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ジェイク・シマブクロ×『サイドウェイズ』 

2009年10月16日 (金)

interview

Jake Shimabukuro

アメリカ西海岸〜ワインの聖地であるカリフォルニアのナパ・バレーを舞台に繰り広げられる大人の男女4人の青春映画 『サイドウェイズ』。
一面に広がる葡萄畑のパノラマ、サエない中年男性のドタバタ珍道中、ワインの味や深みとともに微妙に交錯する心情・・・ ストーリーにぴったりと寄り添う音楽を手掛けているのは、われらがウクレレ・マスター=ジェイク・シマブクロさん。彼が奏でる生音のオーガニックな手触りは美しい風景を彩り、また時にユーモアやペーソスを含んで、ストーリーに見事なまでの息吹を与えています。今回はそんな『サイドウェイズ』の音楽について、ジェイクさんにお話を伺いました。


--- 本日はよろしくお願いいたします。

よろしくおねがいします(日本語で)!

--- 『The Music of Sideways』について伺う前に・・・ジェイクさんご自身は映画をよくご覧になるんですか?

そうですね、よく観ますね。特にコメディ映画が大好き!
日本のコメディなら 『ハンサム★スーツ』、それから 『ゲロッパ!』も字幕付きで観ました。

--- 今回の『サイドウェイズ』もクスッと笑えるシーンがありますね。どのくらいご覧になったんですか?

もう何度も何度も。かれこれ100回以上観ています。

--- 100回!!ジェイクさんの制作にかける情熱ゆえですね。
ジェイクさんの音楽の生音の良さや、いい意味で素朴な感触、少しユーモラスな部分も、映像にぴったりとハマっていてとても素敵でした。制作にあたり、映画の舞台であるナパ・バレーには行かれたんですか?

ナパ・バレーには昔行ったことはあるんですが、今回は行っていないんです。音楽は主にハワイと日本にいる時に作りました。ちょうどアメリカ本土もツアーで回っていたので、アメリカで作ったりもしましたね。映画を何回も何回も観て、イメージを膨らませたりアイデアをひねったり、また(チェリン・グラック)監督のほうからも案があったりしたので、一緒にアイデアを出して作っていったという感じです。

--- ジェイクさんが以前に音楽を手掛けた映画『フラガール』(2006)の制作時と比べて、『サイドウェイズ』の製作過程はいかがでしたか。どういった違いがあったのでしょうか。

『フラガール』と『サイドウェイズ』ではアプローチの仕方がまったく違いました。
『サイドウェイズ』は監督がカリフォルニア、プロデューサーが日本にいて、僕はちょうどツアー中でいろいろな所を回ってた。物理的にみんなが違う場所にいたので、コミュニケーションをとるのがとにかく難しかったんです。まず僕がいろんな曲を作ってみて、それをEメールで送って、そこからみんなでアイデアを絞ったり話し合いをして・・・そういうやりとりを頻繁にしました。逆に『フラガール』の時はみんながひとつのスタジオに入って一緒に作業が出来たので、作りたいものが瞬時に作れたんですけどね。
今回はそういった乗り越えなきゃいけない試練もたくさんあったし、僕にとってはチャレンジでもありましたが、困難な状況の下でひとつのものを一緒に作り上げることが出来て凄く楽しかったです。

--- サウンドトラックですと、やはり監督のイメージや既にある映像に沿っての作業も多々あったかと思います。オリジナル・アルバムを作る時と比べるとご苦労も多いのでは。

そう、サウンドトラックはそこがとても難しいんですよね。映画の場合、例えばシーンが切り替わったらそこで音楽も変わるので、そのタイミングも難しい。オリジナル・アルバムの時はそういったヴィジュアル的なタイミングは考えなくても、自分の好きなように自由に作れるけど・・・映画にはもとから構造があって、それに合わせて作っていかなくてはならないので、やはり大変です。

--- では逆に、サウンドトラックを作る時にしかない醍醐味や楽しみはどんなところですか?

オリジナル作品よりもよりたくさんの人が関わってくるところですね。
オリジナル・アルバムは全部自分がコントロールしている場合が多いですが、サウンドトラックの場合はあくまで自分がそのプロジェクトの中のごく一部であって、みんながそれぞれ貢献してひとつのものが出来上がっていく。それが最終的にすべてうまくまとまった時、編集が終わったりキャストのみなさんにお会いすると「お疲れさまでしたーー!!」と声をかけあったりして、“みんなで一緒に達成した”という達成感があるので、それだけに感慨は本当に大きい。そこが全然違いますね。

--- そんな時、映画のようにみなさんでワインを飲まれたりはしたんですか?

実は、あまりワインは飲まないんです(笑)。そもそもアルコール自体をそんなに飲まないので・・・

© 2009 Twentieth Century Fox and Fuji Television

--- 映画の中でお気に入りのシーンはありますか?ご自分の音楽が流れている場面でも。

好きなシーン・・・(かなり考えているご様子)・・・んーー。ムズカシイですね、一番っていうのは・・・
でもあの場面が好きです、道雄さん(小日向文世)と大介さん(生瀬勝久)が鍵とお財布を取り返しに行って、こっそり帰るところ(笑)すごく可笑しい!

--- さすがコメディ好きのジェイクさんですね。
では最後に、『The Music of Sideways』は映画のサウンドトラックであると同時に、ファンのみなさんにとってはジェイクさんご自身のアルバムでもあるかと思います。このCDを聴かれるみなさんにメッセージをお願いいたします。

ナパ・バレーを旅行して、みんながそこで楽しんでいる、ヴァケーションのような雰囲気・・・前向きな、それでいてリラックスした、ゆったりした音楽を作りたかったんです。そういう部分を楽しんでいただければと思います。

--- 本日はお忙しいなかありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました!!



新譜Jake Shimabukuro / The Music of Sideways
『フラガール』(2006)以来3年ぶりにジェイク・シマブクロが音楽を担当した映画『サイドウェイズ』のスコア・サウンドトラック。
ウクレレはもちろんギター、ベースなどの楽器もジェイク自らが演奏。彼が奏でるオーガニックなサウンドは、劇中に登場するナパ・バレーの葡萄畑や西海岸のドライヴの風景に見事にマッチしています。映画のサウンドトラックでもあり、またジェイクのニュー・アルバムでもあるという、新作を待つジェイク・ファンの皆さんにとっても待望のリリース。
映画『サイドウェイズ』
寄り道してこなかった大人たちへ――
40歳を過ぎても大人になりきれない2人の男が1週間のカリフォルニア旅行でしでかす数々の出来事に誰もが爆笑するうち、自分に重ね合わせ、人生のちょっとした寄り道に想いを馳せる・・・そんな、人生の折り返し点を過ぎた大人のための青春映画が誕生!  
映画についてのさらに詳しい記事はこちら
監督:チェリン・グラック
主演:小日向文世、生瀬勝久、菊地凛子、鈴木京香
音楽:ジェイク・シマブクロ
2009年10月31日(土)より全国ロードショー!

profile

Jake Shimabukuro ジェイク・シマブクロ:
ハワイ州ホノルル出身。1976年11月3日生まれ。わずか4歳よりウクレレを始め、高校を卒業したばかりの98年PURE HEARTのメンバーとしてデビュー。ウクレレという楽器の即興性を存分に活かしつつ、クラシックやジャズ、ロック、ブルーズといったあらゆるジャンルの音楽を卓越したテクニックと独自のフィーリングで情熱的なサウンドへと昇華。ジミ・ヘンドリックス、エディ・ヴァンヘイレンといった名ギタリストたちの音楽を聞きながら、そのプレイをウクレレで表現しようと考えたニュー・ウェイヴ、それがジェイク・シマブクロである。
PURE HEARTは98年デビューアルバム、「ピュアハート」をリリース。そして翌年にはハワイのグラミー賞と称されるナ・ホク・ハノハノ・アワードで新人賞、最優秀アルバムを含む主要4部門を受賞。その後、2000年にもセカンドアルバム「ピュアハート2」で再び最優秀アルバムを受賞。その後、PURE HEART/ピュア・ハートは解散するものの、同年には新バンドCOLON/コロンを結成。リリースしたアルバム「THE GROOVE MACHINE」で3年連続となるナ・ホク・ハノハノ・アワードを受賞。そしてCOLON /コロン解散に伴い、02年1月にはソロ・アーティストとしての活動をスタートさせた。
02年4月、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと契約。同年7月にはソロ・デビュー作となるミニ・アルバム「サンデー・モーニング」を発表。8月には単独では初となる東京/大阪公演も成功させた。また11月には「サンデー・モーニング」の続編ミニ・アルバム「スカインライン」を発表。これら2枚の作品は地元ハワイでは1枚のフルアルバムとしてタイトル「サンデー・モーニング」としてリリース。そして翌03年のナ・ホク・ハノハノ・アワードでは全賞の中で唯一、一般からの投票によって決められるFavorite Entertainer of the Yearと最優秀インストゥルメンタル・アルバムの2冠に輝く。これによりジェイクはピュア・ハート、コロン、そしてソロ・アーティストとしてそれぞれのステージでの受賞アーティストとなる。
03年7月には2枚目となるアルバム「クロスカレント」をリリース。またウクレレ・プレイヤーとしては初のフジロック・フェスティバル03のステージにも立ち、ホワイトステージではギターウルフのオープニング・アクトとしてソロ・パフォーマンスを、そしてまた降りしきる雨の中、ジェイク・シマブクロ&ザ・カットバックというグループを率いて熱いステージを繰り広げ目の肥えたフジロッカーズたちを驚かせた。この時の模様は地元ハワイのTV局がジェイク・シマブクロ特番として放映し、視聴者のアンコールに応える形で都合4回にわたって再放送された。その後、8月のジャパン・ツアーでは札幌から沖縄までの全6公演を行い、東京公演では赤坂ブリッツ2デイズを完全ソールド・アウトに。
04年にはハワイ州観光局のイメージキャラクターに抜擢され、キャンペーンソング「レインボー」を含む3枚目のアルバム「ウォーキング・ダウン・レインヒル」をリリース。このアルバムもナホク・アワードで連続となる最優秀インストゥルメンタル・アルバムに輝く。この頃より全米にも活動の幅を広げ、NYではギターの神様、あのレス・ポールと共演する幸運にも恵まれる。この年も夏のツアーはもちろんのこと、4ピースのストリングスを従えたクリスマス・ライブも行う。
05年、昨年につづき再びハワイ州観光局のイメージキャラクターに抜擢され、新たなキャンペーンソング「ウィズ・ユー・オールウェイズ」をヒットさせた。自らの生まれ年と敬愛するカンフーマスター、ブルース・リーの愛称からとった最新アルバム「ドラゴン」は日本だけでなく、ついに全米でのリリースも決まり、その勢いをかって世界でも最大規模を誇るエージェントとの契約にも至る。8月に全米ツアー最中のナッシュビルで初のソロアルバム・レコーディングを行う。その中からの作品「ピース、ラヴ&ウクレレ」が11月にリリース。この夏、ツアー最終日の日比谷野外大音楽堂で行われたライブも大成功。
06年、アルバム「ジェントリー・ウィープス」をリリース。このアルバムは全米ワールドミュージック・チャートで初登場2位をマーク。また初めての映画音楽も手がけることに。9月に公開され、この年の映画賞を総ナメにした『フラガール』のオリジナル・サウンドトラック。日本全国でジェイクが奏でるテーマソング「フラガール」が流れた。プライヴェイトでは初のフルマラソン、ホノルル・マラソンにトライ。完走直後にステージに上がりライブを行うなど、周囲を驚かせた。そしてこの年の紅白歌合戦にも初出演。夏川りみが歌う「花」を好演。
07年5月、初のライブ・イマージュ・ツアーに参加。そしてこの年、再びフジロック・フェスティバルに出演。自身初となるベスト・アルバム「マイ・ライフ」をリリース。夏のツアーでは日本の名曲だけを演奏するコンサート「一期一会」を開催。
08年にはその名曲カバー作品「一期一会」のCD/DVDをリリースすると同時に、2月からアンコール・ツアー。
09年、ビートルズ・トリビュートアルバム「Across The Universe」、ライヴ・アルバム「Live ジェイク シマブクロの世界」、映画『サイドウェイズ』スコア・サウンドトラック「The Music of Sideways」をリリース。