ビートルズの各オリジナル・アルバムが完全リマスター化され発売!
この大事件を君はどう受け止めるか?
そもそもザ・ビートルズを知らない人でも、身のまわりのドラマ/映画で、CMや街中のBGMで、数々あふれるザ・ビートルズのメロディーを聴いたことのない人はいないだろうし、中学生のときの音楽の教科書に「イエスタデイ」が掲載されていたことを思い出す人も多いだろう。
また印象深いアビーロード交差点を4人で横切る印象的なCDのジャケットを見たことのない人もいないだろう。
ギネス・ワールド・レコーズでは最も成功したグループアーティストとして記録されているのがザ・ビートルズなのだが、その活動のとんでもない記憶をたどることよりも重要なのは、彼らはロック・ポピュラー音楽史の流れを完全に変え、自作自演の曲で出身のイギリスだけにとどまらずアメリカを筆頭にした世界中で等しく愛されたアーティストだということ。
そして計り知れないほどにすべての人、また現在を彩る世界中のミュージシャンに影響を与え続けている。
では、なぜ今ザ・ビートルズなのか?
耳になじんだザ・ビートルズの楽曲は、主な活動時期の1960年代に録音されたものでそのときにはアナログ・レコードが音を聴くツールだった。
その後CDが音を聴くツールになる時代が訪れ、ザ・ビートルズの楽曲がCDとしてリリースされたのは20数年前。その音は今でも頑ななまでに変えられることがなく、このことは音楽界の七不思議のひとつといってもよい事象だった。
ほかのアーティストに見られるように日々進化するマタリング技術の向上などでCDを再発売する際に、改めてリマスタリングされる例が多いことは知っている人も多いだろう。
それは、アーティストが意図した原型に限りなく近づくことで、音の奥行きが増し、クリアになり、聴こえなかった音までもが聴こえる様になることでその音楽を愛するリスナーとしてはこの上なく歓迎されることなのだが、ザ・ビートルズにはそれが無かった唯一のアーティストだったのだ。
20年以上もザ・ビートルズを聴いてきている人たち、またアナログ・レコードを基準にすれば40年近く慣れ親しんでいる人たちにはこれ以上ない幸せなときが訪れようとしている。
4年間もリマスタリング作業に時間を費やし、9月9日にすべてのアルバムが一挙にリリースされるのだから、それは「事件」だし、今はジョンもジョージもいないけれど、これからザ・ビートルズに出会う人たちに向けて、またそれはデジタル・フォーマットで音楽に接する新しいリスニング・スタイルの人たちにも等しく新しいザ・ビートルズに出会えるきっかけとなりえる大事件として認識してもらえると思う。
ちなみに僕の一番好きな曲は「レット・イット・ビー」。
まーちょっと公言するのも恥ずかしいのだが、小学生のときに兄のレコードコレクションから内緒でダビングしたのがこのアルバムと曲でレコード盤の真ん中で廻るアップルをいつまでも眺めていたのを憶えている。
その曲「レット・イット・ビー」のポールの歌いだしひとつとっても奇跡的に今も新鮮な曲だ。
まだザ・ビートルズのアルバムを手に取った人ことのない人にはボックス・セットを(笑)オススメするのは冗談ともいえなくて、どんな入り方をしてもザ・ビートルズの世界に入ることが出来るところを伝えておきたい。
あえて挙げれば『アビー・ロード』かな。
ザ・ビートルズの深い森へようこそ
福田 誠(HMVジャパン商品部 ロック&ポップス担当)
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