HMVインタビュー:Kaskade

2006年9月8日 (金)

『Love Mysterious』 発売記念インタビュー


おしゃれなハウスの一番手として日本でも人気を獲得している、KaskadeことRyan Raddon。

スウィートでソウルフルなハウスミュージックをはじめ、ヴォーカリストを起用したオーガニックなサウンドの作り手として日本でも人気が高い彼が、オリジナルとしては2004年の『In The Moment』以来2年ぶりとなる、3rdアルバム『Love Mysterious』を完成しました。

ベスト盤『Here & Now』でこれまで以上の多くのリスナーにアピールしたKaskadeの専売特許である卓越したメロディーセンスはニューアルバムでも健在! 名実共にダンス・ミュージック・シーンのリーダーに君臨するKaskadeにニューアルバムについてお話いただきました。


Kaskade・・・ハウス・ミュージックの発祥の地、シカゴで生まれ育ったKaskadeことRyan Raddonは、80年年代半ばからDJ活動を始め、大学進学と共にソルトレイクに移住し音楽活動に専念。その後、サンフランシスコに移り、OM RecordsのChirs Smithと出会い、OM RecordsのA&Rになる。

アーティストとしては 現在までに 2 枚のオリジナル・フル・アルバム、そして 1枚のベストをリリース。1st アルバムの表題曲でもある"It's you, It's me"は、大ヒットを記録。ミックスCD も『San Francisco Sessions : Soundtrack to the Soul Music』に引き続き、『House of OM』をリリースし好評を博している。



Interview with Kaskade


今日、デジタル・ダウンロードの影響もありCD全体のセールスが落ち込んでいると同時に、クラブ・ミュージック・シーンにおけるMix CDのセールスも一時と比較するといま一つ芳しくありませんが、あなたの手掛けたMix CD『House Of Om』は近年では稀とも言える大ヒットを記録しました。同時に、“良い作品はやはり良く、結果的に好セールスに結びつく”、という当たり前の事を再認識させてくれたようにも思います。星の数程存在するハウス系Mix CDの中においてこの作品が他とは一線を画す好評を博した。その要因は何であったと思われますか?

Kaskade(以下K):DJ、そしてアーティストとしての自分のスタイルが他の人達とは違い、そのスタイルが多くの人に受け入れられたということかな?僕が興味を持っているのは、単に惹きつけられるリズムや面白いサウンド・デザインだけでなくダンス・ミュージックそのもので、『House Of Om』ではリスナーの心に残る何かをMixを通じて作ろうと思ったんだ。

ベスト・アルバム『Here & Now』の発売当初の盛り上がり方も、『House Of Om』同様に凄まじいものでした。これまで12インチでしか聴く事の出来なかった楽曲やコンピレーション・アルバムにのみ収録されていた楽曲。隠れた名曲とも言える“Still Still Still”も収録されましたね。まさに、Kaskadeのこれまでの集大成といった内容でしたが、結果、このベスト・アルバムは『House Of Om』でノックアウトさせられたリスナーに第2の衝撃を与えると共に、世間に“アーティスト”Kaskadeの存在感を存分に知らしめることになりました。素晴らしいプランだったと思いますが、この結果をどの様に受けとめられますか?

K:僕の音楽を知って貰うことが出来たし、DJとしてのみならず、アーティストという存在としても認めて貰う事が出来て嬉しいよ。でも、まだ始めたばかりだからベスト・アルバム というのはちょっと早過ぎたんじゃないかという気もしてしまうけどね。

オリジナル・アルバムとしては2004年の『In The Moment』以来となる新作のリリースですが、『House Of Om』、『Here & Now』の大ヒットにより、世間、特にここ日本においての貴方に対する注目度はこれまでに以上に高いものに変化しています。世間の期待にプレッシャーを感じたりはしていないでしょうか?

K:少しはプレッシャーも感じるけれど・・・、僕は僕のやるべきことを続けるだけだよ。日本のような遠く離れた場所でも、みんなに受け入れられ、注目されて、凄く嬉しく思っているよ。



*Kaskade/Love Mysterious
1. Stars Align
2. Be Still
3. In This Life
4. All You
5. Sorry
6. Distance
7. X
8. Fake
9. Sometimes
10. Never Ending
11. 4 Am
12. Arrival(日本盤ボーナストラック)

*日本盤のみ特殊パッケージ
*日本盤のみ未発表ボーナストラック入り
*歌詞/対訳付き




Kaskadeの代表作と言えば、やはり"It’s You, It’s Me"、"Steppin’ Out"が真っ先に挙げられると思うのですが、新作『Love Mysterious』でそれに比肩する推薦曲は何でしょうか?

K:うーん、レコードから一つの楽曲を選ぶのは難しいな。アルバムっていうのは全体を通して一つの方向性を表しているものだと思うからね。でも、もし選ばないといけないのであれば最初のシングル"Be Still"と、"Stars Align"かな。

今回のアルバムの全体像をざっくりと語って頂けますか?同時に制作過程を教えて頂ければ、と思います。

K:ツアー中に僕の書いたラブソングや・・・、あっ、何故ラブソングを書いたのかということについて質問が出るかもしれないね?というもの、今回、僕がこのアルバムを作り始めた頃に「愛」の意味というものをよく考えていたんだよね。そんな事を考えている中で「愛」はそれぞれの人にとって違う意味を持ち、そして「愛」は本当にミステリーなモノだということに気が付いたんだ。今回のアルバムはその「愛」をテーマに、今年の春に2ヶ月かけて制作したよ。

作風から察するに、貴方はとてもお洒落なイメージがありますが、どういったライフ・スタイルを過ごされているのでしょうか?

K:今はね。世界中をツアーしていて、まるで飛行機の中で暮らしているような感じだよ(笑)。

Everything But The Girl / Ben Watt辺りが近しい存在だと思うのですが、影響を受けたアーティストは誰でしょうか?

K:ポップ・ミュージック全体から影響を受けているし、面白くてマイナーなバンドを見つける事もあるよ。Bee GeesからDuran Duranまで、全ての音楽からだね。

Kaskadeの楽曲は、カフェやアパレル・ショップ、雑貨屋等、街中でも頻繁に耳に飛び込んできます。こういった状況は嬉しいですか?

K:モチロン!場所を選ばず、街中で僕の音楽が流れているのはとても嬉しいよ。

非常に女性(乙女)からの人気が高い事から、ここ日本ではあなたの様な作品は“胸キュン・ハウス”(Heart Fluttering House)とも呼ばれていますが、この呼び方に対してはどのように思われますか?

K:それは面白いね(笑)。そんな風に素敵な呼び名をつけることがいいね!

これまでのDJ/Live等の活動はどんな感じで行われてきたのですか?

K:過去数年間に渡ってほぼノン・ストップの状態でツアーを行い、U.S.A.のみならず世界各地を転々としてきたよ。世界各地で僕のプレイに合わせてみんなが歌ったりしてるのを見ると興奮するね。

「アンダーグラウンドなイメージも随分と払拭されてきた感のあるハウス・ミュージックではあるが、勿論、まだまだポップ・ミュージックとのコミュニティーの大きさの差は否めない。しかしながら、そのシーンを追従し、ここ日本においても遂には肩を並べるまでに広がりを見せる日が来るのもそう遠くないのではないか。このOm Records発、『House Of Om』を聴いていると、そんな期待感を持たせてくれるのだ」これは、あなたのMix CD『House Of Om』の日本国内盤のライナー・ノーツの最後の部分です。この文を読んでいかに思われますか?

K:一般の人がついていくのはとても大変なくらい、音楽には常に変化があって前進しているけど、僕の考えとしては、ハウスは今後も変わらずアンダーグラウンドな音楽であり続けると思うな。まぁ、例えばDaft Punkみたいに派手な事をやって、でもメジャーからもアンダーグラウンドからも認められているのを見たりすると、それはそれでクールだな、って思ったりもするけどね。

Kaskadeのこの先のプランを、現時点で公開出来る範囲で教えて下さい。

K:9月末に今回の作品『Love Mysterious』を世界中でリリースして、発売開始後、6ヶ月で10カ国以上をツアーし、100回以上の公演をすることになっているよ。

最近では、Rasmus FaberがKaskadeに並ぶ人気をここ日本で博しています。彼とは交流はありますか?

K:彼の音楽は好きだけど、まだ彼と会話をしたことはないなぁ。

来日の際、イベント以外で楽しみにされている事は何ですか?

K:それぞれのツアー先で、興味のある場所を訪ねる事をとても楽しみにしているよ。

どうもありがとうございました。これからも素敵な作品を届けてくれる事を楽しみにしています。

協力:KSR



*Kaskadeカタログ作品



左から:Kaskade『Here & Now』、『House Of Om』、『In The Moment』、『San Francisco Sessions : Soundtrack To The Soul 』、『It's You It's Me』



* ロングセラー!Rasmus Faber

Rasmus Faber/So Far
"Ever After"がFMチャート上昇で日本全国席巻中! おしゃれハウス好きに絶対お薦め!ラテン系のメロディー豊かなハウストラックで今最もハウスDJに愛されている注目の逸材、テイトウワやFPM、MAW、Dimitri From Parisらも絶賛のRasmus Faber。シングルやリミックスを網羅した日本独自編集盤。
"Ever After (reprise)"  Reel People "Rain (Rasmus Faber Mix)"



*Kaskade関連作

Latrice Barnett/Illuminate
Jay-J "Keep On Rising"やAndy Caldwell作品などに参加していた女性ヴォーカルLatriceことLatrice Barnettのデビューアルバム。注目すべきはそのプロデューサー陣。日本でも爽やかなハウスの創り手として大人気のKaskade、そしてJay-Jがプロデュース参加。Sadeのフロントアクトも務めるという実力派。Kaskade全面プロデュースによる艶やかで爽やかなトラックに透き通るようなLatriceのヴォーカルがのる極上サウンドに仕上がっています。
"Make My Heart"


<OM>
…アメリカ西海岸を代表するレーベル。西海岸特有のセクシーでアップリフティングなハウスからジャズ系のクロスオーバースタイル、そしてヒップホップまでをリリース。『Sounds of Om』、『Om Lounge』、『San Francisco Sessions』、『House Of Om』など人気シリーズも多い。


<OM>作品、アーティストアルバム編。左から:1. Andy Caldwellの『Universal Truth』/2. Colette『Hypnotized』/3. レーベルオーナーでもあるChris SmithことDJ Fluidを中心としたAfro Mysticの『Morphology』/4. Mark Farina『Air Farina』


<OM>作品、人気Mix CD『House Of Om』シリーズ。左から:1. Fred Everythingによるの『House Of Om』/2. Groove Junkiesによる『House Of Om』/3. Kaskadeによる『House Of Om』/4. Dj Sneakによる『House Of Om』


<OM>作品、その他コンピ編。左から:1. 『Om Summer Sessions』/2. 『Om Miami』/3. 10周年記念盤『Om 10』/4. 『Remixed 2』

<OM>カタログ全部見る



hmv.co.jpでの超ロングセラー、定番Blue 6 『Beautiful Tomorrow』

Blue 6/Beautiful Tomorrow
発売からずっと売れている驚異の1枚。NYをベースとするプロデューサー/ソングライター、Jay Denesを中心とした話題のプロジェクト、Blue 6の注目のデビュー・アルバム。ギターのMark Anthony James、ベースのDave Boonshoftに、6人の女性ヴォーカルが加わったそのサウンドは、R&B、JazzにDubを融合させたまさにダンス・ミュージックの現在形と言えるもので、NYのクラブ・シーンの息吹きをも伝えてくれる。セクシーでスタイリッシュ、アダルティでエロティックなハウスミュージック。
"Pure" "Very Good Friends"


人気のMiguel Migs

Miguel Migs/Colorful You
カルフォルニア、サンタ・クルーズ出身、西海岸エリアの人気ハウスDJ/プロデューサー、Miguel Migs。<Naked Music>や<OM>、<NRK>などから発表する関連作はいずれもヒット。今作は<Naked Music>からのアルバムで、Miguel Migsらしいグルーヴが満載の1枚。Blue 6とともに高い人気。
"The Night" "Days Of Color"



Miguel Migs作品。左から:1. 2005年のMix CD『Get Salted: Vol.1』/2. 名作Mix CD、2002年の『Nude Tempo 001』/3. 2004年のMix CD『Nite: Life 020』/4. 2000年のMix CD『Nite Life 03』


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