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志磨遼平【毛皮のマリーズ】:インタビュー

2009年4月6日 (月)

毛皮のマリーズ
 
  Gloomy  

 

毛皮のマリーズ / 『Gloomy 』

 


 


  「2008年のリンダリンダだ」と某ブログで絶賛されたシングル「ビューティフル / 愛する or die」の衝撃から5ヶ月、毛皮のマリーズの3枚目のフル・アルバムです。 一度はロックを捨てる決心をし、どん底まで落ちた志磨遼平が、再び蘇りロックを手にし、リハビリを兼ねて作成した渾身の一枚。ロックレジェンド達へのオマージュが随所に込められ、音楽性も広がった一大ロック絵巻!

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――ロックをあきらめたっていうか…失望したんですよね。



HMV : アルバムの完成おめでとうございます。まずは、率直な感想を伺いたいのですが。

志磨遼平 (以下志磨) :今までのアルバムは、一個一個作っていって、たまったら出すみたいな感じだったんですけど。今回初めて「よし!じゃあ、今日からアルバム制作に入ります」って言って曲を書き出して、1ヵ月から1ヵ月半くらいで「出来ました!」みたいな。なので、レコーディングも含めて曲作りと平行してやっていって、冷静になる期間が全然なかったので…今まではライブでやりつつみたいな感じだったので。人の反応が全くないっていう状態で作っていたので。「どうなんだろう…大丈夫かな…」って思ってたんですけど(笑)。最近やっと自分の中で消化できてきたみたいなので…やっと。

HMV : 自分の中で客観的に見れるようになった?

志磨 : そうですね。なかなかいいんじゃないかな、って今は思ってますね。はい。

HMV : アルバム制作はどのような感じで始まったんですか?

志磨 :今回は僕の個人的な葛藤の時期が曲作りの時期と同じくらいあって。1年くらいずっと悩んだんですよね。なんで音楽をやるのかな?ぐらいのところから。で、そんな状態でもバンドは進むので、「うーん、うーん」言いながらもライブをして…で、なんとか突破口が見えそうになった時にはもうアルバム締め切り間近!みたいな感じで。で、僕のリハビリみたいな…しかもショック療法的な(笑) 音楽っていうのがわからないっていうことを、音楽を作ることによって無理やりスパルタで最終叩き上げていって、音楽完成とともに復活!みたいな感じでしたね(笑)

HMV : その葛藤の根本的な理由ってあったりしますか?

志磨 : それはまあ、しょうもない話かもしれないんですけど…恋愛しますよね。今になって思うんですけど、中学校くらいで「ロック、好きー!」みたいになるじゃないですか。で、男女交際みたいなもんってそれくらいから始まるんですけど…僕の人格形成時期において常にロックンロールが最優先だったんですよね。

HMV : 恋愛よりも、ってことですか?

志磨 : そうですね、たぶん全部ですね。どこの高校に進学するか…とかも(笑)

HMV : 全てがロック基準ですね…わかります(笑)

志磨 :僕、今まで面白かったらいいやとしか思って生きてこなかったんですね。「これやったらみんなビックリするやろうなー」みたいな。普通にアホやったんですけど、ものすごい進学校に入ったろうかなと思って…めっちゃ勉強して入ったんです。みんな物凄いビックリして。で、入ってすぐ「やめたらまたビックリするなー」思って、「やめたろー!」言うてやめて。バンドやってたんですけど一人で東京に出てきたりして。他の子からしたら「えっ!」みたいな。みんな大学行くか悩んで「志磨とバンドやってるし、俺、進学せんと働きながらバンドやるわー」とか言うてくれたのに、「東京行こうよ!」

HMV : 置き去りにして(笑)

志磨 :みたいな感じやったので、周りの人を振り回し続けてきたんですよ。そんなクソ野郎で…えーと、今好きな人が出来て、初めてなんかしてあげたいみたいな気分になったんですよね。バンドマンの生活って、プライベートとオフィシャルの場みたいのがあるじゃないですか。1日に何十分とかステージだと、僕が悪いことをすればするほど喜んでもらえるような時間帯があって、やっても怒られない場みたいのがあって。そういうのにも多少憧れてたところもあるんでしょうし。かといって悪にもなりきれずですけど…クソなので(笑)そういうの全部直そうと思ったらロックンロールできなくなっちゃったんですよね(笑) で、これけっこう大きな問題で「うりゃー」ってやってきましたけど…例えば自分の恋人が、大勢の人の前で上半身裸の汗だくで血とか流しながら大声で呻いてたら気分良くないんですよね、たぶん(笑) で、いろんなところでギャーギャー言うてたら2ちゃんねるとかで叩かれてたりとかして、「好きな人にそんな迷惑なんかかけらんないや」って。ロックンロールって皆さん好きじゃないですか。僕らに興味を持ってくれる人はみんなそうやろうし、好きな人多いと思うんですけど、盲目的に好きになっちゃうじゃないですか。

ロック…なんかロックは音楽のジャンルじゃなくて生き様や!みたいな…僕とかもそうでしたし、いろんな人が人生みたいな時間とかお金、哲学とかまでを全部投資した人いっぱいいると思うんですよね。それぐらいのもんなので、僕は盲目的に信じてたんですよ。ロックンロールっちゅうのはスゴいもんやと思って。なんかウダウダ言ってますけど、この世の中で一番正しい宗教なんじゃないかってくらいの感じだったんですよね。そんな大したお金を取るわけでもないし、人から気持ち悪がられる宗教でもないし、いろんな人を幸せにしてきた良い宗教なんじゃないかと思ってたんですけど。なので、僕ロックンロールが悪いもんやと一回も思ったことないんです。だから、まさか正しい人間になってロックンロールできないはずがないって思ってたんですよ。で、僕みたいなもんが例えば楽器壊して喜ぶ人がいるじゃないですか、僕がどんどん悪いことをすればするほど、魅力的な…魅力を発揮するような使い方をしてたんですよね。自分を使ったり、ロックンロールを使ったりして。そういうことをしてるとどっかで歪みがね…「すいませんでした」って僕がピシっとええ格好して、髪とか短くして、誰にも迷惑をかけないような歌詞とメロディーで、適度な音量でやってると、なんか成立しないような使い方をしてきてたんですよね。今まで自分の身体とか…古くから伝わってるロックの良い音楽とかを…そういう音楽って意外と多くって。そんで、話ずれちゃうんですけど、僕、今ものすごい大きな夢があって(笑)

HMV : おっ、何ですか??

志磨 : もしロックンロールがホンマに後世にも伝えるような正しい文化ならば、きっと生き残るやろうと思って。僕、ものすごく正しいロックンロールショーをやってみたいんですよね。それを確立して後世に伝えたいです、僕は。

HMV : それは行儀がいいってことじゃなくて、いわゆる“ロック”って意味ですよね?王道とか…

志磨 : そうですね。例えば、ロックを…この人は人生のうちにロックンロールに時間を費やしましたっていうのを省けば、タダのくずの人いっぱいいるんですよね。

HMV : ロックを抜きにすると…

志磨 :ジミヘンとか言うても、どんな人だったか知らないですから。まぁ、良い人やったとか聞きますけど。ギターが弾けた、ものすごくギターが弾けたっていうのを抜けば違法の薬物でゲロ吐いて死んだ若者ですし。いっぱいいますよね、ジム・モリスンとかシド・ヴィシャスとかね。そういう人たち僕好きでしたけども。で、そういう人より抜き出た技術を持っている人って他の世界にもいっぱいいるじゃないですか。工場でものすごい仕事が出来る人でも、薬物所持してたら一気にガタ落ちするんですけど。ロックくらいなんですよね、イメージアップするの。それちょっとおかしいなぁと思って…あ、これ1年くらい考えた結果なんで、間けっこう端折っちゃってますけど。僕、いろんなこと悩んだ末に一回ロックをあきらめたっていうか…失望したんですよね。「あ、よう考えたらものすごい汚いもんなんや」と思って。で、やめようと思ったんですけど。 

でも、悩んで悩んで…僕に出来ることもそれぐらいしかなく。考えて考えて、その過程を無理やり曲にしつつ…そのさっきも言ったみたいなショック療法で。録音してまた曲を作って書いて。で、アルバム一個出来た時に「僕はコレしか出来ないなぁ」と改めて思いまして。じゃあ、もし続けるならば…というか、僕は続けたいので続けるならば、自分が今までものすごくいろんなもん犠牲にして付き合ってきた音楽なので。人をただただ幸せにし、正しいメッセージを歌い…メッセージじゃなくてもいいですけど。人類はそれによって進歩するような(笑)誰も悲しまないような…周りの人ですら悲しまないような。ロックスターの身近にいた人ってすごく悲しかったでしょうから、そういう自分の家族とかを大事にしてるを傷つけてまでやるようなもんではないと思うので。そんなものは世界に蔓延ってはいけないので。でも、まさか僕が自分の手でそれを消せるわけもなく…すっごい好きだったので。だったらきっといいもんやと思いたいので、それを自分でやりたいなと思って。で、やっぱり「うん。悪くなかったな、ロックンロール」って思いたいなぁって…日々精進しております(笑) 

HMV : 話が一気にでっかくなりましたね(笑)

志磨 : 系列順に言ったりしてたんですけど…「それが何月くらいで、何月くらいにこういうことになって」とか言ってたんですけど、端折ってさらにその先をしゃべっちゃいましたね。今。
…なんか細かいのがあれば聞いてください!テーマが大きすぎました。






――Beatlesのような音のレコードを作りたい



HMV : ではちょっとアルバムについて。今回1曲目が静かな曲じゃないですか。Velvet Undergroundっぽいアルペジオで始まるんですけど…、マリーズらしくねいですよね。 これって意識したんですか?

志磨 : なんか…ものすごいビックリするような始まりがいいなぁと思って。割とアルバムの1曲目が「ドーン」と行くので、じゃあ今回は「ドーン」っていうのより、むちゃくちゃ静かに始まった方が衝撃的やろ!と思って。この曲本当はもっとオルガンとかが入ってて、何でしたっけ…Bob Dylanのあの… (歌い出す)

HMV : 「Like A Rolling Stone」?

志磨 :「Like A Rolling Stone」!ああいう感じが良いとか言ってたんですけど。録って聴いてみるとそんなに意外じゃなくて。普通に良い曲になっちゃって。で、ゲスト呼んでオルガンまで弾いてもらっちゃったんですけど、「ごめんなさい!ちょっと一回やり直したいです、この曲は!」って言って。結局ドラムの富士山さんにも「ごめん!この曲、ドラムいらんわ!」って。(ベースの)ヒロティも入ってないですけど。それで、ギターと歌だけでやってまして。「じゃあもう、バッチリやな」っていう。ヒロティも「コレ一番好き!」とか言いますね。自分入ってないくせに(笑) すごい僕も気に入ってます。これは良くできました。ビックリするようなのがいいな、と思って。

HMV : 良いですよね!すごい意外だな、と。 …で、2曲目でバンっと来るじゃないですか。

志磨 : そうですね、コレ良い流れですね!(笑)

HMV : 資料によると、Beatlesの「White Album」って言葉が何回も出てくるんですけど、そういう感じが凄くして。

志磨 :僕最初に好きになったのがBeatlesで、多分今でも一番好きっていうか…好きなのはその時々変わりますけど、一番事情に詳しかったり、何回も繰り返して聴いたのがBeatlesが一番で。曲が出来ない、音楽が出来ないって思った時に一番僕に正しい音楽みたいなのを思い出させてくれるっていうか… 僕の道しるべじゃないですけど、Beatlesから音楽を好きになっていったし、もう一回Beatles聴こうと思って。ロック不信時代だったので、何聴いても全然ハマらないんですよ。「ケッ」って思って。むしろ聴きたくないくらいだったので、もうどうしよう…と思ってBeatlesを聴き。Beatlesのことになると、僕すごくワクワクするんですよね。

それでBeatlesの文献みたいなのを買ってきて。あとはBeatlesのレコーディング・セッションの資料とか…何月何日に録って、使われたのは何テイク目で、アンプはアレとアレを使ってるとか、ギターはアレを使っててとか、こういう風に弾いてるとか。で、「ほうほうほう…」と思ってそういう技術的なところで、なんか頭ばっかり使ってたんですよね。音楽に対して…思想みたいな。技術みたいなところでしか興奮出来なくて、去年は。で、「あのアンプとあれやったらこんな音出んねんや、すごい相性いいんや」とか「そうやってマイク当てたらいいんや」とか、そういうレコーディング・オタクみたいな…宅録オタクの興奮をそのまま曲にしていったので。今回の僕のテーマはBeatlesのような音のレコードを作りたいっていうのが。それが僕の衝動っていうか興奮だったので… 自ずとこういう風になってます。

HMV : レコーディングにこだわるとか…そういうのって元々好きだったんですか?

志磨 : 元々好きなんですよ。こちょこちょやるの。

HMV : なんかそういうイメージが無かったんですけど… 一発録りとかそんな感じが。

志磨 : 実は僕ら、全部別録りなんですよ。1stから。

HMV : そうなんですか?

志磨 : それはむちゃくちゃ下手ってこともあるんですけど(笑)

HMV : でも、さらに一発録りっぽくってことですよね。

志磨 : そうですね。だから、後でエセ一発にするんです。一発で録ったら誰かが間違って進まないんですよ。なので、別で録っていきます。あとはまぁ、後で音いじれるんで。…すごい好きなんですよ。いつもMIXはずっと僕ら立ち会って、エンジニアさんと一緒にやるんで。

HMV : 一本芯は…やっぱりマリーズっぽさはあるんですけど、曲調は全部バラバラな感じで…

志磨 : よかったです。僕らっぽさが何なのかって、自分らが一番分かってなくて、「大丈夫かな?」っていう出来てちょっと経った時のハラハラはそこでしたね。「ココはいいけど、聴く人はいいのかな?」って思ったり。

HMV : 何て言うんですかね…まとまりがないと言えばまとまりがないじゃないですか。

志磨 : そうですね。今までは音が「ドカーン」って鳴ってるのが魅力だったりしたならば、その魅力が今回だいぶないので。

HMV : でも、やっぱりマリーズだなって感じます。

志磨 : あっ、よかったです!

HMV : その辺りはやっぱり心配だったんですか?

志磨 : 心配しました!人が聴いて良くなかったら全然意味ないんで…そうなんですよ。






――このアルバムをもってリハビリ終了(笑)




HMV : レコーディングの時に一番苦労した曲って何ですか?

志磨 : えーっと、どれだろう… でも、今回は曲を作っている段階では1曲もライブでやってないので… ライブを想定したアレンジをしてなくて。意外とライブでやる方がサクサクできるんですよね。まず、僕の頭の中で鳴る音楽みたいなのを、一回「毛皮のマリーズ」バージョンに変換するんですよ。で、それを発表してたんですけど… 今回その時間が無いので、僕の頭の中で鳴ったのをそのままやったんです。プレイヤーは戸惑ってましたけど。「えっ!」って。

HMV : 「今までと違うぞ!」って(笑)

志磨 : 意外とアレンジはスッと出来て。2曲目が一番悩みました。今までっぽいかもしれないですけど、そこが悩んだかなって。轟音…ノイズノイズで押すみたいなのが納得行くまで一番時間かかったりして。ピアノとかの曲の方がすんなりいきましたね。

HMV : 今回は頭で鳴っているものがそのまま出ている感じなんですね。

志磨 : そうですね。いつもは僕が考えた曲を、毛皮のマリーズでカバーするぐらいの感じかもしれないんですけど… 今回は僕のオリジナル!みたいな。

HMV : その辺りの葛藤とかはなかったんですか?

志磨 : 作ってる時は全くなかったです。「天才ちゃう?」言うてやってたんですけど(笑) 出来てみると、4人は何をやると得意なのか?人よりも秀でている部分みたいなのが引き出せなかったな、っていうのはありますけど。引き出すといつもの「毛皮のマリーズ」になるのかもしれないですけど。でも、それって手癖かもしれないじゃないですか。今まで慣れただけで。まぁ僕らは若者なので、どんどん挑戦していくべきだと思って、こういうアルバムもいいんではないでしょうか?何も考えないで、いつも通りやるよりはね…すごい考えていろんなものがやれたのは、なんか誇らしいですけど。

HMV : メンバーが戸惑ってた感じはありますか?

志磨 : …多分(笑) でも、昔こういう感じやったんですよね。なので、意外と「どうした?!」みたいなものではないんですけど、実は。「あー、昔みたいな感じや。OK!」みたいな感じですね。CD出てから僕らを知ってくれた方がほとんどなので、お客さんはビックリするかもしれないです。

HMV : 進化している感じはありますもんね。

志磨 : そうですね。…進化しないと、と思って。だから自分達としては嬉しいですね。違うことが作品としてちゃんとできたっていうのは。アルバムの中で1曲…「これは新しいことを試してみました」とかじゃなくて、ドカンと一個まとめてできたのは、「おー、よしよし!ようやった」と思いますね。今になって。

HMV : トータルのコンセプトってありますか?

志磨 : それは…完璧に僕の思想なんですけど、音楽というよりはさっき言ったみたいな「葛藤」ですね。最近気づいたんですけど、曲順めっちゃ悩んで…悩んで悩んだ末にこの曲順になったんですけど、よく考えたら作った曲順なんですよ。で、1曲目はどん底の時に書いて、その頃は何書いても書くのすらキツかったんですよね。書いても全然僕が今思っている感情の…ここは文才の無さですけど、ひとかけらも表現出来てないんですよね。絶対伝われへん。書いてはポイって、そんな感じだったんですけど。1曲目のは「わりといいなぁ」と思って残してて。そんな「いいなぁ」なんて冷静になんてなれないじゃないですか、めっちゃ悩んでたら。「よう書くわぁ」って思うんですよ。だから、何も書けなくて。書けるぐらいやったら全然やん、みたいな。ラブソングとか、いろんな人歌ってますけど、そんな好きじゃないですよ(笑) 書けるぐらいですから。めっちゃ人のこと好きになったら、全然足りないですよ。まさかその3分では収まるわけもなく、一大プログレみたいになりますよ(笑)

HMV : それか「愛してる」とかの一言になっちゃいますよね。

志磨 : そうですね。…ものすごいヘビーな感情とか、僕の考えとかをなんとか3分に濃縮したいなぁっていうのが、まず一個大変な作業で。それで、だんだん書けるようになってきて、ずっと溜めてたんですよ。歌詞の元みたいなのばっかり。それで、「もうダメだわ」っていうのとか…誰も悪くないんですよね。僕、結構悪いんですけど(笑) 僕もロックのために精進したつもりだったんですよ、今までも。それが今になって結局通用しませんでした、って「ロックどうなん?どうしたらいい?どうしてくれんの??」みたいな、そういうロックへの責任転嫁(笑)

HMV : 「ロック、何やってんだよ」って(笑)

志磨 : 「君の言うとおりについてきたら、何もうまいこといかなくなったやんか!」って。「結局、対象年齢20歳前半かよ」って。「そこからどうしたらいいの、僕は?」みたいな。そういう葛藤みたいなもんから…僕の大元ですよ。大好きな人がおるわけで、今まで個人的な感情っていうのがあんまり曲になってないんですよね。「ニンゲン!」みたいなのにすごい興味があって…ギリギリまでいく人間とか。そういうのがロックンロールやと思っていたので。僕個人のこととかって興味なかったんですよ、今まで。

僕が何をしてるかとか、僕が誰と付き合ってるとか、全然興味なくて。この人類がどうなっていくのか?みたいな、「さあ、どうする?」みたいのが面白かったんですけど。で、初めてそういうプライベートっていうか…僕のちっちゃい世界ですよね。地球とか人類とか人間とかじゃなくて、僕と大好きな人がおったらそれで事足りるので。だから、悩んだんですけどね。ここで「はぁ〜」って思ったことを、わざわざ人いっぱいの前でマイクとかで「好きでーす!」って言う必要はあんのかな?と思って。全然「好きです」って言えばそこで成立しちゃうものを、わざわざアレンジして、レコーディングして…「あ、ゴメンゴメン!もうワンテイク!」みたいなこととか言って(笑) 「ちょっと今のドラムの数さぁ…」って、もう本編とは関係ないですよね。

HMV : そのアレンジによって愛の重さが変わるわけではないですからね(笑)

志磨 : 別に全然関係ないですよね。ましてや、僕のギタリストとかドラマーとかは全然好きじゃないですからね(笑) はっきり言って。もう関係ないんですよ。「なんてこんな不順な作業?」と思って。だからできなかったんですけど。そういうの全部一個一個ケリつけていかんと、全く進めなくて。その結果、さっきのような壮大な発想になったんですけど(笑) そういうの初めてバンドでやって、いろいろ悩んでいって一番最後の曲が一番うまく書けましたね。結局ロックっていうのが、同属嫌悪みたいな…僕のようなヤツだなと。…今言うよりも、歌詞の方がうまく言えてます(笑) ホンマ、最後の曲みたいな感じです。

HMV : この曲も時系列どおり、最後に出来たものなんですか?

志磨 : そうです。全部時系列なんです。

HMV : リハビリはうまく進みましたか?(笑)

志磨 : とりあえず進みました。このアルバムをもってリハビリ終了(笑)

HMV : そう思うと感慨深いですよね。

志磨 : そうですね、僕個人的には「やったぜ!」っていう(笑)

HMV :それでは、最後にHMV ONLINEをご覧の皆様にメッセージをお願いします。

志磨 : 4/29(水) にHMV渋谷店でアコースティックLIVE & サイン会やります。お店でやったことがないのでどうなるかわからないですけど、面白くなればいいなぁと思っておりますので、東京近郊の方は是非!毛皮のマリーズがきっと世界を良くするでしょう!

HMV : ありがとうございました!


 

 
SPECIAL FEATURE 毛皮のマリーズ:志摩遼平・全曲解説