「1993、恋をしたっちゅ〜の」バイヤー寺町 今月はセイント・エティエンヌ、フェザーデイズを推薦

2017年05月09日 (火) 10:00

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HMV&BOOKS online - ロック


HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが今月紹介する良質ポップスとは?

【第12回】1993、恋をしたっちゅ〜の。


いま90年代が新しい、ってことで音楽もファッションも90年代ブームっすよね。映画『トレインスポッティング』の続編、オザケン新曲にジャミロクワイ新作に...。90年代といえばJリーグが発足し、プロ野球からサッカーへ、そしてケミカル・ブラザーズの台頭でロックからダンス・ミュージックへ大衆の人気が移り変わり、ある種のいなたさから脱却し、よりスマートなものへ傾倒していった時代。

そんな90年代のはじまりに、ニール・ヤング涙の名曲「オンリー・ラヴ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」を完全に情緒を排除してアンニュイ&ポップにカヴァーしたセイント・エティエンヌの登場は、90年代カルチャーを象徴していました。ダスティ・スプリングフィールドのサンプリングがパーフェクトにハマった「ナッシング・キャン・ストップ・アス」のまばゆさったら。

そして、デビュー作『フォックスベース・アルファ』から25年以上が経ち、再評価の気運が高まる2017年、5年ぶりの新作がリリース。やっぱりこの人たちは生粋のロンドンっ子(出身は郊外)。モダーンズという意味でモッズですよね。60〜70'sポップスへの憧憬を、ハウス/バレアリック/アンビエント/ダブなどの手法を交え、現在進行形のインディ・エレポップに落とし込むセンスは相変わらず冴えています。蓄積された音楽的好奇心とポップスの初期衝動がこの時代に最良の形で表現された、新たなクラシックの誕生。



今月のもう1枚は、90年代ローファイ・ヴィブス漂う、ニュージーランド出身のフェザーデイズ『モーニングサイド』を。90’sにレイドバックしたシンプルなギター・ポップサウンドですが、凛としていて、ドリーミーでソフト・サイケデリックな心地良さもあって。フロントの美女アメリアちゃんがひたすらロングボードでクルージングする「Little Uneasy」のMVは、レイドバックした佇まいながら今の空気が交錯する不思議なタイム感があるんです。これ観てトリコになりました。

今年はUSインディ大豊作で、他にもヴァガボンやヘイゼル・イングリッシュなど、バック・トゥ90'sオルタナな良作がざくざくリリース。特に Tugboat Records は要チェック。それではまた来月!


Home Counties

CD

Home Counties

Saint Etienne

価格(税込) : ¥2,310

会員価格(税込) : ¥2,125

まとめ買い価格(税込) : ¥1,963

発売日: 2017年06月21日

Morningside

CD

Morningside

Fazerdaze

価格(税込) : ¥2,640

会員価格(税込) : ¥2,429

まとめ買い価格(税込) : ¥2,244

発売日: 2017年06月02日

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寺町知秀(てらまち ともひで)

1999年にHMV渋谷入社。HMV立川など7店舗で店長を務め、計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当。

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