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『あがた森魚ややデラックス』 あがた森魚インタビュー

2009年11月25日 (水)

interview
あがた森魚


いよいよ東京での劇場上映は11月13日(金)までとなった、『あがた森魚ややデラックス』。第1弾としてお送りした竹藤佳世監督インタビューに続き、第2弾は本作の主役、あがた森魚さんをお迎えしました。わたしがあがたさんを知るきっかけとなったのは、元THE YELLOW MONKEYで現在はソロで活躍されている吉井和哉さん。2001年5月23日にリリースされたあがたさんのベスト版『20世紀漂流記』には「マイ・ベスト・あがた森魚」とタイトルされ、”吉井和哉が思う あがた森魚”についてが愛を多分に含み、綴られていた。そして、2007年12月19日にリリースされた吉井さんのシングル「バッカ」のPVにはあがたさんが出演されていたり・・・と昔から親交のあるお2人ですが、そこからさらに進展が。THE YELLOW MONKEY 20周年企画として、12月9日にリリースされる『THIS IS FOR YOU 〜 THE YELLOW MONKEY TRIBUTE ALBUM』であがたさんは「4000粒の恋の唄」を唄われることになった。そんなお2人の”こぼれ話”も本インタビュー中にあるのですが・・・自分が影響を受け続けているアーティストが愛するアーティスト。そのアーティストが「”本物”の表現者だった」と強く感じることが出来たのが本作で、そのことが本当に、何よりもうれしかった。あがたさんのように60歳の還暦を迎えてもなお、新しい試みにもチャレンジし続け、唄い続けられているお姿に触れていたら、気付けば涙が溢れていた。「生きるって自分で何か発見することじゃないかなあ」と本インタビュー中でも語って下さったあがたさんですが、お話しながら、ここ東京が北海道は小樽の街のような錯覚に陥り、あがたさんの口から発せられる言葉という”音魂”にうっとりと夢を見そうになったのです、うっとりと。この映画を観終わった後、「あがたさんのライブにぜひ、足をお運び頂きたい」という想いを最後に込めつつ・・・。INTERVIEW and TEXT and PHOTO: 長澤玲美

この映画を観たら「あがたさんって乱暴な人なのね」って思われちゃうかもしれないけれど、僕は逆にそういうカジュアルさっていうのは大事かなって。


--- 本日はよろしくお願いします。『あがた森魚ややデラックス』を拝見させて頂いたんですが、本当にすごくいい作品で・・・。

竹藤(佳世)監督の作品として素晴らしいかどうかっていうのもあるし、「あがた森魚って何者ぞや」っていう両方があって、僕の立場としては非常に微妙なところはあるけれども。

--- 微妙なところですか?

微妙なところっていうのは、まあ僕は今回一応ね、被写体なわけじゃない?演じてるわけじゃなくて、そのまんまだから、やんちゃしてるところもずいぶんあるしさ。だからね、「これでよかったのかなあ」っていう部分も多々・・・みたいなところでね(笑)。

--- わたしはあがたさんの音楽は以前から聴かせて頂いてたんですけど、本作を拝見して改めて、あがたさんのことが大好きになりました(笑)。

本当?ありがとう。それは何か、無邪気だからですかね?

--- 無邪気な部分もそうですが(笑)、作られてきた音楽が改めて、本当に素晴らしいと思いましたし、あがたさんの“人間力”のようなものにすごく共鳴しました。今回「惑星漂流60周年」ツアーを映画として残そうと思われたのは、監修された森達也さんからのご提案だったんですか?

あのね、違うの。そもそもは「60周年のイベントを何かやりましょう」と。そのツアーの一環として「ドキュメンタリーを撮ったらどうだろう」とか「カメラマンを同行しよう」とかいろんな話が出て来たの。で、全国を半年間近く回るんであれば、キャンピングカーで行けば、安くみんなで一緒に行けるし、楽器とか普段自分が読んでる本もそのキャンピングカーに図書館のように置けるんじゃないかとかって、いろんなことを考えて・・・、1本の映画にしよう・・・っていうね。

森達也くんは80年代の初頭くらいから知ってるから、考えてみればもう30年近く交流あるわけなんだけど、まあいきなりね、「僕の映画の監督してくれ」って言っても忙しいだろうから、「監修でお願いします」っていうことで、この映画に一緒に参加してもらったんです。


あがた森魚ややデラックス


--- その森さんが今作の監督である竹藤監督を紹介されたんですよね?

そうなんですよ。「よくあそこまでまとめてくれたなあ」という感じだよね。

--- あがたさんは映画監督をされていますし、役者さんとしても映画に関わられることがある中で、今作のようなドキュメンタリーの主役として撮られることに対して、また違う想いがありましたか?

そうだね、上手く言えないんだけど、自分のツアーをまさか自分で監督まではしないけど、「みなさんに観てもらう何かを撮れたらな」っていう気持ちはちょっとあったわけね。だから、撮られるっていうよりは、「記録に残そう」っていう感じなんですけれども。だから、被写体になるとかならないとかっていうことはあんまり意識してなくて、映画の中で僕がぎゃあぎゃあわーわーとか言ってるじゃないですか?

--- ええ(笑)。

ああいうシーンも「このシーンを撮っちゃいけない」とかどうのっていうことじゃなくて、流れの中で自然にそういうものが生じてしまったという感じだよね、僕としてはね。

--- あがたさんのそのエキセントリックな部分といいますか、感情が昂ぶっているシーンを象徴的に使われているのは、森さんのお考えがあってのことのようですね?「表現しているがゆえの純粋なところだから、そこは映画の中に入れたい」という風にお話されていたそうなんですが、竹藤さんはあがたさんに初めてこの作品を観てもらう時に、「怒られるんじゃないか」ってすごく緊張されていたみたいです。

(笑)。でもまあ、怒るってことはないよね。「ああいう側面もあるっていうことをそのまま見せたらいいんじゃないかな」って僕は思っただけだから。だって、実際に撮られてるものを「ここはいいとか悪い」って言うことは出来るけれども、よっぽどの理由があれば別だけど、「絶対に使っちゃダメ」とは言わないよね。観られて、「あがたさんって乱暴な人なのね」って思われちゃうかもしれないけれど、僕は逆にそういうカジュアルさっていうのは大事かなって。昔テレビとかによく出てた頃はさ、他のアイドルやタレントは着飾って出てたけど、僕らは着飾らないで出てたんだから、わざとああいう風にしちゃいけないとは思うけど、あれが自然の流れだったらいいのかなと思ったね。

--- あがたさんご自身も映画の中でも、カメラを回されていましたが、あの映像が何かの形になることはありそうですか?

これはね、実は毎月上映してるんですよ。毎月上映して、それを形にして、みんなに観てもらってはいるんですよね。(あがた森魚月刊映画上映会〜月刊映画「きゅぽら ぱあぷるへいず2009」と題し、神田・space neo(東京都千代田区神田小川町2-10-13-1F)にて毎月開催中!次回は10月27日(火))


あがた森魚ややデラックス


--- 2009年2月22日のライブ「あがた森魚とZIPANG BOYZ號の一夜」の会場を九段会館にされたのにはどういう理由があったんですか?

「九段会館でやりたいな」っていうのは何となくあったよね。キャパシティとかあのハコは昔、海軍の施設だったから、持ってる雰囲気とかもあってさ。だけど、「どうしてもここじゃなきゃ」って言うことではなかった。ただ何か、あの日は「それらしいスペースで何かいいことがやりたいな」っていうのはちょっとありましたけどね。

--- ご自身が水兵になった『20世紀漂流記』のジャケットなどもありますし、九段会館のライブがあがたさんのそのイメージとぴったりで、すごく貴重で贅沢な映像でした。

そうね。いろいろな美術とかライティングとかもね、そういうイメージが上手く出てたよね。

--- 実際にあのライブはいかがでしたか?

最高!「映像が残らなくてもよかったんじゃないかな」と思うくらいなんだよね。つまりもうそれは伝説、神話でいいんじゃないかなと。僕ももちろんライブ観に行くのは好きだけど、やっぱり、記録されたものを観るのはさほど興味ないな。もちろん、アーティストがスタジオでその人なりのコンセプトで作ったものを聴くっていうのは大好きだけど、ライブっていうのは行って聴くもので、自分の家に持ち帰って後から誰かが加工したものを聴いても、「あんまり意味がないんじゃないかな」って。だからあの時、1200人ぐらいですよ、見た人は。で、ものすごい数の人が噂は聞いていても見ていないわけでしょ?あの日の感動を映像だけ後から見たって、「伝わらないんじゃないかな」って思っちゃうわけね。

--- ライブの音源だけを聴くのはまだ・・・?

そうね、音源だけはまだね(その音源が『あがた森魚とzipang Boyz號の一夜』として映画公開初日と同日、10月10日リリース)。だけど、音源以外になると、実際にリアルに見えちゃうわけだから。双眼鏡で覗かない限りさ、そんなにアップで観ないわけだから。やっぱりそれすらも何か、望んで自分なりに勝手にイメージして作ったステージの「以上も以下もないかな」って感じがするのね、聴いてもらえる方には。

--- 竹藤監督にも先日、本作のことでお話を伺ったんです。「あのライブが終わったら、この映画も終わる」と思っていたそうなのですが、あの数日後にあがたさんからお電話で、「一人で北海道に行こうと思ってるんだけど来ない?」とお誘いを受けたそうで(笑)。

そう、僕がしつこくね(笑)。

--- 「北海道に行きたい」と思われたのは・・・。

締めとしてね、大事な位置だったよね。そうなんですよ、あれをぜひ撮って欲しくて、来てもらいました。

--- そこにはどういう想いがあったんですか?

やっぱりね、何だかわかんないけど、「故郷に帰りたい」っていう・・・故郷って言っても変だなあ。原点回帰じゃないけど、60歳で一巡りってことで「今ここで帰っておかないと、もう当分帰らないぞ」と。「ここで1回、節目を付けておきたいな」っていうそういう想いね(笑)。

--- 北海道に帰られることはあまりないですか?

帰んないねえ、遠いし。

--- 「るるもっぺ べいぶるう」が映画の主題歌とされていますが、”裏テーマ曲”とも言えるのがその「佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど」ですよね?

うん、とも言えるね。

--- 久しぶりに北海道に帰られて、佐藤敬子先生のお家に行かれますよね?それも原点回帰といいますか、あの地に降り立ったら、敬子先生との思い出がふっと浮かんできたんですか?

そうだねえ。まあ、単なる年寄りの懐古趣味かもしれないし、自分を育んでくれたものへのお礼というか、感謝の気持ちというかね。僕は「そういうものはちゃんとやりたいな」って想いがあるのかな。別にそんなにきれいごとじゃなくてね、佐藤敬子先生っていう人のイリュージョンがいるのかな、僕にとって。

--- イリュージョン?

イリュージョンっていうか、面影っていうか・・・佐藤敬子先生の持っていたあの時代での先生のロマンチズムっていうか、理想への情熱っていうかね。それは「子供達にいい教育をする」っていうね。それはもう、少なくても僕はひしひしと感じてたし、「いい先生に出会ったなあ」って僕は思ってるんだけど・・・それ以上でも以下でもないな。



(次の頁へつづきます)



『あがた森魚ややデラックス』 公開&イベント情報!


大阪・第七藝術劇場(11月28日〜12月11日)、北海道 シアターキノ(12月12日〜12月17日)、京都シネマ、広島 横川シネマ、群馬 シネマテークたかさき他順次公開!


詳細は『あがた森魚ややデラックス』 Official Siteで!


監修:森達也 撮影・編集・監督:竹藤佳世

出演:あがた森魚 / 鈴木慶一 / 矢野顕子 / 久保田麻琴 / 緑魔子

プロデューサー:石毛栄典
企画:成浩一 / 倉科杏(Dargelos Pop La)

撮影:佐伯慎亮 / 石垣直哉ほか 整音:有元賢二 絵:奈良美智

製作・配給・宣伝:トランスフォーマー 宣伝協力:太秦

(2009年 / カラー / 90分 / デジタル上映 / アメリカン・ビスタ / ステレオ)

© Transformer,Inc.


『あがた森魚ややデラックス』 あがた森魚さん 直筆サイン入りポスターを抽選で3名様にプレゼント!


※応募締切 2009年11月23日(祝)
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※応募の受付は、終了いたしました。たくさんのご応募、ありがとうございました。

profile

1948年北海道・留萌市生まれ。1972年「赤色エレジー」にてデビュー。20世紀の大衆文化を彷彿とさせる幻想的で架空感に満ちた作品世界を音楽、映画を中心に展開。近作アルバムには『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』(01)、『タルホロジー』(07)など。映画監督作品に『僕は天使ぢゃないよ』(74)、『オートバイ少女』(94)、『港のロキシー』(99)の3本がある。俳優出演近作に『人のセックスを笑うな』(08/井口奈己監督)、『ノーボーイズ、ノークライ』(09/キム・ヨンナム監督)など。08年、還暦を迎え、全国60カ所あまりのツアー「惑星漂流60周」を展開、09年2月にはこのツアーのファイナルイベント「あがた森魚とZipang Boyz號の一夜」を九段会館にて敢行。 引き続き全国各地でライブを展開中!映画主題歌の「るるもっぺ べいぶるう」は9月中旬より配信中!また、九段会館のライブ完全収録CD『あがた森魚とzipang Boyz號の一夜』を09年10月10日にリリースした。