【インタビュー】シス・カンパニー公演「死の舞踏」池田成志

2016年12月15日 (木) 00:00

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インタビュー・文/大内弓子
Photo/会田忠行
構成/月刊ローチケHMV編集部 12月15日号より転載
写真は本誌とは別バージョンです

しっかりやることで平さんの供養になればと


10月から放送されている連続ドラマ『Chef〜三ツ星の給食〜』でもおなじみの顔である。給食を作りながらどこかくせ者的な雰囲気を漂わせて印象を残した男は、その役者としてのキャリアを主に舞台で積んできた。
82年に鴻上尚史率いる「第三舞台」に参加して以来、つかこうへい、野田秀樹、三谷幸喜、宮藤官九郎、劇団☆新感線のいのうえひでのりなど、演劇界の名立たる劇作家・演出家の作品に出演。どんな作風でもどんな役でも観る者の心に入り込んで結果を残し、作り手たちの信頼を得てきた。そんな評価があればこそだろう。池田成志が、急逝した平幹二朗に代わり、舞台『死の舞踏』に出演することが決定した。

池田 平さんとは一度舞台でご一緒したことがあったんですけど、亡くなられたことに驚きましたし、このお話があったことも驚きでした。平さんと僕とでは、年齢も持っている個性も、あまりにも違いすぎますから。ただ、狭い演劇界、困っているときは相身互いといいますか。ここで受けなければ男がすたると思って、お引き受けすることにしたんです。平さんにはとても及びませんけど、お受けしたからには自分にできることをやっていくしかない。下手な小細工をしないで丁寧にやっていこうと思いますし、たぶん、平さんもそうおっしゃるような気がするんです。『あなたはあなたなんだから』って。

実際、池田が演じる退役間近の大尉エドガーは年配の俳優によって演じられることが多いが、台本に書かれている年齢は池田の実年齢である54歳とあまり変わりない。しかも、約100年前に書かれた戯曲でありながら、孤島に暮らす冷めきった夫婦とひとりの男を通して描かれるのは、結婚や老い、死といった、今も変わらず人間が直面している問題ばかり。書いたのは、イプセンとともに、近代演劇の先駆者と称されてきたスウェーデンの劇作家ヨハン・アウグスト・ストリンドベリである。

池田 ストリンドベリは知っていましたが演じるのは初めて。古臭さはまったくなく、むしろすごく現代的だなと思いましたね。大尉が死に直面しながら生への執着を示す気持ちも理解できます。大尉と妻はずっと喧嘩していて、愛しているとか愛していないとかっていうことがどうでもよくなるくらいのやりとりが繰り広げられる。しかも、お互いが口にしていることがどこまで本当なのかわからないのが面白い。ずっとテンション高くしゃべっているから演じるのは大変だろうなと思いますけど。その人間の滑稽さみたいなものをどんなふうに見せられるか、稽古が楽しみですね。演出と共演のお三方はご一緒するのが初めてなので、皆さんがどう出てくるのか読めないという点でも、楽しみなんです。


妻のアリス役を演じるのは、連続ドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)で話題を集めた神野三鈴。夫婦の間に突如現れる妻の従弟のクルト役は、「TEAM NACS」の音尾琢真が演じる。そして、上演台本と演出を手がけるのが、来年度から新国立劇場芸術監督に就任が決まっている気鋭の小川絵梨子だ。

池田 小川さんが演出された作品はいくつか拝見していて、あまり余計なことはしないというか、ケレン味を考えないで、その台本が言いたいことは何なのかっていうところをシンプルに追求されている印象があります。で、僕は、翻訳劇なら、変に海外に寄せることにこだわるよりも、そんなふうにあくまでも書かれていることを換骨奪胎して核に迫るようなもののほうが好きなので。小川さんをはじめ、神野さん、音尾さんと一緒に、きっと、面白い作品づくりができるんじゃないかと思っています。

さらに池田が楽しみにしているのは、この公演にもうひとつのストリンドベリの作品『令嬢ジュリー』があること。同じく小川の演出で、小野ゆり子、城田優、伊勢佳世が出演し、シアターコクーンの中に作られる2つの舞台で連日交互に上演するという初の試みがなされるのだ。

池田 ひとつの劇場の中に舞台が二つあるなんて面白いじゃないですか。片方を上演しているとき、もう一方のガランとした舞台にもきっと何かしら気配が残っているでしょうし、どこか夢みたいな演劇体験ができるんじゃないかなと。若い男女の話と我々熟年の話、両方を観ていただくことで何か感じていただけるのではないかとも思います。この劇場構造をはじめ、初めてのことばかりで、自分自身どうなるかわかりませんが。だからこそ、欲をかかずしっかりとやって、少しでも平さんの供養になればなと思うんですひとつの劇場の中に舞台が二つあるなんて面白いじゃないですか。片方を上演しているとき、もう一方のガランとした舞台にもきっと何かしら気配が残っているでしょうし、どこか夢みたいな演劇体験ができるんじゃないかなと。若い男女の話と我々熟年の話、両方を観ていただくことで何か感じていただけるのではないかとも思います。この劇場構造をはじめ、初めてのことばかりで、自分自身どうなるかわかりませんが。だからこそ、欲をかかずしっかりとやって、少しでも平さんの供養になればなと思うんです。

“演劇怪獣”と呼びたくなるほどの手練れが改めて真摯に立ち向かう姿。しっかり目撃したい。

プロフィール

イケダ ナルシ '62年、福岡県出身。'82年、「第三舞台」に参加し、俳優活動を始める。つかこうへい、三谷幸喜、宮藤官九郎、いのうえひでのりら、様々な舞台作家、演出家の作品に出演し、高い評価を受けている。


公演情報


シス・カンパニー公演「死の舞踏」

[作]アウグスト・ストリンドベリ
[翻案]コナー・マク・ファーソン
[翻訳・演出]小川絵梨子
[出演]池田成志 神野三鈴 音尾琢真

2017年3月10日(金)〜4月1日(土) 東京・Bunkamura シアターコクーン



交互上演されるもう1つの作品もチェック

コクーン内に作られた二つの小劇場・「死の舞踏」と連日交互に上演される「令嬢ジュリー」も合わせてチェック。

「令嬢ジュリー」

[作]アウグスト・ストリンドベリ
[上演台本・演出]小川絵梨子
[出演]小野ゆり子 城田優 伊勢佳世

2017年3月10日(金)〜4月1日(土) 東京・Bunkamura シアターコクーン



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