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『東南角部屋二階の女』 『休暇』 リリース記念!西島秀俊インタビュー

2009年5月11日 (月)

西島秀俊 hidetoshi nishijima

西島秀俊さんが出演されている『東南角部屋二階の女』と『休暇』の2作品DVDリリースを記念して、所属事務所の一室にて、合同インタビューをさせて頂いた。1つ1つの質問に対して、丁寧に真摯にお答え頂いたその姿は、今でも脳裏に焼き付いているほど印象深い。インタビューを記念して、サイン入りポスターを3名様にプレゼント!2作品のDVDを観る前に・・・観た後に・・・お読み頂けたら幸いです。INTERVIEW and TEXT: 長澤玲美

台本があって、セリフがあって、そこに監督が動きを付けたら「その役になる」って思ってるんでしょうね、僕自身が。

--- まずは、『休暇』についてお尋ねしたいのですが・・・死刑囚という役にどのような気持ちで臨まれたのでしょうか。

そうですね。金田真一っていう、死刑囚役だったんですけど、「そこに至るまでに何があったのか?」っていうようなバックグラウンドが一切、書かれていない台本だったんです。でも、本当にすごくいい(台)本で。彼のバックグラウンドをいろいろ、「なぜこうなったのか?」って設定することは可能だったんですけど、それが全く分からないことがこの役に触れられる理由のような気がして。だから、「この役と自分が被る部分がある」とか「共感を覚える」とか、そんなことは口が裂けても軽々しく言えないような役に、どう自分がアプローチして、どう関わっていくのかっていうことに挑戦出来たと思ってます。

--- 特に「死刑囚役だから」という意気込みで臨まれた訳ではないですか?

そうですね。この金田(真一)って人には闇が、本当に真っ暗な穴があって、「死刑を待って過ごすってどういうこと?」って想像したって分かりっこないことを、「でも、じゃあ、どうやって向かって行くの?」と考える・・・そのすごく極端な例だとは思いますね。

--- 『休暇』の中で一番、思い入れ深い場面はありますか?

思い入れ深い・・・(笑)。まあ、刑の執行をされるシーンがやっぱり。僕のシーンは撮影期間が1週間弱ですごく短かったんですけど、やっぱり、きつかったですね。「いつかブツって、この集中力が切れちゃうんじゃないか」っていう緊張感が撮影中ずっとあって、「ああ、これ切れたらアウトだろうな」って思いながらやってましたね。だから何か、きつかったっていう印象が(笑)。

--- 共演された小林薫さんには、どういった印象を持たれましたか?

小林(薫)さんはディティールにまですごく丁寧に気を遣われる方です。例えば、「この持ってる鍵がどういう鍵なのか?」、その鍵を持った時の重さとか、質感とか・・・そういうことが演技にとってすごく大事だっていうことを感じられている役者さんだと思うんですよね。美術とか、そういういろんなものに対して。

あとは、例えば、僕が演技をしている時に、「お前、こっちの方がやりやすいんじゃないか?」って言うようなことを言って下さって、自分のことだけじゃなくて、共演者の人がどうやったらもっとやりやすいかっていうことに常に気を遣って下さいましたね。一緒にお仕事をさせて頂くとすごく勉強になるし、いろいろ助けてくれる、そういう先輩です。

--- ここからは、『東南角部屋二階の女』についてお伺いします。西島さんは、黒沢清監督の『ニンゲン合格』に出演されていますが、その黒沢監督が東京藝術大学大学院映像研究科で教鞭を執られていて、その教え子でもあったのが『東南〜』を監督された池田千尋さんですが、どのような経緯で出演が決定したのでしょうか?

東京藝大の卒業制作がユーロスペースで上映されたことがあって、僕、それを普通に客で観に行ってて。その時に、池田監督の作品(『兎のダンス』)を観て、すごくおもしろかったんですよね。だから、僕にとっては別に、池田監督は初めての監督では全然なくて、才能を示してる、才能ある監督にオファーをされたので、「ぜひお願いします」っていうことで受けました。

あとは、『東南〜』は、『2/デュオ』と『帰郷』という映画をプロデュースした磯見(俊裕)さんのプロデュース作品で、2作品とも、僕にとっては大事な、大きな映画なんです。今でもインタビュアーの方に、『2/デュオ』の話を普通にされたりするし、「『帰郷』 好きなんですよね」って言ってもらえたりするような作品で。たぶん、その2作品とも、「公開当時よりも今の方が観た人の中で大きくなってる作品なのかな」って。

だから、そういう息の長い作品というのも、もしかしたらプロデューサーが同じっていうのもあるかもしれないです。「『東南〜』もきっとそうなるだろうな」って、何となく感じてて。今は気付いてないことでも、時間が経てば経つほど、「大きかったんだ」って思えるようになるのが映画なのかなっていうのは、思いますね。

--- 現場の印象はいかがでしたか?

東南〜』は、池田監督も撮影のたむら(まさき)さんも、スタッフも共演者のみなさんも、「その場で起こること」っていうものにすごく集中して、「そのことを信じる」っていう人達が集まって映画を作っている現場だったので、自分自身の役よりも、役と役との関係性に集中して、「それが現場でどういう風に生まれてくるのか」っていうこと、「生まれたものを信じる」っていう風に考えてやっていたんです。

実際、台本よりもはるかに登場人物の関係は複雑だし、繊細なものになっていきましたね。シーンの中で「こういう事件が起こった」っていうことよりも、はるかにたくさんのことがそこでは起こっていて、役同士がセリフを交わすことをしなくて、ただ立ってるだけでもコミュニケーションが始まるような、そういう現場だったんですよね。だから、「よーいスタート」って言う前に、もう始まってるんですよ、何か。

--- あの野上という役は、観てる方が「西島さんそのものじゃないか?」って錯覚するくらい自然な・・・(笑)。

違うんだけどなあ(笑)。

--- それは、「演技力が」という意味でお話ししたんですけど・・・(笑)。

いやいやいや(笑)。

--- ご自身とリンクする部分っていうのはどのくらいあったんでしょうか?

えーっと・・・最初に台本を読んで、「うわ、これめちゃくちゃな人だな」って思って(笑)。だから、そのめちゃくちゃなのを「どう自然に見せるか」って言うことを考えて。「普通のああいう人をやるのは難しくないですか?」って言われたりすると、「良かった!普通に見えるんだ」って(笑)。

この人は全然普通じゃない・・・もう、めっちゃくちゃ(笑)。いろんなことをどうでもいいって思ってる、辻褄の全く合わない人で、まあ、僕もめちゃくちゃかもしれないけど・・・。めちゃくちゃな部分とすごくまともな部分が野上っていう役には見える。もしかしたら人にも優しいし、いろんなことが分かってるしっていう部分と、全てどうでもいいと思ってるというのを両方やりたかったんでしょうね。それが同居してるような感じにしたかったのかなあ。改めて考えてみても、ちょっと分かんないですけど・・・自分とはあんまり、被ってないと思います。

--- 逆にと言いますか、そういう役の方がやりやすいということはありますか?

正直、「自分とここが似てる」「似てない」っていうことでは、全く考えてないです。そういう発想で役を見たことはあまりありません。監督と会ったりとか脚本を読んだりとか、スタッフの説明を聞いたりとかして、全パートがそれぞれ準備を重ねてきたものがあって、そこにただぽんって立って、そこで起こることを何となく感じられるようにしておけば・・・。台本があって、セリフがあって、そこに監督が動きを付けたら「その役になる」って思ってるんでしょうね、僕自身が。そんな風に考えてますね。

--- 西島さんは、「映画を観るのが大好きだ」と公言されてますが・・・。

公言して・・・まあ、そうですね(笑)。

--- (笑)・・・1日1本映画館で観ている計算になるくらいだそうですが・・・。

最近はそんなに観れてないですけどね(笑)。

--- 映画がお好きだということは、今回、香川京子さんと共演されたことは、すごく大きいことなんじゃないかと思うのですが。

そうですね。「本当にすごい人っているんだな」って格の違いを見せ付けられて(笑)。本当に偉大な女優さんと同じ現場にいて、あまりに素晴らしいので、共演してる瞬間はもちろんですけど、ただ一緒に控え室で会ってるだけでも感じることがすごくいっぱいあって。「ああ、やっぱりそうなんだな」って。普通にいるだけでもすごい人だから、「映画の中でもすごい」っていうことなんですけど、やっぱり、目の当たりにすると本当に衝撃を受けますよね。

--- どういうところで特にそう思われますか?

・・・いや、もう全部だからなあ。『東南〜』を実際に観た方から、やっぱり香川京子さんと高橋昌也さんのあの表情が、あのカットがすごいっていう話をたくさん聞くし、実際現場でもそうだったし。普段、何となく話してる時も「何でこんなに普通に話せるんだろう、いいのかなあ」っていうくらい、僕は普通に香川さんとお話ししてたんですけど、香川さんが帰られた後に、「俺は何をしてるんだろう」って。何かね、もうそういう方なんですね。うん、すごいと思うけどな、(強調して)本当に。だって、香川京子さんですよ?(笑)。

--- そうですよね(笑)。今お話しして下さった高橋(昌也)さんとは、『メゾン・ド・ヒミコ』以来の共演になりましたが、再会されて違う思いもおありでしたか?

そうですね。あるシーンで高橋さんとこう・・・ふっと目を合わすシーンがあって、その撮影が終わった後に監督と2人で、「いやあ、高橋さん、すごいですよねえ」って言い合う感じですね(笑)。本当に「どうやったらああいう風になれるのか」っていう。僕はなれる気がしない・・・。「どうやったらなれるんだろう」って、真剣に考えざるを得ないですね。

--- 西島さんが今まで観た映画の中でベスト3を挙げるとしたら?

それは無理ですよ(笑)、それは無理だって(笑)。でも、何ヶ月前かに森崎東監督特集があって、まーあ、幸せなひと月でしたね(笑)。たのしかったなあ。最近のたのしかったことベスト1は、森崎東監督特集!(しみじみと)・・・たのしかったなあ。

--- 映画を観ている時が一番たのしいですか?

うーん、もちろん、観るのもたのしいんですけど、でもまあ、現場が一番たのしいかなあ、やっぱり。

--- 西島さんにとって映画って、何なんでしょう?

また質問が大きいなあ・・・(笑)。何ですかねえ・・・(しばし沈黙)。

すごい難しい質問ですけど、映画で人生とか、何かちょっと考え方が変わることがたくさんあったし、映画に助けられたこともたくさんあったし。たぶん、映画が好きな人はみんなそういう体験を持ってると思うんですよね。「あの映画で助けられた」とか「こんな視点があるんだ」って。何か本当に、ちょっと生まれ変わるような体験をしたとか、そういうものがずっとある。まだある、まだあるか・・・っていうくらい、やっぱり衝撃を常に受けますね、映画を観てると。

--- 若い人が最近、映画館で映画を観ないですよね?

うーん、まあ・・・この取材はDVDの話ですけど、まあいいや(笑)。僕は映画館で映画を観るのが好きですけどね。知らない人と一緒に観る・・・それは音楽のライブとかでも体験出来ると思いますけど、たぶんそれが好きなんだな。全然知らない人達と一緒にうわーって笑ったりとか泣いたりとか、「何か人生変わったなあ」ってたぶん思ってる、この知らない人達も。そういう体験が出来るのはやっぱり映画館ならではですけど(笑)。まあ、DVDも観て頂いて(笑)。

東南角部屋二階の女
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