第1回 橋本徹の『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』対談

2015年10月30日 (金) 16:00

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ローチケHMV - 洋楽

橋本徹が監修・選曲するレーベル「Suburbia Records」からメロウ・チルアウトでロマンティックな音の桃源郷へ誘ってくれる美しい月夜の魔法を宿した珠玉の名トラックを集めた『Good Mellows』シリーズ第3弾コンピの発売を記念して特別対談が実現。

waltzanova(以下、ワルツ :これまで数々の橋本さんの名インタヴューを手がけられてきたHMV/Quiet Cornerの山本勇樹さんが異動になられたということで、インタヴュー構成をやらせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

橋本徹(以下、橋本:こちらこそ、よろしくお願いします。

ワルツ:『Good Mellows』シリーズとしてサバービア・レコーズから4月に『Good Mellows For Seaside Weekend』、7月に『Good Mellows For Sunset Feeling』が出て、僕自身もかけていてとても心地よいなと感じてよく聴いていたんですが、周りの音楽好きの反応もすごく良くて。入っている曲はいわゆるクラブ・ミュージック周辺のものですが、アーティスト名とかにそんなに興味を持たない人でも日常の中で気持ちよく聴ける、素敵な時間を演出してくれる、というところで気に入っている人が多くて。特に女性にそういう反応が多かったですね。

橋本 :言葉や理屈を必要としない音楽の気持ちよさってありますよね。できるだけそういうふうに上手く表現できたらと思っていて。気分や感情に訴えかけてくるんだけど、音の心地よさだったりヴィジュアルの美しさであったりというところでリスナーに訴えかけるようなコンピレイションCDを作れたらな、という気持ちは当初からありました。収録曲はクラブ・ミュージックのクリエイターが作ったものが多いんだけれど、クラブというフィールド以外でも音楽を感覚で聴いている人に伝わるものができたらいいなと思っていたので、そのような反応はとても嬉しいですね。こちらが込めた思いが伝わっているのはありがたいことです。春に『Good Mellows For Seaside Weekend』、夏に『Good Mellows For Sunset Feeling』が出て、いろんなシチュエイションをこのコンピが彩ってくれたんだな、ってのがわかることが、3作目を作る上でのモチベイションになりましたね。

ワルツ :今回のコンピレイションも季節の流れを感じられて、特にこの季節、秋に聴くとフィットするなと感じました。

橋本:コンピレイションを作るときに意識しているのは、シチュエイションを大切にするということ。それをイメージしながら音楽を選ぶ、提案するってことなんだけれど、時の移ろいや季節の移り変わりは、過去の『音楽のある風景』や『アプレミディ』のシリーズでも意識しながらコンパイルしてきました。その意味ではずっと自分が心がけてきたことを踏襲していて、季節的には春〜夏〜秋、時間帯で言うと午後4時前後だったものが7時前後になり、10時前後になった、という感じかな。そんな連作(連続体)として聴いてもらいたいという気持ちを持っているので、秋という季節になると本当にシンプルな発想で、秋の夜長だったり中秋の名月だったりが浮かんできて。僕自身もその季節ならではの情緒を感じながらプライヴェイトでも音楽を聴いていたりするので、そういうリスニング・スタイルに寄り添うものにしたいということもありましたね。“ムーンライト・ランデヴー”というサブタイトルをつけて、月の輝く夜をイメージしたロマンティックな選曲になっているのかな、と思います。

ワルツ:そういえば橋本さんは、以前は中秋の名月の晩に「Harvest Moon」の流れるバーに行ったりしてましたよね(笑)。そういう月に込められた特別な想いとかはありますか? 月の名曲というと、そのニール・ヤング「Harvest Moon」とかヴァン・モリソンの「Moondance」なんかがすぐに浮かびますね。橋本さんのコンピには「Harvest Moon」だと、決定的名唱とも言えるカサンドラ・ウィルソン版(『Jet Stream〜Summer Flight』収録)やプールサイドのバレアリックなヴァージョン(『Urban-Resort FM 78.4』収録)、ショーナ・アンダーソン(『音楽のある風景〜サロン・ジャズ・ラヴ・ソングス』収録)、スコット・マシュー(『Folky-Mellow FM 76.4』収録)がありますね。ジェーン・バーキン版などもUSENでよく選曲されていますし。また、ヴァン・モリソン「Moondance」は『Forever Free Soul Collection』に収録されています。ウルフの「Dancing In The Moonlight」も『Ultimate Free Soul Motown』に入っていましたね。そして、2011年にはアプレミディ・レコーズで『Moonlight Serenade For Star-Crossed Lovers』というコンピレイションを作られていて。

橋本: で、今回が『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』。発想が似てるよね(笑)。やっぱり七夕の織姫と彦星みたいな、そういう感情のあり方に個人的に惹かれるも のが大きいのかもしれませんね。スティーヴィー・ワンダーの「Ribbon In The Sky」みたいな、赤い糸で結ばれている、みたいなものにどこか惹かれ るところがあるので。そういう意味でも今回は最初からイメージしてたわけではないんだけど、「Amanogawa」という曲をオープニングに持ってこられたのは、何かに導かれているような気がして。僕の中では選曲に至るス トーリーを大切にしたいと思っているので、とても大きな存在ですね。

ワルツ :ススム・ヨコタさんは今年の春に亡くなられたんですよね。追悼というニュアンスの選曲でもあるのかなと思いましたけど。

橋本:もちろん、それもあります。亡くなられてたということが7月の初めに伝わってきて。ライナーノーツにもちょっと書きましたけど、『Sunset Feeling』編を作り終わった直後だったんですね。で、その後USENやラジオ、ショップのBGMなどクラブDJ以外の選曲の機会も多くて、以前好きだった彼の曲もどんどんそこに入れていったんだけど、その中のひとつが「Amanogawa」だったり「Hagoromo」だったりして。僕が30歳前後だった1990年代後半、ちょうど「bounce」の編集長をやっている頃に、彼は最も海外で高い評価を受けている日本人のアーティストで。

ワルツ:そうですね、DJ KRUSHやケン・イシイとかと同様、海外でとても評価が高いというイメージで捉えていました。

橋本:当時は職業柄、海外の雑誌とかをチェックしてたから、『Sakura』が出たときのイギリスのメディアでの「ブライアン・イーノの再来」みたいに絶賛されている記事とかを見た記憶が甦ったりしてね。で、夏の間いろいろな作品を選曲に使わせてもらっていたんですよ。『Symbol』のドビュッシーのメヌエットのやつ(「Purple Rose Minuit」)とか。そういったこともあって7月以降、訃報に接することによって改めてその音楽を聴くというのは複雑なところもあるんだけど、この夏は折に触れススム・ヨコタの曲を聴いていたので、「Amanogawa」という曲もあるから入れられたらいいな、と自然に思うようになって。でもレーベルの担当者がなかなか権利者にたどり着けなくて。もう9月の半ば、そろそろ曲順を組もうっていう時点では諦めかけてたんだけれども、7月にススム・ヨコタへのオマージュ集がLo Recordingsからリリースされていて……。

ワルツ:『Sunset Feeling』編に収録されていたシーホークスのジョン・タイがやっているレーベルですね。

橋本:そうそう。Skintoneっていう、ススム・ヨコタさん自身のレーベルはずっとイギリスではLo Recordingsの配給だったので、そこに連絡を取ってみたら、ジョン・タイが「選曲はいつまで待てるのか、なんとかしたいからしばらく待てないか」って言ってくれて。その一週間後くらいにOKになったんだよね。それで、これも何かの運命だなと思って、すごくいい曲だし1曲目でいけたらなと思って。自分ではそういった日々のひとつひとつの出来事、大きく言ってしまえば生きてる証しを刻印していくものとしてコンピレイションCDを考えていて、もちろんリスナーの皆さんに対して広く訴えかけられるようなものを作りたいとは思ってるんだけど、インサイド・ストーリー的にはある種の日記のように作りたいと思っているので、その象徴としてオープニング・ナンバーに選びましたという感じですね。

ワルツ:橋本さんが選曲をする上で重要視している、物語性だったり、偶然という名の必然、シンクロニシティーと言ってもいいのかもしれませんね。そういうのはやっぱりリスナーにも目に見えないレヴェルで伝わると思います。

橋本:“想い”みたいなものが込められてる選曲というのは特別なものになると信じているところがあるので。もちろんそういうことをこういう場で喋ったり、ライナーに記したりすることで、より音楽が印象づけられたらいいなというのもあって。

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ローチケHMVレコメンド

Good Mellows For Moonlight Rendezvous

CD

Good Mellows For Moonlight Rendezvous

価格(税込) : ¥2,700

まとめ買い価格(税込) : ¥2,214

会員価格(税込) : ¥2,484

発売日: 2015年11月03日


国内から海外まで広く絶賛の声が寄せられ、大好評を博している『Good Mellows For Seaside Weekend』『Good Mellows For Sunset Feeling』に続き、第3弾『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』が満を持して登場。今回は何と2/3を越える11曲が世界初CD化というのも特筆すべき、すべての音楽ファンに薦めたい究極・絶品のメロウ・チルアウト・コンピに仕上がっています。 ジャジー&オーガニックなビートダウン・ハウスから、メロウ・ドリーミンなチルアウト・バレアリカ、ダビー&フローティンなメランコリック・アンビエントまで、美しい月夜を彩る傑作トラックが83分にわたって目白押し。オープニングは惜しくも世を去ったススム・ヨコタへの追悼選曲となる不朽の名作、International Feel(マーク・バロット/ホセ・パディーヤ×ウォルフ・ミュラー)の貴重極まりない音源に、やはりバレアリック名門レーベルのMusic For DreamsやNuNorthern Soulの秘宝、コモンのサンプリングでも名高いRasa「When Will The Day Come」やダニー・ハサウェイの名曲「Love, Love, Love」のナイス・リエディット、カインドネス一世一代の至宝に、DJ Kozeも惚れ込んだポータブルの人気作、話題沸騰となったセオ・パリッシュ×マルコス・ヴァーリ、そして甘美なピアノを中心にしたラリー・ハードを思わせるクール&メロウで透明感あふれる美学が貫かれたビートダウン×ダブの珠玉の名品たち。柔らかな叙情と優美なメロディーを月夜の輝きに託した、NujabesやCalmの作品でもお馴染みのFJD描き下ろしによるアートワークも素敵な、至福の音楽旅行へぜひ。

■HMV限定特典:メモ帳(FJDデザイン)
HMV店舗(一部店舗除く)、HMVオンライン/モバイルにて、『Good Mellows For Moonlight Rendezvous』(SUCD1003)をお買い上げいただいたお客様に先着で、「HMV限定特典:メモ帳(FJDデザイン)」をプレゼント。※特典がなくなり次第終了となります。

収録曲
01. Amanogawa / Susumu Yokota
02. All That Is Now / Lexx
03. Waati / Donso
04. Right 4 Me / Mark Barrott
05. The Day Will Come / Eddie C
06. Love Is A Storm (Jenifa Mayanja Remix) / Giorgio Luceri
07. Looking Back (Tornado Wallace Dub) / Andras & Oscar
08. Surrender / Portable feat. Lcio
09. I’ll Be Back / Kindness
10. Nuffin Else (Nellie’s Annointed Dub) / Karizma
11. Love Spin / Saint Petersburg Disco Spin Club
12. 1985 (Theo Parrish Remix) / Marcos Valle
13. Oceans Of The Moon (Wolf Muller Donkey Kong Beach Dub) / Jose Padilla
14. Hold On To It (Jonny Nash Remix) / B.J. Smith
15. A Pearl For Iona / Jessica Lauren


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