bonobos 最高傑作!【インタビュー】
2009年3月25日 (水)
--- 自主レーベル「ORANGE LINE TRAXXX」設立後、初めてのリリースになりますが、自主レーベルを立ち上げた経緯を教えてください。
大げさに言うと、ここ数年で少し偏ってしまったbonobosの音楽性を立て直すための一大事業です。 あと、もう少し気楽にやりたいなっていうのと、どうせアレやコレや言われるんなら自分の選択の結果で言われた方がマシだと。 前の制作環境がそうだったワケではないですが、色んな人の意見聞いちゃうんで。 --- 今後、レーベルは、どのような形で機能していく予定ですか?(例えば、bonobos以外のリリースも考えているのでしょうか?) 立ち上げたばかりでなにも考えてませんが、そのうちソロの作品集を発表したり、良い人がいて御縁があれば他のタイトルもリリースしたいですね。 --- 全体的に、いつも以上にリラックスした印象を受ける作品だと思います。レコーディングはどのような雰囲気で行われたのでしょうか? 2008年の年末と、2009年の2月からの二回に分けてセッションを組みました。 今回はZAKさんのスタジオ"st-robo"で全曲録ったんですが、とにかく快適な空間でして、一度も行き詰まる事なく気持ちよくやれました。 まぁ今回は録り始める前に全曲揃ってたのもデカかったと思います。 みんなちゃんと歌がある中で演奏してくれたから。 終わりが近づくにつれ、どんどん淋しくなってきて、レコーディング終わらなきゃ良いのにとさえ思いましたよ。 とにかく楽しかった。 |
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--- 特に1曲目に収録された『GOLD』は今後のbonobosの定番になる予感のする、名曲だと思います。この曲が生まれた時の事を聞かせて下さい。 世界には自分の望むと望まざるに関わらず、生まれた国とは違う別の土地で暮らしている人が沢山います。 ぼくの祖父や祖母もそういういわゆる"移民"でした。 そんな人たちも何世代か暮らしを重ね、いずれ遠くない将来ふと、故郷から離れた今いる場所に愛を感じる日が来るかもしれないと、そうだと良いなと思ったのがこの曲をというかこのアルバムを作る取っ掛かりでした。 歌詞を書き換えたり他の曲に分散させたりしてるうちに『GOLD』はシンプルな別れと旅立ちの歌になり、偶然にも今のbonobosの状況(ギターのコジロヲが脱退したり、新しいレーベルを作ったり)にぴったりハマる曲になりました。 不思議なもんですが、下地をしっかり作るとシンプルな言葉にも力は宿るのだと思います。 --- まもなく春を迎えるこの時期に適した、“出会いと別れと旅立ち”の歌ですが、思い出に残っている、“出会いと別れと旅立ち”のエピソードがあれば教えてください。 やはり近いところでギターのコジロヲと前の制作スタッフの皆さんとの別れですね。 新しい事を始めるには何か古いものは捨てなきゃいけないこともあるようで、その分また素敵な人と出会ってますよ。 P-VINEのスタッフの皆さんにはとてもよくしてもらってます。 --- 前作までと比べて、コーラスや、楽器と楽器の響きが幾重にも重なって、素敵に響いているのが印象的ですが、その辺りのこだわりを教えてください? 幸いにも準備期間が結構あったので、自宅でデモを作る際とゲストミュージシャンとのプリプロダクションの際にかなり細かく作り込んでからスタジオに入りました。 歌もコーラスも各楽器のフレーズも含め、全体で鳴らす事を意識しました。 録る時はどの曲もほぼ一発録りだったんですけどね。 とにかく録るまでの準備は相当しました。 --- 歌詞がとてもシンプルな言葉で綴られていて、ストレートに伝わってきます。歌詞を書く上で何か意識をしたことがあれば教えてください。 言葉本来の響きとメロディーに乗せた時の響きの違いには相当気を使いました。 歌われる内容などはずっと変わりませんが、もはや無邪気に愛だの恋だのと歌える歳でもないですので、そこはもう少し踏み込んで、言葉の意味とイメージが分厚い層になればいいなと思ってました。 |
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--- アルバムタイトルの『オリハルコン日和』ですが、オリハルコンといえば“伝説の金属”“錬金術”などの言葉が連想されます。そこに“〜日和”という言葉が繋がると、とたんにゆるい感じになります(笑)どんな思いを込めてこのタイトルを付けたのでしょうか? 晴れの天気であれ雨のザーザー降る日であれ、突然何かやる気の起きる日もしくはモードの切り替わる日ってあるもんです。 オリハルコンなんていうありもしない金属を本気で探しに行っちゃうくらい、素敵な日和もあるのです。 このアルバムを聴いてそんな気になってくれたらいいですね。 --- レコーディング中のお気に入りの気分転換法・場所などがあったら教えてください。 st-roboの居心地がめっちゃよかったんで特に行き詰まる事はなかったんですが、室内禁煙だったので愛煙家の僕はよくベランダでまったりしてました。 --- どの曲も優しくてゆったりと穏やかな印象なので、天気の良い日に芝生の上なんかで聴きたくなります。LIVE ツアーはもちろん、夏フェスも多数出演されると思いますが、LIVEに対するいきごみを教えてください。 ギターのコジロヲが抜けたのでライブは結構大変ですが、サポートで木暮晋也さんに参加してもらったり、フェスだともう少し豪華に行っても良いかなと思ってるので今から楽しみです。 --- アー写も昭和の縁側といった感じで、とても印象的なものですが、このアー写に込めた思いはどういったものですか? 縁側のアー写は、コジロヲが脱退する事が決まってる中で撮影されたものです。 ファンの中にはよからぬ心配をされる方もきっといるだろうということで、率先して僕らがバカにならないとと思い至った結果です。 なかなか素敵な写真だと我ながら思います。 アルバム発表に合わせて撮影されたものは更にあれです。 最近よくオチに使われる松井が心なしか生き生きし始めました。 キャラ立ってきましたね。 --- 最後にこのインタビューを読んでくれたみなさんにメッセージをお願いします。 bonobosの最高傑作をお届けします。 随分ながいことお待たせしましたし、メンバー一人抜けちゃって何やってんだと思うでしょうが、間違いない最高傑作です。 僕は既に200回以上リピートで聴いてます。 こんなアルバム作っちゃってもう勘違いしそう! ご協力ありがとうございました! bonobos、新レーベルを立ち上げ新作リリース! インディーズ TOPへ戻る |
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01 | Pop Group 『Y』 オルタナティヴ、ニュー・ウェイヴと呼ばれた一連のグループの中でも衝撃的なサウンドと存在感で一際異彩を放っていたポップ・グループの名作(1979年発表)。 |
02 | XTC 『Black Sea』 XTCの代表作のひとつに数え上げられ、またプロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトの名を大いに高めた通算4作目のアルバム。アルバム全体としても中期ビートルズっぽい柔らかなメロディの”タワーズ・オブ・ロンドン”(シングルとしてヒット)などもあって前衛と古典ロックのバランスが非常にイイ感じ。” |
01 | YMO 『After Service 』 坂本龍一、高橋幸宏の最新「YMO振り返りインタビュー」そして細野晴臣東芝盤(1999年)インタビュー復刻掲載! 今作は、「散開」LIVEである日本武道館公演を収録したアルバム。オリジナル盤 1984年2月21 日リリース。 |
02 | Baden Powell 『Solitude On Guitar -孤独 』 並外れたリズム感とテクニック、一音の無駄もなく研ぎ澄まされた粒立ったサウンド。そしてこの至芸の背後に漂う孤独感、哀切。深い陰影をたたえた12の小品からブラジル人バーデン・パウエルの魂の根底に流れるサウダージ感覚が支持かに心に染み渡ってくる...。 |
01 | Chet Baker 『It Could Happen To You 』 1958年ニューヨークで録音された、ケニー・ドリューのトリオをバックにしたチェット・ベイカーの“メロウ系50年代ジャズ”の典型作品。ジャケットのイメージも含めてチェットの全半生でも最も女性に人気のある作品。渡欧前のドリューのプレイも注目。 |
02 | Miles Davis 『Bitches Brew 』 『Miles In The Sky』あたりから模索されてきたマイルス・ミュージックの新しい方向性がまるで花が開くように一気に表出したこの作品は、マイルスが様々な時代を刻んできた中で、まさに白眉といっていい独自性と時代性を包含したジャズ史に燦然と輝く作品だ。 |
01 | 浜田真理子 『Mariko』 完全にネイティヴとしか思えない完璧な発音と作詞センス、ジャズとローラ・ニーロなどの知性的シンガー・ソング・ライターと歌謡曲の親しみやすさが同居した奇跡的音楽性が衝撃を与える。英語詩を中心にしている中でポツリと収録された日本語曲「のこされし者のうた」のインパクトも鮮烈。 |
02 | 安東ウメ子 『ウポポサンケ 』 アクロン/ファミリーの最新作で、以前と比べると、ツアー経験のせいか、もう断然パワーが違っていて、アメリカの音楽の歴史をグチャっと丸めて開いたようなハイブリッドなバンドになっていて個人的には衝撃的な作品です。 |
01 | Mighty Sparrow 『Hot And Sweet 』 ヴァン・ダイク・パークスのプロデュースのもと74年に発表したまさに傑作中の傑作。バックのトルバドールズの充実した演奏を従えた、全盛期のファンキーで艶のあるヴォーカルは絶品。 |
02 | Fishmans 『空中キャンプ 』 その後の音楽の在り方、制作アプローチを変えてしまった歴史的名盤。エンジニアZAKと作り出したそのサウンド&グルーヴは佐藤伸治の詞の世界とともに強力なオリジナリティーを放った。永遠と瞬間、浮遊感とリアリズム。日常の風景を音で描いた永遠の名盤。 |