【バンダイ食玩探訪・前編】コレクションシール世代が生み出す『つくも鬼譚』は“鬼が主役”のモモ退治!?

2016年03月29日 (火) 10:00

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●太陽光に当てると柄が浮き出る特殊インクを採用

 人気IP(知的財産)を活用した食玩商品を多く手掛けるバンダイ キャンディ事業部が、2016年、完全新規IPの食玩シリーズを相次いで発売している。その中から、子どもだけの楽しみにしておくにはもったいない2シリーズを、企画者のインタビューを交えて前後編でご紹介。第1弾は、新世代コレクションシールグミ『つくも鬼譚(きたん)〜伝説の三神鬼〜』だ。


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※左上のファイルは非売品です。

 『つくも鬼譚』に入っているのは、コレクションシール1枚とコーラ味のトレーグミ1個。昔話に登場する鬼をヒーローに据えたコミカルな世界観が設定されており、現在全26種がラインアップされているコレクションシールには、鬼の少年である主人公“閃鬼(ひらめき)”を始めとした“鬼”のキャラクターや、ライバルの剣士“モモ・タロッサ”(もちろんそのモチーフは桃太郎!)の仲間たちが描かれている。

 またこの『つくも鬼譚』の大きな特徴のひとつが、太陽光に当てると背景に柄が浮かび上がる“光合醒(こうごうせい)”。果たしてこの仕様はいかにして生まれたアイデアなのか? また、“鬼が主人公”という発想はどこから生まれたのか。本記事では、『つくも鬼譚』の企画・開発を担当したバンダイ キャンディ事業部 菓子事業チーム リーダーの可児琢巳氏に、開発秘話を直撃した。

 インタビューの前に、まずは『つくも鬼譚』の世界観をおさらいしておこう。


●世界観

人ノ里から海を渡った先に鬼ヶ島という島がある。
島には鬼提樹という巨大な樹が生え、その樹になる角具実(ツノグミ)を食べてさえいれば、鬼として生きていられた。
しかしあるとき、何人かの鬼が人ノ里を襲い、宝物を奪っていった。
すると、今度は人ノ里の者が鬼ヶ島から宝物を奪い返し、さらに鬼ヶ島の鬼までさらっていった。
そしてまた鬼が人ノ里を襲い、また人が取り返し……
そんなことが何度もくり返されていた。
戦いは次第に大きくなり、最後は大合戦になった。
人の手に余る巨大な兵器や、鬼も恐れる荒ぶる神鬼まで投入された大合戦は鬼も人も不幸にした。
その後、鬼ヶ島と人ノ里の行き来はなくなり、何十年も過ぎた……。
かつての大合戦の跡地は立ち入り禁止になり、すべてはただの昔話や言い伝えになってしまった。
いまの鬼ヶ島は、とっても平和で、のんびりしている。
角具実も昔ほどではないが、島の鬼が食べる分は十分にある。
が!! その平和は、いま、こわれようとしている。
人ノ里から3人のお供を連れてくる、ある男によって……。


●レアを含むシールイラスト全種を大公開!

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▲並べると迫力満点のシールたち。“噛付鬼”は台紙を4枚集めて応募すると抽選でもらえる限定の鬼レアシールだ(詳細は公式サイトへ)。さらに右下の“閃鬼”は、“次世代ワールドホビーフェア '16 Winter”で配布された限定シール(現在配布は終了)。

『つくも鬼譚』の誕生秘話を訊く!

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▲バンダイ キャンディ事業部
菓子事業チーム リーダー 可児琢巳氏

――まずは、『つくも鬼譚』とはどのような商品なのかを教えていただけますか。
可児 48mm角のオリジナルキャラクターがプリントされたコレクションシールと、世界観にも登場する“角具実”という角の形をしたトレーグミが入ったシール付きグミ商品です。主人公は鬼の少年“閃鬼(ひらめき)”で、鬼ヶ島に住む少年なのですが、そこに謎の“モモ・タロッサ”という剣士が現れ、伝説の“三神鬼”と呼ばれる鬼の神様を巡る戦いがくり広げられます。昔話の桃太郎とは違い、この世界では鬼が主人公で、人ノ里からやってきた“モモ・タロッサ”がライバルとして登場します。

――いったいどういった経緯で『つくも鬼譚』は生まれたのでしょうか?
可児 2014年ごろから、キャンディ事業部の有志が集まり、オリジナルのキャラクターを立ち上げようという企画がありました。カード付きの商品はすでにありましたが、シールのオリジナルキャラクター商品はなかったので、シール市場を新たに創出していこう、と。私自身もコレクションシールで育った世代ですので、それをいかに“いま風”に復活させるかを考えていたところ、既存のキャラクターのシールよりも、オリジナルのキャラクターに挑戦したほうが我々にとっても財産になると考え、企画が立ち上がりました。

――あえて鬼を主人公に据えられた意図というのは……?
可児 等身の高いキャラクターを採用したものや、よりデフォルメしたキャラクターに寄せたものなど、さまざまなバリエーションの案を用意し、実際に子どもたちの反応を見て検討した結果、単純に桃太郎のようなキャラを主人公に据えるよりは、鬼のようなダークヒーローが主人公の逆転した世界観のほうが、新しい切り口になるのではないかということで、あえて逆転させた世界観を作りました。

――そこで桃太郎をベースにされたのは、やはり誰もが知る物語だからなのでしょうか。
可児 そうですね。昔話、おとぎ話は誰でも知っていますから。オリジナルの世界観ですと、やはり知っていただくまでに時間がかかります。桃太郎などわかりやすいビジュアルのほうが、子どもたちもすんなり入ってこれるのではないかということで、誰もが知る桃太郎をベースにしました。それはそれでありがちな世界になってしまうので、あえて鬼の少年を主人公にして、逆に桃太郎をライバルにしたほうが、新しい世界観を構築できるのではないかな、と。


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▲特別に見せていただいた初期の企画資料。この時点ではまだ桃太郎をモデルにした“桃タロッサ”が主人公!

――『つくも鬼譚』ではさまざまな鬼が登場しますが、キャラクターはどのようにして生み出していくのでしょうか?
可児 昔話のキャラクターたちは、物語になぞらえて考えています。そのほかの鬼は、「き」が付く言葉をチームメンバーとリストアップして考えました(笑)。バリエーションを出すために、学校にあるものや食べものなどから「き」がつくものを出し合いましたね。そこからおもしろそうなものや、バリエーションが出そうなものを抽出して、今後の第2弾、第3弾の構成も考えつつ、全体のバランスを見て考えています。

――名前ありきで生まれているんですね!
可児 子どもたちは普遍的にダジャレが好きであろう、と。“「き」がつくものは鬼の仲間である”とすんなり受け入れてもらえるのではないかなと思い、名前ありきでキャラクターを作り上げています。なかにはいまではあまり使わないような言葉もありますが、第1弾では子どもに親しみがありつつ、バリエーションに富んだ“○○鬼”を織り交ぜることになりました。

――とくにキャラクターとして落としやすいモチーフやモノはあるのでしょうか?
可児 “いとしき”や“とんちき”といった言葉よりは、“炊飯器”や“掃除機”といったモノのほうが、イラストレーターの方も描きやすかったと思います。抽象的な言葉ではイメージが具体化しづらいですが、炊飯器や掃除機であればビジュアルとしてみんなが知っているものですので。

――第1弾では全26種のシールが登場していますが、今度は何種類くらい登場する予定なのでしょうか。
可児 第1弾の反響や、この先の状況次第で変わってくるとは思いますが、第2弾以降も数弾分は構成を組んでいます。単純計算で100種程度はありますね。

――かわいらしいものからカッコイイものまで、バリエーション豊かなキャラクターが用意されていますが、キャラクターデザインにおいて心掛けていることはあるのでしょうか?
可児 やはりカッコイイだけでは偏ってしまいますので、多少ヌケ感のあるキャラクターや、かわいい路線のものを織り交ぜています。イラストレーターさんにはイメージを伝えて、1キャラクターにつき2〜3パターンのデザイン案をいただいています。そのなかで「こっちのほうがいいから変えちゃおう」ということも、もちろんありますよ。企画途中で変幻自在にできるのがオリジナルキャラクターの魅力でもありますね。企画を走らせながらもいろいろと考えられる点は、楽しんでやっています。

――ちなみに、可児さんのイチオシキャラクターというのは……?
可児 当初から“炊飯鬼”が好きです(笑)。わかりやすいのと、鬼のキャラクターが“おに”ぎりを持っているのが自分のなかではクスッとポイントですね(笑)。


●初めての特殊インク採用で試行錯誤

――『つくも鬼譚』の大きな特徴といえ場に太陽光に当てると柄が浮かび上がる“光合醒”ですが、“光合醒”のアイディアはどこから着想されたのでしょうか。
可児 単なるオリジナルキャラクターのコレクションシールですとパンチがありませんから、新しい要素、いまだからこそできる要素を加えたいと考えていました。印刷会社に「何か新しい要素を盛り込みたい」とかねがね相談していたのですが、その中のひとつに特殊インクがあり、「子どもにとってもおもしろいかも」と。温めると色が変わるものや、角度を変えると絵が変わる“レンチキュラー”は昔からあったのですが、太陽光に当てて変化させるものはあまりないですよね。それから、シールであるからには、実際にいろいろなものに貼ってもらいたかったのです。何かに貼って、外に持って出たときに柄や絵が変わるのはおもしろいかもと思い、“光合醒”のアイデアを盛り込みました。ちなみに“光合醒”のネーミングの由来は、“光合成”+“覚醒”です(笑)。

――楽しみかたの幅も広がりますよね。
可児 室内で眺めたときと、外や太陽光の当たる窓辺では見えかたが変わります。1枚で二度楽しめるところがいいですよね。

――太陽光に当てることで、シールの角に“角メーター”という線が浮かび上がりますね。
可児 これはちょっとした遊びです。シールですので複雑なゲーム性を盛り込むのは難しいのですが、メーターで遊べるような要素も盛り込みました。そういった要素を入れることで、なおさら太陽光に当ててみたくなると考えまして。友だちとのコミュニケーションツールにもなると思っています。

――ただのシールではなく、簡単な遊びを楽しめる仕様になっている、と。
可児 ホビー性を持たせていますね。コレクションシールはキャラクターの属性でジャンル分けされていることも多いですが、『つくも鬼譚』でもそういったグループ分けが作れないかなと考え、4枚集めて並べると現れる“4メーション(フォーメーション)”を考えました。決まった4枚を並べると、四隅が並んだスペースにキーワードとなるアイテムが現れるというものです。


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▲左が“光合醒”バージョン。背景に柄が浮かび上がっているのがわかる。ぜひ太陽の光に当てて試してほしい!

――『つくも鬼譚』の企画・制作において、とくに苦労した点や、こだわった点はどこでしょうか?
可児 特殊インクに関しては、印刷会社さんとしても商品に採用するのが初めての試みでしたので、我々の商品化の進行とともに、インクの改良を続けていただいていました。「色味が出ない」ですとか、「太陽光への反応が弱い」ですとか、そういう部分を印刷会社さんとやりとりして制作しました。試作機と本機で刷るものは環境も条件も違いますから、何度もくり返しましたね。ちゃんとした機械で刷ってみないと、試作で刷っただけではわからない部分もありましたし……。実際の商品では、特殊インクで印刷してある柄は白に溶け込んで見えないのですが、当初の試作品では下の柄がうっすら見えて、ネタバレしていたり(苦笑)。「こういうレベルじゃないと無理かもしれません」と言われたこともありましたが、「そこはネタバレになってしまうんです!」と押し問答をしたことを覚えています(苦笑)。

――技術とこだわりの結晶なのですね!
可児 印刷会社さんやインク会社さんにも大きなお力添えをいただきました。通常は一度印刷に立ち会えば終わるものなのですが、一度行って失敗し、帰れなくなり、一泊したにもかかわらず翌日は条件が整わずに見送り、週明けに立ち会いに行く……といった事態になったことも(笑)。新しい仕様にトラブルはつきものですが、そうやってご協力いただいたからこそ、新しい仕様のコレクションシールが完成しました。

――通常のコレクションシールとは違い、太陽光に当ててチェックをしなければいけないのは大変ですね。
可児 刷ってそのまま外に行って、みんなで日に当てて「薄い!」と言いながらチェックしましたね(笑)。制作は夏と比べて紫外線量も弱い時期でしたが、季節を問わず楽しめないといけませんから。特殊インクの仕様はこの商品のポイントですので、何度もこだわりましたし、いちばん苦労したところでもあります。


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▲さまざまな試行錯誤を経て生まれた『つくも鬼譚』。貴重な企画資料を激写!

――正統派ではなく、少しひねりのある世界観も『つくも鬼譚』のこだわりポイントなのでしょうか。
可児 開発時、キャンディ事業部として展開していたオリジナルキャラクター商品『神羅万象チョコ』や2016年2月に発売した『言獣覚醒ワーディアン』は、ビジュアルとしては非常に正統派です。そこで新たに正統派のものを打ち出してしまうとユーザーが食い合ってしまいますので、『つくも鬼譚』ではダジャレやギャグ要素を取り入れたほうが、ユーザー層も変わり、展開する商品のバランスが取れるかな、と。ダジャレやギャグテイストにも使えるキャラクターを目指しました。「かっこよすぎない」ところを意識しましたね。

――今後はどのようなキャラクターが登場するのですか?
可児 第2弾は6月発売を予定しています! 展開として、“モモ・タロッサ”に代わる新たなライバルが現れます。それから、食べ物にまつわる鬼ですとか、子どもたちが好きな交通系の“鬼”も登場予定です。第2弾では、第1弾(全26種)と同じくらいの種類数を展開予定ですが、ホロシールや金銀のシールといったバランスを少し変える予定です。第1弾は白い背景を多めにとっていますが、第2弾では背景にも通常印刷があり、通常時でもある程度派手な印象で、さらに太陽光に当てると部分部分に変化が出ますから、少し見た目もパワーアップして見えるのではないかな、と。

――ちなみに……大人世代も楽しめますか?
可児 購入者層でもっとも多いのは10歳くらいのお子様ですが、じつは30代の方にも購入していただいているんです。私のようにコレクションシールで育った世代やコレクターの皆さんにも集めていただけるシリーズとして展開していきたいですね。子どもたちはダジャレが好きですが、結局年齢を重ねていくと、またオヤジギャグのようなダジャレに戻ってきますから(苦笑)。大人世代もクスッと笑える展開をしていきたいです。ぜひよろしくお願いします。

――ありがとうございました!




(C)BANDAI

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