【特集】 環ROY

2009年8月28日 (金)

環ROY


HMV×CINRA 今月は、環ROYをピックアップ!

08年5月に『環ROY×Fragment』発売以降、『環ROY×Eccy』『環ROY×DJ YUI』『環ROY×OLIVE OIL』そして、今回の『環ROY×NEWDEAL』と、この1年少々の間で、5枚ものミニアルバムをリリースしてきた、環ROY!
しかも、コレらコラボ相手は、もれなく癖のあるスキ者には堪らないサウンド最前線!
しかもジャンルはテンでバラバラ。
共通項はどれもヤバイって事くらい!
HIP HOPのシーンの中も外も、自由に駆け巡るラッパー環ROY。
このフットワークの軽さは確実に、シーンを刺激している。

いったい環ROYって何者?どんな人?

この辺で、その活動を一度まとめておく必要がありそうだ!
今回、CINRAサイドではロングインタビューを敢行。
こちらHMVサイドでは、コレまでの作品を環ROY自身の言葉で説明してくれた!
以下、環ROYの関連作レビューは全て、本人によるもの!

環ROY

環ROY



環ROY本人による、ディスクレビュー!


環ROY

『the klash』 / 環ROY × NEWDEAL
「テクノを作ってみて〜なー」とかぼんやり考えていたら、偶然が重なってNEWDEALと出会った。そして1曲作ってみたらすげーよかった。「これはもっと作るでしょ」って事で一緒に制作する事になった。彼はとにかくエンジニア気質。僕と違ってあんまり目立ちたがり屋ではないけど、技術はこれまで関わってきた人達の中でも群を抜いている。 思わず「職人君じゃん」って思った。 まずはデカイ箱で鳴らすことを想定した音だったので機能性を重視しよーと思って歌詞のメッセージは極限まで削いだ。だから「踊れ」「上がれ」ってシンプルに話している。それ以外は結構なりゆき。ラッパーが衝動的であればあるほど、テクノ/エレクトロとヒップホップの対比が浮き出し、よりハイブリッドなニュアンスが出ると考えた。簡単にいうとテクノとヒップホップの合いの子。やっぱりハーフは美人になった。ヨユー。




王道を突き進んだつもりなんだけどミュータントHIPHOPになってしまった作品。「ああ〜俺ってこうなるんだぁ〜」って色々な事を理解した。音楽性は勿論のこと、活動の幅が広がっていくきっかけとなった意味でも凄く重要なセッションだった。ある意味ここがスタート地点。fragmentは、凄くリベラルな感性を持っていて、今でも優れた助言をくれたりする。プロ中のプロって感じ。


提示はソリッドなんだけど断面は丸め。奥行きを制限することで、一定のイノセントを表現しようと挑んだ作品。気持ちよく流れるHIPHOPでありたいなってイメージした。Eccyの方法論はかなり直感的って印象を受けたから、僕は割とロジカルに取り組んで行った。「この作品が一番好きです」って言うヤツは女子率が高いので狙い通り。Eccyは性格からして次世代。HIPHOPとの新たな関り方すらも提示しているニュータイプ。


「こんなん売れるわけね〜」が前提の超ヘンテコHIPHOP。世界各都市からワラワラと産声を上げるローカルダンスミュージックを意識して、サウスの要素を織り交ぜたりしながら作った。HIPHOP畑のリスナーって保守的な人が多いんだけど、ROCK畑の人はすんなり受け入れてくれた、意外だった。「コレが一番好き」って言うヤツに会うと上がるマニアック盤。YUI君はダンスミュージックに精通した草食の癒し系マスコット。ナンセンスへのセンスが鋭かったりもする。


ヴォーカルのほとんどがフリースタイル(即興)で09年の1月1日から一週間で制作した。録り直しなんて一個もなくて、自身の作品の中では断トツに生々しい。「ドープな物をいかにポップに聴かせるか」っていうOLIVE OILと僕が共有している概念を具現化することを目指してこうなった。彼は緻密な事を大雑把に聴かせることが出来る稀有なセンスの持ち主。そして「今が何曜日なのか」とかあんまり分かんない暮らしを送るクレイジーマン。


"宝くじ"は超オーセンテイックなHIPHOPの構造で、全くHIPHOPを感じさせない楽曲を作るってコンセプト。歌詞では"2億円が当たったのに貯金する"とか地味な印象をあえて入れてみて、現代若者の希望ナシ感を表現した。三浦康嗣とほとんどの作業をしたんだけど、彼は楽器とか大体弾けちゃうミュージシャン体質。僕とはかなりタイプが違って面白かった。性格も大分違うんだけど凄く仲良しになった。そこで音楽の力ってすげーなぁーって改めて感動した。


SKYFISHは僕の周りでも断トツの電脳人間。いつでも、聞いたことのない新種の音楽を探求しているヘンテコ好き。こん時に作った"shoot the score"はミュータントHIPHOPを作るって前提で、僕のソリッドなラップを載せた。"ダンスミュージック"に重点を置いて、より踊る事に対して機能的に進化したHIPHOP!になっている。


この時の制作は、はっきり言ってお互い何も考えていなかった。というか、いつもお互いがお互い、相方がなんとかしてくれるだろうって思っている。だからいい意味でとてもリラックスして制作出来た。なのでタイトルは"E加減"。MOTIVEのトラックも最高だし、kakatoってグループをよく表している名曲になっていると思う。鎮座DOPENESSとは「2010年の後半からアルバム作ろっか」とか最近話した。