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ラトル&ベルリン・フィル/『惑星』、他

2006年6月2日 (金)

冥王星つき『惑星』、他
ラトル&ベルリン・フィルの注目盤が登場!

コリン・マシューズ[1946− ]がケント・ナガノに委嘱されてホルストの『惑星』につけ加えた『冥王星』は、2000年のナガノによる初演後、同年のプロムスで大評判となり、2001年、日本初演も行われたのは記憶に新しいところです。
 マシューズの『冥王星』は、ありがちなキワモノ作品で終わることなく、今後、『惑星』と不可分の存在になることすら予感させる成功作との評価がすでに確立しつつあり、すでにマーク・エルダー指揮ハレ管や、デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ指揮スコティッシュ・ナショナル管オーウェン・アーウェル・ヒューズ指揮ロイヤル・フィルポール・フリーマン指揮チェコ・ナショナル交響楽団の演奏が登場し、さらにDVD作品まで制作されています。

 占星術に関心を持っていたホルストが、太陽系の惑星についての伝承をもとに巧みに性格描写をおこない、色彩的なオーケストレーションを施した『惑星』は、演奏効果抜群のオーケストラ・ピースでもあり、英国音楽史上最大のヒット作とも言われている傑作中の傑作です。
 ただし、作曲当時は冥王星が発見されていなかったため、組曲『惑星』が、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星という構成となっているのは致し方のないことでした。
 20世紀最後の年に近づいてから、ホルストの息女イモージェンと共にホルストの忘れられた作品の整理をしたことがあるマシューズが、ケント・ナガノの依頼でホルストの『惑星』につけ加えるため、『冥王星』を作曲したことは、当初無謀な挑戦と受け取られましたが、ナガノの後、サカリ・オラモ、オスモ・ヴァンスカ、大友直人といった指揮者が取り上げ、クラシックの『続編もの』としては最も成功した作品の一つとなりました。マシューズが自信を持って故イモージェンに捧げたのも納得できる出来栄えです。

 ベルリン・フィルによる演奏で、しかも『冥王星』付きというだけでも、このCDの価値は充分ですが、さらに特筆すべきは、ボーナス・ディスクとして、ラトルが現代の作曲家たちに委嘱した宇宙関連作品の収録も予定されているということでしょう。
 実際のコンサートでは、前半に委嘱作品4曲の演奏がおこなわれ、後半に『惑星』と『冥王星』が置かれ、ラトルは演奏開始前に、委嘱作品4曲について「4楽章からなる交響曲として聴いて欲しい」とアナウンスをしたということです。

 1曲目の『アステロイド4179:トータティス』は、フィンランドの女流作曲家、カイヤ・サーリアホによる作品。地球と軌道が似ているため、衝突の可能性が話題となるダンベル型の小惑星「トータティス」をイメージして描いた作品。
 2曲目の『オシリスに向かって』は、ドイツの作曲家、マティアス・ピンチャーによる作品で、太陽系外の惑星でありながら大気の存在が確認されている『オシリス』について描いています。
 3曲目の『ケレス(セレス)』は、イギリスの作曲家でラトルの盟友でもあるマーク=アントニー・タネジの作品。太陽系の小惑星のうち最も大きなものの一つとして知られており、ごく僅かながら大気と霜が存在すると考えられています。
 4曲目の『コマロフの失墜』は、もとベルリン・フィルのチェリストで現在は作曲家として活動するオーストラリア人、ブレット・ディーンの作品。過剰な米ソ宇宙開発競争のさなか、ロシア革命50周年に無理やり間に合わせるため、欠陥だらけの宇宙船ソユーズ1号に乗せられた結果、大気圏再突入後に着陸に失敗して亡くなった宇宙飛行士ヴラディーミル・コマロフについて描いたものです。

CD-1
ホルスト:組曲『惑星』作品32
 「火星、戦争をもたらす者」
 「金星、平和をもたらす者」
 「水星、翼のある使者」
 「木星、快楽をもたらす者」
 「土星、老いをもたらす者」
 「天王星、魔術師」
 「海王星、神秘主義者」
コリン・マシューズ:『冥王星』

CD-2
宇宙をテーマにした4つの委嘱曲
カイヤ・サーリアホ:『アステロイド4179:トータティス』
マティアス・ピンチャー:『オシリスに向かって』
マーク=アントニー・タネジ:『ケレス』
・ブレット・ディーン:『コマロフの失墜』

 ベルリン放送合唱団
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・サイモン・ラトル指揮

 録音:2006年3月、ベルリン、フィルハーモニー

グスターヴ・ホルスト
“惑星”で有名なイギリスの作曲家グスターヴ・ホルストは、1874年9月21日、英国グロースターシャー州のチェルトナムにスウェーデン移民の子として生まれます。父は音楽教師、母はピアニストだったこともあって、家庭環境は非常に音楽的でした。1887年、チェルトナム・グラマー・スクール入学。1891年、同校卒業。管弦楽のための間奏曲、スケルツォ作曲。1892年、ウィック・リッシントンでオルガニストの職に就きます。管弦楽のための葬送行進曲、交響曲ハ短調、オペレッタ“ランズダウン城”作曲。
 1893年、王立音楽大学に入学して作曲を専攻。ボレロ、弦楽四重奏のための主題と変奏曲作曲。1894年、腕の神経炎のためピアノの代わりにトロンボーンを修めることになります。ピアノ五重奏のためのエアーと変奏曲、ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための短い三重奏曲、子供のためのオペレッタ“ヴィオレット”作曲。1895年9月、生涯の友、ヴォーン・ウィリアムズと出会います。1896年、ハマースミス聖歌隊の指揮者に就任。 イザベル・ハリスンと婚約。オーボエと弦楽四重奏のための幻想曲、オペラ“魔法の鏡”、子供のためのオペレッタ“理想”作曲。1897年、冬の静寂、弦楽六重奏のためのスケルツォ作曲。

 1898年、王立音楽大学を卒業。スコットランド管弦楽団のトロンボーン奏者の職に就きます。弦楽合奏のための組曲ト短調作曲。1899年、ウォルト・ホィットマン序曲 OP.7、バレエのための組曲OP.10作曲。1900年、コッツウォルズ丘陵交響曲OP.8、1901年6月22日、イザベル・ハリスンと結婚。ピアノのための二つの小品作曲。1902年、オペラ“シンデレラ”、オペラ“若者の選択”OP.11作曲。1903年、スコットランド管弦楽団トロンボーン奏者を辞め、ダリッジ・ガールズ・スクール音楽教師に。インドラOP.13、木管楽器のための五重奏曲OP.14作曲。1905年、セント・ポール・ガールズ・スクールの音楽部長に就任。この頃からインド哲学に没頭し、サンスクリット語も学びます。1906年、2つの無言歌OP.22、オペラ“シータ”OP.23作曲。

 1907年4月22日、長女イモージェン誕生。ソング・オブ・ザ・ウェストOP.21a、サマーセット・ラプソディーOP.21b作曲。1907年、モーリー・カレッジの音楽部長に就任(兼任)。1909年、オペラ“サヴィトリ”OP.25、バンドのための組曲第1番OP.28a、1910年、東洋組曲“ベニ・モラ”OP.29a、劇音楽“ロンドンの祭典”作曲。1911年、幻想的組曲OP.29b、バンドのための組曲第2番OP.28b、モーリス・ダンスの音楽作曲。1913年、セント・ポール・ガールズ・スクールにホルスト専用の音楽スタジオ開設。弦楽合奏のためのセント・ポール組曲OP.29/2作曲。

 1914年、神経炎と極度の近視のため兵役免除。組曲“惑星”の中の“火星”“金星”“木星”作曲。1915年、組曲“日本”OP.33、組曲“惑星”の中の“土星”“天王星”“海王星”作曲。1916年、組曲“惑星”の中の“水星”作曲により“惑星”OP.32完成、弦楽四重奏曲“イギリス民謡による狂詩曲”、1917年、“イエス賛歌”OP.37作曲。1918年、私的演奏会で組曲“惑星”ボールトにより初演。1919年、王立音楽大学教授とレディング大学教授に就任。2月27日、ボールトの指揮で組曲“惑星”初演。“死への唱歌”作曲。1920年、バレエ音楽“魔法の時間”作曲。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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ホルスト:惑星、マシューズ:冥王星、他 サイモン・ラトル&ベルリン・フィル(2CD)

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ホルスト:惑星、マシューズ:冥王星、他 サイモン・ラトル&ベルリン・フィル(2CD)

ホルスト (1874-1934)

ユーザー評価 : 4点 (23件のレビュー) ★★★★☆

価格(税込) : ¥1,914
会員価格(税込) : ¥1,665

発売日:2006年07月28日

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組曲『惑星』、他 ラトル&ベルリン・フィル(2CD)

CD

組曲『惑星』、他 ラトル&ベルリン・フィル(2CD)

ホルスト (1874-1934)

ユーザー評価 : 4点 (23件のレビュー) ★★★★☆

価格(税込) : ¥2,934
会員価格(税込) : ¥2,699

発売日:2006年08月23日

  • 販売終了

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