶋:「土星の環」というバンド名はとてもユニークですが、なぜその名前にしたのでしょう。

ルーカス・マン:エイリアンというのが俺たちの追求するテーマだからね。それに土星は俺のお気に入りの惑星なんだ。見てすぐ土星だとわかるだろ。それに俺は1月生まれだから、占星学的にも、土星が俺の星なんだよ。それに「土星の環」という方が「天王星の環」というよりかっこいいだろ?

川嶋:ギターを始めたのはいつ頃ですか。最初の頃はどのようなものを弾いていたのでしょう。

ルーカス・マン:中学生の頃だよ。2006年頃に、Suicide SilenceやWhitechapelのようなデスコア・バンドが登場し、そこからどんどんテクニカルになっていった訳だけど、ギターを始めた頃は、もっとシンプルな、ロックとかは弾いていたよ。確か12-13歳の頃だったと思う。俺は日時に関する記憶力が非常に悪いので、確かじゃないけど(笑)。

川嶋:当時どのくらいの時間練習していましたか。

ルーカス・マン:当時は学校から帰って来て、ほとんどずっとギターを弾いていたね。学校にいる時と寝てる時以外は、ずっとギターを練習していた。毎日6-8時間は弾いていたんじゃないかな。とにかくうまくなりたかったんだ。だから毎日練習し続けて、高校を卒業するころにはすでにリングス・オブ・サターンで曲を作り、レーベルと契約もして、Summer Slaughterといった大がかりなツアーに参加するようになっていた。そこにたどり着くまで、あっという間だったね。

川嶋:お好きなギタリストは誰ですか。

ルーカス・マン:Jeff Loomis、Shawn Lane、Rusty Cooley、あと誰かいたかな。今挙げた3人はとても興味深いリフを書くよね。

川嶋:音楽理論は勉強されましたか。

ルーカス・マン:非常に短い期間勉強しただけだよ。大学には1年も行かなかった。バンドがレーベルと契約して、ツアーにも行くようになったからね。音楽に関するコースをほんのちょっとだけとったけど。インターネットで知りたいスケールやコード進行があったら、それをタイプしてサーチすれば簡単に出てくるしね(笑)。

川嶋:音楽理論というのは勉強するべきだと思いますか。

ルーカス・マン:正直言って、俺は音楽理論というのは多くの人にとって足かせにしかならないと思う。作曲に関する才能がよほどある場合以外はね。他のバンドや人間が作った型にはまってしまう危険性があると思うんだ。作曲というものは、過去に作られたものを再現するよりも、自ら新たなものを提示する方が良いよ。俺は自分でスケールを作ったりもするしね。無調の曲を書いたり、自分の理論というものを考えるようにしているよ。その方が人々の耳を惹きつけることができるしね。音楽理論というのは、あくまで過去にやられてしまったことの繰り返しだ。ルールやコンセプトとしてさんざん使い古されたね。違うことをやらないと。違うことをやる方が、競争もないしね(笑)。

川嶋:あなたは作品のタブ譜を公開していますよね。

ルーカス・マン:俺は人々にインスピレーションを与えたいし、みんなに俺みたいなプレイをしてもらいたいんだ。その手助けをしたいんだよ。過去にはタブ譜を販売したことがあるのだけど、今はインターネットで無料で公開しているよ。だけどやっぱり本として手にとりたいというファンも多いんだよね。新譜についても、欲しいという声が大きければ、販売するかもしれないよ。

川嶋:若いギタリストにアドバイスをお願いします。

ルーカス・マン:とにかく練習あるのみだよ。練習しかない。脳に覚えこませて、そして筋肉記憶に刻みこむ。何度も何度も同じ動きを練習すれば、体が覚える。俺は今では何も考えずにスイープをやれるし、もはや練習も必要もない。10数年も毎日6-8時間練習してきたからね。正しい練習をすること、リラックスをすることが大事だ。インターネットにはたくさん有益な情報もある。

川嶋:テクニカルであることが目的になってしまっているバンドというのが散見されますが、それを避けるコツというのはありますか。

ルーカス・マン:俺たちと同じようなスタイルで、酷いやり方をしているバンドはいると思う。まさにテクニカルであることが目的になってしまっているようなね。そういうバンドは、大切なことを見落としているよ。テクニカルであるということだけでなく、やはり音楽的に良いとか、優れたメロディがあることが大切さ。ホールトーンやディミニッシュを使うにしても、フックがあることが大切だし、無意味なシュレッドばかりでは仕方がない。そんなことをやっていては、アンダーグラウンドのファンしか集められないよ。何も大衆にこびる音楽をやれということではなく、自分自身を満足させるものを作るのが大切だということだよ。俺は一小節にどれだけ音符を詰め込めるかを試しているのではない。自分がハッピーと思える曲を書いているだけだから、テクニカルが目的にならないように、なんて注意をする必要もないよ。テクニカルにプレイすることが、そもそものゴールじゃないからね。

川嶋:カリフォルニアにはUnique Leader Recordsというレーベルや、あなたたちの他にもDeeds of Flesh、Fallujahなど、非常にテクニカルでプログレッシヴなバンドが多くいます。これは何故だと思いますか。文化的なものでしょうか。

ルーカス・マン:正直言うと、俺はカリフォルニアが嫌いなんだ(笑)。だから今はテキサスのオースティンに住んでる。かつてはベイエリアに長く住んでいたのだけどね。おそらくカリフォルニアというのは、アメリカでもっともリベラルな土地だ。誰でも好きなことがやれる。色々な実験をしたりね。だから実験的なバンドやエクストリームなバンドがたくさんいる。もっとずっと人口の少ない、たとえば、そうだな、どこだろう、ユタとは違ってね。ユタのバンド自体思いつかないな。まあ俺はそもそもユタのことを何も知らないから、何とも言えないけど。いずれにせよカリフォルニアは人が多く、とにかくリベラルで、自由な思想が根付いているところだ。俺がカリフォルニアが嫌いだというのは、自由な思想のせいじゃないよ(笑)。自由な思想には何ら問題はない。俺は人が少なくて静かな環境が好きなんだよ。今はとても静かなところに住んでいる。音楽にも集中できるしね。

川嶋:お好きなアルバムを3枚。教えてください。

ルーカス・マン:難しいな、俺はさっきも言ったようにあまりバンドを聴いてなくて、ゲームのサントラばかりなんだ。それでも良ければ、『クロノ・トリガー』とか。『ドンキー・コング・カントリー2』のサントラも良い。『ファイナル・ファンタジーVI』も素晴らしいね。『Mega Man Xシリーズ』は、俺の曲作りに大きな影響を及ぼしている。とてもヘヴィで、スーパーニンテンドーのゲームとは言えロックっぽい音楽を初めて取り入れたゲームなんじゃないかな。ゲームのサントラには良いものが多いよ。

川嶋:では最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

ルーカス・マン:メッセージか。日本ではプレイしたことないけど、もしいつか行けたらクレイジーだね(笑)こんなところかな(笑)。

川嶋:ぜひ日本に来て、ゲームを色々とチェックしてみてください。

ルーカス・マン:イエス!それはいいね。ぜひ見てみたいよ!


 自らの音楽をエイリアン・デスコアと呼ぶリングス・オブ・サターン。歌詞のコンセプトがエイリアンというだけでなく、ホールトーン・スケールやディミニッシュのアルペジオなどを多用し、音楽的にもエイリアン的であった彼らだが、本作では一転、「一般的な」メロディを大幅に取り入れている。『オルトゥ・ウラ』は、リングス・オブ・サターン史上、最も聴きやすい変態アルバムだ。おそらくはメロデス・ファンも、普通に楽しめることだろう。

それにしてもリングス・オブ・サターンの演奏テクニックは凄まじい。あまりに速すぎて、正確すぎて、編集しているんではないか、早回ししているんではないか、などの疑惑の目を向けるものも少なくない。だが、彼らは超テクニカルなフレーズを、ステージでも披露してみせているし、YouTube上で実演して見せてもいる。そしてまた速すぎる、正確すぎるがゆえに、演奏が機械的に聴こえてしまうというある種の副作用が、エイリアンというコンセプトとも合致して見事な効果を生み出しているのも面白い。YouTube上ではタブ譜付で、メンバーが『オルトゥ・ウラ』の楽曲を解説しているものもあるので、ギタリストの皆さんはぜひ参考にしてみて欲しい。それにしても楽器の演奏技術の向上というのは驚くべきものがある。私が子供の頃は、ライトハンド奏法というだけで、みんなびっくりしたものだったのに。『オルトゥ・ウラ』は、2017年時点でのエクストリーム・メタルの究極形態の一つであることは間違いないだろう。

取材・文:川嶋未来/SIGH
Photo by Stephanie Cabal


日本盤

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価格(税込) : ¥2,484

発売日: 2017年07月28日

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価格(税込) : ¥2,149

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