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【連載コラム】Akira Kosemura 『細い糸に縋るように』 第62回 細い糸に縋るように Akira Kosemuraへ戻る

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2015年2月13日 (金)

profile

[小瀬村 晶 / AKIRA KOSEMURA]

1985年生まれ、東京出身の作曲家・音楽プロデューサー。
2007年「It's On Everything」でデビュー。同年、音楽レーベル「SCHOLE」を共同設立。
これまでに五枚のオリジナルアルバムを発表、いずれの作品も国内外において高い評価を獲得。
2012年にコンテンポラリーバレエ公演「MANON」(演出/振付:キミホ・ハルバート)の音楽、2014年に映画「最後の命」(監督:松本准平、主演:柳楽優弥)の音楽を担当。
やなぎなぎの楽曲プロデュースや、全日空「ANA LOUNGE」の音楽監修、イケアのテレビCMをはじめとした数々の広告音楽を手掛け、NIKON ASIA、KINFOLK、RADO Switzerlandなど国際企業とのコラボレーションも多数。
これまでに米国最重要音楽メディア「Pitchfork」、豪州最大規模の新聞紙「THE AGE」にてその才能を賞賛されるなど、日本国内に留まらない世界的な活躍が期待される音楽家の一人である。




いま、中国映画界が面白い。

中国という国があらゆる分野で世界的に重要な位置を占めるようになってきた近年、いよいよ文化面においても、中国の新しい波が到来してきていると実感ができるようになってきた。
いわゆる第六世代と呼ばれる、ロウ・イエや、ジャ・ジャンクーのような、非常にアンダーグラウンドな視点から、現代中国の抱える闇、資本主義改革によってもたらされているリアルな中国の実情を、そこに生きる人々にフォーカスし描くという、これまでとは異なるアプローチによって生まれ始めた中国映画というのが、この十数年程で段々と成熟し、近年では、世界三大映画祭などでも高く評価されるようになった。

彼らの映画で描かれている中国という国は、ほとんどが脚色をされていない。

2011年に僕が初めて中国でツアーをした際、北は北京から南は広州まで、一週間で五都市 = 3,000 kmを縦断した。
僕が演奏した街は、どれも中国国内では大都市であったけれど、街並みはというと、僕が思い描いていた中国の大都市像のそれとは大きく異なり、観光地を除けば、ほとんどが発展途上であった。
例えば、街の歩道は舗装されておらず、汚水が漏れ小蠅が集っていたし、多くの建物は取り壊され、手付かずのままだった。黄砂なのか、四六時中、大気が黄ばんでいて、息をすると肺に違和感を覚え、夏だったこともあってか、街にいるほとんどの男は上裸だった。
しかし、そこで実際に目にした様々な風景や出来事、そして感じ取った空気は、しっかりと彼らの映画にも記録されていて、それはまさに、嘘偽りなく、僕が見たそのままの中国だった。

ある種の退廃を纏いながら、成長し続ける大国。
けれども、彼らの描く物語のなかに映る中国は、なぜだかとても美しいのだ。

退廃する美しさ。
おそらく、僕がいま彼らの映画に魅せられている理由は、そこに在るように思う。
それはとても危うく、刹那的で、一瞬の夢のようなもの。
次の瞬間には消え去ってしまうような、そんな移ろいのなかで変容するもの。

実際、この感覚というのは、他では代用できない唯一無二のものであって、だからこそ、僕はいま、彼らの映画を観る必要があるのだと思う。

彼らは、自分達の国について深く知っている、もしくは知ろうとしている。
そして、その全てを作品のなかに提示しようとしている。
それは、良い側面ばかりではなく、むしろ批判的なものが多い。
けれども、僕らは彼らの作品から、変容する愛を感じ、退廃する美しさを感じている。

中国ツアーの際、一つ驚いたことがあった。
それは、同行してくれていた中国人のツアーマネージャーが、会話のなかで時々、当然のように中国の批判をするのだ。
実際、それ自体はたいしたことではないと思うかもしれない。友人と自国の政策について話すことだってあるだろうし、批判だってすることもある。けれども、彼女にとって僕は外国人なのだ。
もし、これが逆の立場であったら。僕が日本で外国人のミュージシャンをアテンドしている立場であったとしたら。僕はおそらく、日本の良い部分ばかりを伝えようとすると思う。普段、愛国心なんて大それたものを持っているつもりはないけれど、外国人と接する際、なんとなく、自分の国の良い所を教えようとする節がある。でも、彼女にはそれがなかった。僕はそのことにとても驚いた。

彼女は、そして、彼らは、中国という国をとても客観的に捉えようとしているのだろう。
出来るだけ正直に、そして、真摯に事実を伝えようとしているのだ。
それは実際、とても勇気のいることであるだろうし、とても難しいことであると思う。

しかし、その結果、僕は、僕らは、中国の抱える闇を知ることになり、そして、そこから僅かに零れ落ちた現代中国の美しさに魅せられることになる。

そういう意味では、非常に逆説的ではあるけれど、彼らの作品というのは、むしろとても愛国的なのかもしれない。
彼らがそれを意図しているか、否かに関わらず。



  http://www.akirakosemura.com/
  http://www.scholecultures.net/
  映画「最後の命」公式サイト
  「最後の命 EMBERS」スペシャルサイト





Akira Kosemura 最新作

Akira Kosemura 『最後の命 EMBERS』  [2014年10月08日 発売]

劇場映画「最後の命」のオリジナル・サウンドトラックを発表します。
本作品は、芥川賞作家・中村文則の同名小説を新進気鋭の映画監督・松本准平が映画化、主演に柳楽優弥、共演に矢野聖人、比留川游、そして滝藤賢一、りりィ他が出演した純文学作品。
柳楽優弥演じる主人公・桂人を始めとした登場人物の心の機微を、ピアノと弦楽四重奏によって細やかさに、そして丁寧に掬い取った非常に繊細な映画音楽です。
監督から伝えられた「彼らを肯定する。」という決意の言葉を頼りに作曲されたという本作は、かすかな希望と救いを感じさせる、静けさのなかに熱を帯びた小瀬村晶特有の胸を打つ音楽が随所に散りばめられた、ミニマルで且つ豊潤な作品に仕上がっています。



Akira Kosemura 今月のオススメ

[.que] 『Brilliant Hopes』  [2015年02月12日 発売]

[.que]通算5作目となる「Brilliant Hopes」がSCHOLEよりリリースされます。
2013年、SCHOLEからのデビューアルバム「drama」で、[.que]として培ってきた爽やかで心地よいエレクトロニカ的要素とアコースティックサウンドまたはフォークミュージックとの融合で自らのスタイルを確立した後、2014年に、セルフプロデュース作でもあり、故郷でのフィールドレコーディングを用いたプライベートな作品「Water's Edge」を発表してきました。5作目という区切りの作品は、[.que] / Nao Kakimoto のルーツでもあるバンドサウンドに重点を置いた楽曲を多数盛り込むなど、これまでの歴史を全て詰め込んだかの様な仕上がりになりました。
レーベルオーナーでもある小瀬村晶が共同プロデュースした今作は、ポストロックや、ポップスの要素まで幅広く取り入れつつも、一つの作品として昇華させ、[.que]が磨き続けた個性をより輝かせるものとなっています。
冒頭の2曲で彼らしさと新たな1面を垣間見せつつ軽快に幕を開け、affable noise が巧みなギターを加える「Joint」(track:3)、本作にゲストドラマーとして参加しているLOOP POOL等で活躍する水口彰太が刻む軽快なドラムスに[.que]の持ち味でもあるエモーショナルなメロディーラインが合わさった「Anew」(track:4)、波のように揺れつつ背景に馴染むピアノの音色に乗る秀逸なメロディが、切なさの中に独特の温かみを醸し出すピアノ曲「Trivial Lie」(track:5)、これまでの代表曲「flora」でコーラスを担当した unmo が作詞、ボーカルを担当し、姉妹作とでも言えるかの様な透明感を持つ「Himitsu」(track:6)、petitotoによるトイ楽器やヴォーカルが可愛らしさを添える「Lullaby」(track:7)、春の小道に踊る花びらと光の戯れの様に、小瀬村晶と[.que]によるピアノが踊る「Springlike」(track:8)、霧がかる夜の闇に差す一筋の光が現れる瞬間を捉えるための楽曲とでも言うような、後半に登場するギターリフが印象的な小瀬村晶との共作作品「Misty Moon」(track:9)、そしてエンディングへと向かう2曲の後には、[.que]初期に作曲された楽曲「Will」(track:12)と続き、物語の終わりを告げつつ次へと導く「Never End」(track:13)で穏やかなラストを迎えます。以上の楽曲群からも分かる様に[.que]の歴史を総括しつつも新境地へと向かう意気込みを感じる1枚となりました。
SCHOLE作品ではおなじみの井口寛がレコーディングエンジニア・ミックス・マスタリングを、菊地慎が写真・アートディレクションを担当。



次回へ続く…。






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