【インタビュー】AMORPHIS

2016年02月01日 (月) 18:15

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 先日来日したAmorphisのギタリスト2人、エサ・ホロパイネンとトミ・コイヴサーリに話を聞いてみた。

川嶋未来(以下、Mirai)---それでは始めましょう。日本の印象はいかがですか。

エサ・ホロパイネン(以下、Esa):ツアーの日程が決まると、いつも行くのが楽しみな国だよ。たいてい東京と大阪だけど、Children of Bodomと回った時は名古屋にも行ったんだったかな。

Mirai---あなたたちはデス・メタル・バンドとしてキャリアをスタートしましたが、最初の頃はどのようなバンドから影響を受けていたのでしょう。

トミ・コイヴサーリ(以下、Tomi):初期のデス・メタル・バンド、Morbid AngelCarcassParadise Lostとか。それから当時70年代のプログレも聴き始めていたので、そういう音楽からの影響も受けていたよ。

Mirai---当時フィンランドから出てきたデス・メタル・バンドは、スウェーデンのバンドとも明らかに違うスタイルでしたよね。

Esa:スウェーデンのバンドというのは、わりと同じような音を出していたけれども、フィンランドのバンドはそれぞれが自分たちのやりたいことをやっている感じだからね。NightwishStratovarius、俺たちもChildren of Bodomも全然違うスタイルだろう。聴けばすぐにそれが誰なのかがわかる。

Tomi:80年代のフィンランドのバンドは、アメリカやイギリスのバンドのマネをしようとして結局うまく行かなかったんだよ。なので彼が挙げたようなバンドが結成された時、ファンは皆マネではない、独自の音楽というのを期待したのだと思うよ。

Mirai---80年代のフィンランドには、あまりスラッシュ・メタル・バンドはいませんでしたよね。

Esa:いなかったね。せいぜいStone、それからAirdashくらいだったかな。

Tomi:Airdashはあまり演奏のうまくないデス・メタルみたいな感じだったね。

Mirai---ところがその後デス・メタルのムーヴメントが突然起こりました。

Esa:そうなんだ。何故突然ムーヴメントが起こったのかはわからないけど、パンクやハードコアのファンが流入してきたのだと思う。

Mirai---スウェーデンと同じですね。

Esa:そうだね。そういう人たちがデス・メタルのライヴもアレンジするようになったんだ。

Tomi:テープ・トレードが盛り上がっていたというのもあると思う。なかなか見つけられないアルバムを必死に探す代わりに、皆デモ・テープというものに興味を持ち始めたんだ。

Esa:皆が自分のファンジンを始めたり、素晴らしい時代だったよ。フライヤーを送りあったりね。

Mirai---インターネット以前の古き良き時代ですね。

二人とも:そうだね(笑)。

Mirai---Amorphisはその後音楽性を広げて行きますが、何か具体的なきっかけはありましたか。

Esa:いや、俺たちは「こういうスタイルの音楽を書こう」と意識をしたことはない。もっと深いものを書こうとは思ったけれども、思考方法を変えたりはしていないよ。『Elegy』以降メロウな音楽性に変わったという人が多くいるけれども、あれはAmorphisの要素が詰まったアルバムであり、俺たちにとって今でもとても重要な作品だ。作る作品は、自分たちが聴きたいと思うような作品にしたいんだ。

Mirai---次の質問は非常に抽象的なのですが、あなたたちの音楽はどの程度「フィンランド的」だと思いますか。

Esa:(笑)。もちろんフィンランドの民俗音楽の要素を取り入れているから、フィンランド的な部分はある。特にメロディにはフィンランドを思わせる部分があると思うよ。そもそも俺たちはフィンランド人で、フィンランドのバンドだからね(笑)。

Tomi:フィンランド的なものが出てくるのは、とても自然なことだよ。

Mirai---フィンランドの民俗音楽というのはどのようなものなのでしょう。Amorphisのメロディというのは、日本人にとって非常に親しみやすいものに感じるのですが。

Esa:フィンランドの民俗音楽は、とてもメランコリックなものだね。

Mirai---ロシアの民俗音楽から影響を受けていたりするのでしょうか。

Esa:いや、ロシアの音楽はもっと明るいんじゃないかな。アコーディオンを使ったヴォッカ・ソングみたいな(笑)。各地の民俗音楽の違いというのはとても面白いよね。

Tomi:スウェーデンの民俗音楽も明るいしね、長調で。フィンランド人は短調が好きなんだよ。

Mirai---あなたたちはよくカレワラを題材にしていましたが、フィンランド人にとってカレワラとはどのようなものなのでしょうか。ロシアからフィンランドが独立した時にも大きな役割を果たしたと言われていますが。

Esa:カレワラは、フィンランド語という言語の成立に大きな役割を果たしているんだ。色々な人によって書かれた詩をエリアス・リョンロートが編集した本なのだけど、彼はフィンランドの書き言葉を作り上げたんだ。フィンランドでは、学校の授業でも取り上げられるし。だけど古いフィンランド語で書かれているので、我々フィンランド人にとっても読むのは容易ではないんだ。

Tomi:子どもの頃はまったくクールだと思わなかったよ!まったく意味がわからなくて。

Esa:カレワラの神話は非常に興味深いので、歌詞用に翻案しているんだ。音楽的にも民俗的なものを取り上げているから、歌詞としても非常に相性が良いしね。

Mirai---カレワラというのはフィンランド人のアインデンティティを反映するようなものなのでしょうか。

Esa:うーん...

Mirai---少なくともフィンランド人なら誰でも内容は知っている?

Esa:知っているよ。一つ言えるのは、カレワラがフィンランド人の精神性、考え方を反映しているというのかな。カレワラの登場人物を見てみると、当時からそれがあまり変わっていないことがわかる。今でもそれぞれの登場人物に対応するような人間を、フィンランドで見つけることができるよ(笑)。


Mirai---あなたたちの音楽はフィンランド的なだけでなく、中東やインドなどの要素もありますが、これはどのような影響によるものなのでしょう。60〜70年代のロック、またKingston Wallあたりでしょうか。

Esa:オリエンタルな要素を取り込んだという意味では、Kingston Wallからの影響が一番大きい。オリエンタルな要素というのはロックでは常套句なのだから、メタルでもやってみようと思ってね。

Tomi:スカンディナヴィアだけではなくて、他の地域の民俗音楽にも興味を持つようになったんだ。Kingston Wallや70年代のプログレなどを通じてね。

Esa:Kingston Wallは非常に多彩な要素を持ち込んでいたからね、そこに魅かれて俺たちも同じことを試してみようと思ったんだ。もちろんそのままコピーするつもりは無かったけれど。色々な要素を持ち込むことで、音楽的に豊かになると思うんだ。


Mirai---Kingston Wallはフィンランドでは非常に人気があると聞いたのですが。

Esa:そうだね、ただ残念ながら彼らは3枚しかアルバムを残さなかった。ヘルシンキではとても人気があったけれども、その他の地域ではそれ程ではなかったかな。最後のアルバムからもう20年近く経つけれど、もしかしたら当時よりも今の方が人気があるかもしれない。Kingston Wallのトリビュート・バンドもたくさん出てきたし、アルバムが再発されたりDVDが出たり。シンガーが亡くなったこともあり、伝説になってきたというのかな。

Mirai---彼は自殺だったのですか。

Esa:そう、教会から飛び降りたんだ。当時俺たちは20代だったのだけど、知り合いが死ぬというのは非常にショックだったし、音楽シーン全体にも大きな衝撃を与えたよ。

Mirai---Kingston Wallのシンガーが亡くなった翌年にリリースされた『Elegy』は、Kingston Wallの遺志を継ぐような内容になっていたように感じたのですが、そのような意図はありましたか。

Esa:実はPetri Walliが亡くなる前に、アルバムで彼にシタールを弾いてもらう約束をしていたんだ。残念ながら亡くなってしまったので、実現しなかったのだけど。『Elegy』は非常にメロディックで、Kingston Wallやその他色々な音楽の影響を受けている。『Tales from the Thousand Lakes』でも民俗音楽の要素というのは多少あったけれども、『Elegy』では初めてそう言った要素にフォーカスしたんだ。


Mirai---Amrophisのツアーなどでサックスやフルートを演奏しているSakkari Kukko氏について教えてください。

Tomi:彼とはKingston Wallを通じて知り合ったんだ。そして彼自身のバンド Piirpaukeにも興味を持った。民俗音楽的要素を持ったプログレッシヴなバンドで、もう40年くらいのキャリアがある。俺は特に70年代、80年代に発表した作品が好きだよ。彼のやっていることがとても気に入ったので、Amorphisのツアーなどにも参加していもらうことにしたんだ。

Mirai---あなたたちはMinimoogのようなヴィンテージ・キーボードを使用していますよね。しかも、キーボードではなく「Minimoog」とクレジットしていました。

Esa:(笑)。『Tales from the Thousand Lakes』をレコーディングしたスタジオに、たまたまMinimoogが置いてあったんだ。当時のキーボーディストKasper(Martenson)は古いキーボードが大好きだったので、本物のMinimoogを見つけて偉く興奮してね。とても変わった音だけどうまくハマっていたし、当時あれを使っているこういう系統のバンドっていなかっただろう。

Tomi:他にMinimoogを使っているメタル・バンドって知らなかったからね。

Mirai---ハモンド・オルガンなども使われていますよね。

Esa:チャーチ・オルガンも使ったよ。実際に教会で録音したんだ。

Tomi:ハモンドも本物を使った。

Mirai---スカンディナヴィアのバンドはヴィンテージのキーボードがお好きですよね。何故なのでしょう。

Esa:そうなんだよ、何故なんだろう。70年代の音楽とつながりがあるのだろうけど。Opethがメロトロンを使ったりとか。古いキーボードは音に特徴があるからね。

Mirai---存在感がありますよね。

Esa:そうなんだ。本物と偽物には明らかに違いがあるよ。

Mirai---お好きなギタリストを教えてください。

Esa:うーん、Ritchie Blackmoreかな。それからPink FloydDavid Gilmour。特徴的なプレイヤーが好きなんだ。

Tomi:俺もRitchie BlackmoreやDavid Gilmourのようなギタリストが好きだ。

EsaMark Knopflerとかね。

Tomi:俺たちはあまりテクニカルなギター・ソロは好きではないんだ。大切なのはフィーリングだよ。

Mirai---お気に入りのアルバムを3枚教えてください。

Esa:うーん、難しいな。

Tomi:たった3枚か...

Mirai---もっと挙げてもらっても構いません。

EsaDeep Purple『Perfect Strangers』

Tomi:Pink Floydの...いや、Roger Waters『Amused to Death』。あれはいいアルバムだ。

EsaMetallica『Master of Puppets』、いや『Ride the Lightning』かな。うーん、やっぱり『Master of Puppets』。

TomiSlayer『South of Heaven』Iron Maidenはたくさん良いアルバムがあるから選ぶのが難しいな。

Mirai---どの時期が特にお好きというのはありますか。

Tomi『Piece of Mind』『Powerslave』『Seventh Son of a Seventh Son』あたりかな。

Esa:初期のBlack Sabbath『Master of Reality』とか『Vol 4』

Mirai---今後の予定について教えてください。ニュー・アルバムについて期待するのは、まだ早いでしょうか。

Esa:ニュー・アルバムはまだ先だね。前作の長い ツアーをやっていたから。Arch EnemyとNightwishとのヨーロッパ・ツアーをクリスマスに終えたばかりなんだ。来週はロシアに行っていくつかショウをやる。その後もまた6週間のヨーロッパ・ツアーだ。それからフェスのシーズンがあって、年末は南米や北米のツアーをやるかもしれない。たいていツアーがすべて終わってからニュー・アルバムのスケジュールなどについて考えるんだ。またJens Bogrenとやりたいと思っている。彼は素晴らしいプロデューサーだからね。

Mirai---現在メタル界の最高峰かもしれませんね。

Esa:多分そうだね。彼は本当に素晴らしいよ。彼はバンドを乗せるのがとてもうまいんだ。

Tomi:彼は完璧主義者だから、すべてを任せられるんだ。録音したテイクがOKかNGか、自分たちで決める必要がないからね。彼に任せておけば完璧だから、録ったテイクを自分たちで聴いてみる必要もないくらいさ。

Mirai---では最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

Esa:ハロー、Amorphisのエサです。

Tomi:トミです。

Esa:東京にまた来られてとてもエキサイトしているよ。また会おう!アリガトウ。

 それにしても凄まじい盛り上がりだったAmorphisのライヴ。わりと長めのパートをオーディエンスに歌わせるというのは、日本ではわりと危険な行為であることは皆さんご認識のことと思うが、さすがに熱心なファンがたくさん集まっていたのだろう、見事にバンドの期待に応える会場の一体感は圧巻の一言。フィンランドの旋律への親近感を再認識した方も多かったことだろう。ぜひまた近いうちに日本に戻ってきてもらいたい。

Tomi, Mirai & Esa

川嶋未来 / SIGH
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