ケント・ナガノのブルックナー第6番

2005年9月7日 (水)

ケント・ナガノと手兵ベルリン・ドイツ響によるブルックナー・シリーズ。第3番（HMC901817）に次ぐ2作目は、2005年4月18日東京オペラシティ・コンサートホールを沸かせたのと同じ第6交響曲。
　1899年にウィーンで全曲初演をマーラーが手がけたこの曲は、「改訂マニア」ブルックナー自らは手を入れなかった会心の作。“鉄面皮なヤツ”と自身があだ名をつけたのもうなずける第1楽章の開始。霧が立ち込めるようなヴァイオリンのきざみに、暗く不吉に呼応するコントラバス。やがてホルンが立ち現れ無骨なフォルムで全奏へとなだれ込んでゆくこの箇所は、実演でもそうでしたが何度聴いてもゾクゾクしてきます。さらに続くアダージョでは、しなやかで陰影に富んだ弦の音色が織り成す絶妙な風合いがたまりません。
　かのヴァントもよく振ったオケ、ベルリン・ドイツ響。ナガノの明晰な棒に素晴らしい反応をみせて、ずっしりと分厚い響きのブルックナーに心ゆくまで浸れます。（キング・インターナショナル）

・ブルックナー：交響曲第6番イ長調

　第1楽章：16:47（Maestoso）
　第2楽章：17:08（Adagio）
　第3楽章：08:26（Scherzo）
　第4楽章：14:15（Finale）

　ベルリン・ドイツ交響楽団
　ケント・ナガノ（指揮）

　録音：2005年6月26-28日、ベルリン