ウーター・ヘメル インタビュー

2009年2月5日 (木)

Wouter Hamel Interview




2007年、オランダから綺羅星のごとく
ジャズ・シーンに登場した
ウーター・ヘメル。

トッド・ラングレン、ロイ・ウッド、ジュールズ・シアー
キング&ゴフィン、ホーランド=ドジャー=ホーランド・・・
先達ポップ・マジシャンの系譜を
遡りながらも
あくまで、土俵は”今日のジャズ”。
但し、これ、境界線なき能工巧匠。
その証明に他ならず。


1年ぶりの再会と相成った
今回のインタビュー。
新作『Nobody's Home』のお話をメインに
色々と伺ってきました。






Nobody's Tune
4 Wouter Hamel
    『Nobody's Tune』
 «New«

2007年のデビュー・アルバムで大ブレイクを果たした“ミスター・ジェントル・ヴォイス”、ウーター・ヘメル待望のセカンド・アルバム登場。天才ベニー・シングスを再びプロデューサーに迎えた世紀の大傑作。「Breezy」、「Don't Ask」、「Details」など数々のヒット・シングルを生んだ『Hamel』を上回る、最高にブリージーなポップ・チューンがぎっしり。





『Nobody's Tune』購入者限定!
ウーター・ヘメルのスペシャル・ビデオ・メッセージとiPod nano 8GB、
さらには、オリジナル・ポスト・カードをセットでプレゼント!


ウーター・ヘメル『Nobody's Tune』を2009年4月30日正午までの期間にご購入のお客様の中から抽選で5名の方に、ウーター・ヘメルのスペシャル・ビデオ・メッセージと iPod nano 8GB (注:保証対象外、パッケージ開封済、ケース有り、ユーザー未登録)、さらには、オリジナル・ポスト・カード(4枚1組)をセットでプレゼント!

・オンライン・モバイルでお買い上げのお客様→商品出荷時にメールにてご案内します。
・HMVストアでお買い上げのお客様→ご購入日より2〜3日以内にメールにてご案内します。

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購入対象期間 (2009年4月30日まで)
応募対象期間 (2009年3月3日〜2009月5月10日まで)
(当選は賞品の発送をもってかえさせていただきます)
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■ウーター・ヘメルより動画コメント到着です。

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■ウーター・ヘメル 来日公演スケジュール

・5月19日(火)・20日(水)Billboard Live TOKYO
料金:サービスエリア:7,000yen / カジュアルエリア:5,000yen(1ドリンク付き)
お問い合わせ:Billboard Live TOKYO(03-3405-1133)  

・5月22日(金)・23日(土)Billboard Live OSAKA
料金:サービスエリア:6,500yen / カジュアルエリア:5,000yen(1ドリンク付き)
お問い合わせ:Billboard Live OSAKA(06-6342-7722)

  



   
オランダ本国では
年輩の人からの反応もすごくいいんだ。
サイン会にも参加してくれて
「若い時の気分に戻ったみたい」って



--- 前回の来日公演から、丸1年となるわけなのですが、1年ぶりの日本はいかがでしょうか?


ウーター・ヘメル(以下、ウーター)  去年、日本に初めて来た時は、レーベルのオフィスがある六本木に、2回目にツアーで来た時は、新宿に滞在したんだ。ヒルトンに泊まったんだけどね(笑)。オフィス街がある西新宿のエリアは、さすがに活き活きとした雰囲気に少し欠けるというか・・・(笑)、そんな印象だったけど、今回は、渋谷に滞在しているっていうのもあって、前回とは全く違う印象を受けてるよ。活気があって、10代ぐらいの若いコたちがいっぱいいるからね。ああいうコたちを“ギャル”って言うんだよね?(笑)


--- (笑)そうですね・・・わりともれなく。前回は、大阪も行かれたんですよね?大阪のジャズ・リスナーや音楽ファンは、東京とはまた違った熱狂的な部分を持っていると思うのですが、かなり熱烈な歓迎を受けたのではないでしょうか?


ウーター  大阪には、昨日もプロモーションで行ってきたんだ。ジャズ・ファンに関して言えば、東京の人たちは、わりとシャイな印象があって、それに較べると大阪は、もうちょっと熱気があるような人が多かった気もするけど・・・でも、東京も大阪もすごく盛り上がってくれたんで、ファンの違い云々っていうのはあまり感じなかったんだ。


  ただ、東京と大阪では、街としてかなり違うなって印象を持っていて。ボクが行ったエリアにもよると思うんだけど、東京は、とにかく若いコの活気に溢れていて、大阪は、ビジネス・スーツをカチッときめて、結構年配の人たちが多かったかなって印象があるんだ。街も小ぎれいで、シンプルで。東京は、文化でも何でも、あまりにも色々なものが詰め込まれすぎてて、どちらかって言うと、大阪の方が“リアル・ジャパン”なんじゃないかなって感じたよ。


--- デビュー・アルバム『Hamel』をリリースしてからは、だいぶ ご自身の周りを取り巻く環境が変わったのではないでしょうか?


ウーター  そうだね。『Hamel』リリース後は、自分の生活も周りの状況も、本当にガラッと変わったよ。ボクは元々、普通にオフィスで仕事をしてたり、ヴォーカル・レッスンの講師なんかもやっていたんだけど、あのアルバムを出してからは、当然だけど、プロパーなアーティストとして週に何回も演奏するようになったからね。要するに、他の仕事は全く持たず、純粋にアーティストとして生活をするようになったっていうところで、ライフ・スタイル全般も含めて、以前とは全然違うものになったって言えるかな。




Hamel
4 Wouter Hamel 『Hamel』

 ウーターのデビュー・アルバムにして、世紀のポップ・ジャズ大傑作。ホーン、ピアノを交え軽快にスウィングしていく「Details」、フリーソウル・ライクな天高く舞い上がるような爽快感を残す「Cheap Chardonnay」、ベニー・シングス直系のジャジーAORチューン「Fantastic」、ウーターのメロディ・メイカーとしての天賦の才が一気に溢れ出た「Don't Ask」、「Breezy」など名曲満載の全12曲。





--- 様々なシーンのアーティストとのコラボレートなど、対外的なオファーもそろそろ増え始めてきたのではないでしょうか?


ウーター  実際のところ、コラボレーションしようっていうオファーはそんなにないんだけどね。


  ライヴの時に、「As Long As We’re In Love」っていう曲を、エレクトロな感じのものもやりたいなっていうことで、リミックス・ヴァージョンで演奏することが多いんだ。オールド・フラッグ、ファイスト、オランダのサイモン&キプスキーなんかの曲もリミックスしたりして演ったりとかね。


  前回のビルボードでのライヴの時に、そのサイモン&キプスキーのリミックス曲を演奏したんだけど、お客さんの中にそれに気付いた人がいて、「ウーターのライヴに行ったら、あなたたちの曲のリミックスを演っていたよ」ってサイモンたちに伝えてくれたんだ。で、ボクがオランダに帰ったら、彼らから「ライヴでボクらの曲を演奏してくれたんだって?」って連絡があってね。そこから、本当にリミックスをやろうよっていう流れになったんだ。そういった日本のファンのアシストがあったからこそ実現したことだから、それにはすごく感謝してるよ。その曲は、今、アニメ番組のテーマ・ソングにもなっているんだ。


--- ちなみに日本では、『Hamel』リリース時に6曲入りのアナログ12インチ・シングル「EP」が、とある有名ダンス・ミュージック・アナログ専門店でも大プッシュされていましたよ。


ウーター  へぇ、知らなかったな。多分だけど、そのEPって、オランダのRush Hourから500枚ぐらいの限定カットで出回っていたものなんじゃないかな?リリースされてたことは知ってたけど、まさか、それが日本にも流通されて、みんなに知られてるなんていうのは、思いもよらなかったよ。


--- ウーターさんの作品は、日本だけでなく、韓国、台湾、タイといった国でも人気があるということですが、これまでにプロモーションも含めて、日本以外のアジア諸国に訪問したことはあるのでしょうか?


ウーター  ライヴにしてもプロモーションにしても、日本以外のアジア諸国には、まだ行ったことがないんだ。韓国では、『Hamel』もリリースされていて、今回の新しいアルバムがリリースされるかどうかはまだ分からないんだけど、5月に初めて行く予定になっているんだ。日本でのビルボード・ライヴの前に、韓国でプロモーション、それから、フェスに出演するスケジュールがあってね。


  タイでもリリースされているから、行く予定があったんだけど、ちょうど情勢が不安定な時期だったんで、断念せざるを得なかったんだ。バンコク・ジャズ・フェスティヴァルに出演する予定だったから、本当に残念だったね。


Wouter Hamel


--- 私自身もそうですが、日本では、わりと30歳代周辺のリスナー層が、ウーターさんの作品を愛聴している場合が多いと感じるのですが、例えば、もっと上の世代、リアルタイムでフランク・シナトラやトニー・ベネットの若い頃を聴いてきたようなジャズ・ファンからの反応などはいかがでしょうか?そうした感想なり、ご意見なりを耳にしたことはありますか?


ウーター  上の年代の人にも、良いリアクションは、結構貰えたりするかな。実際、1930〜40年代にリアルタイムでジャズを聴いていたボクのおばあちゃんが、『Hamel』の中の「A Distant Melody」を聴いて、「昔を思い出すわ」って言ってくれたりね。オランダ本国では、年輩の人からの反応もすごくいいんだ。サイン会にも参加してくれて、「若い時の気分に戻ったみたい」って言ってくれたりもするんだ。すごく光栄なことだよね。


--- 昨年2月のビルボード東京でのライヴを拝見したのですが、アルバムよりも、ステージの方が、いくらかジャズのイディオムが多く詰まっているような印象を受けました。


ウーター  実際にCDは、プロデューサーのベニー・シングスの制作・録音スタイルに因るところもあってね。彼のプログラミングやサンプリングにも精通しているっていうテクニカルな部分で、きっちりとしたクリアーなものに仕上がっているんだけど、ライヴでは、もっとハチャメチャに盛り上がる感じや、もっとジャジーでリラックスした部分が、全面に出てるんだと思うよ。そういう点では、ボクの音楽は、CDとライヴでは随分違うんじゃないかなって思うけどね。


--- ライヴでは、ホレス・シルヴァーの「Filthy McNasty」のカヴァーを披露されていましたよね?こういったモダン・ジャズの楽曲も、これまでにカヴァーなどで頻繁にとりあげてきたのでしょうか?


ウーター  今のバンドを結成する前に、ソウル・ジャズやハードバップのタイプをやっていたバンドを組んでいたんだけど、そこでも、こういったジャズの有名曲のカヴァーなんかをよく取り上げていて、例えば、ニーナ・シモンや、ホレス・シルヴァーで言えば、「Jody Grind」なんかをね。だから、今でもその時のなごりがあって、バンドのセットにはそういった曲がよく出てくるんだよね。

(つづきます)






 





Come Fly With Me
4 Frank Sinatra 『Come Fly With Me』

 20世紀を代表するエンターテイナーを引き合いに、”新世代のフランク・シナトラ”と一部メディアに称されるウーターの負荷も相当な筈。ただ、名編曲家ビリー・メイとの初コラボとなる本作品(58年)では、ウーターのパフォーマンスにも多大な影響を与えたであろう、バラエティ豊かにスウィングする御大の”懐の深さ”をたっぷりと味わえる。「旅客機による世界旅行」をコンセプトに、トランス・ワールド航空とタイアップ。




That's Amore
4 Dean Martin 『That's Amore』

 シナトラつながりで、もうひとり。ラット・パック(シナトラ・ファミリー)の一員としてもおなじみのディーン・マーティンは、俳優業だけでなく、シンガーとしても、その粋なスタイルと洒落っ気のあるユーモア・センスを際立たせた。スウィング、ラテン、カントリー等あらゆるジャンルの曲を取り上げる器用さと、甘く優しいディノの歌声は、世の女性をたちまち虜にし、53年、陽気なラブ・ソング「That's Amore」は空前の大ヒットを記録。本盤は、同曲をはじめ、「Everybody Loves Somebody」、「Volare」といった代表曲を網羅したベスト・アルバム。




Gershwin Plays Gershwin
4 George Gershwin 『Gershwin Plays Gershwin』

 コール・ポーターと並び、ウーターに最も大きな影響を与えたという(2007年インタビュー参照)ティン・パン・アレー系作曲家のジョージ・ガーシュウィン。ガーシュウィンが残した自動ピアノ用の録音ロールをYAMAHAのテクノロジーで再生したという、彼の作曲スキル、演奏テクニックをたっぷりと窺い知れる1枚。「Rhapsody In Blue」をはじめ、第一次世界大戦後の1910年代後半、”ミュージカル・映画音楽を母体とするポピュラー音楽”と”ジャズ”が一卵性双生児のように誕生し、やがてくる”エンターテインメント・ソングライター”新時代を見据え、共振し合った、ポピュラー音楽史において最も重要とされる楽曲がずらりと並ぶ。




Pick Yourself Up
4 Anita O'day 『Pick Yourself Up』

 ハリー・エディソン楽団をバックにした56年12月15日録音と、バディ・ブレグマン楽団をバックにした同年12月17日録音分の21曲を収録した、絶頂期のアニタ・オデイによる代表作。「Stompin' At The Savoy」、そして、映画『真夏の夜のジャズ』でも披露された「Sweet Georgia Brown」を収録。

  



King Pleasure Sings / Annie Ross
4 King Pleasure / Annie Ross
   『King Pleasure Sings / Annie Ross』


 プレスティッジによるヴォーカル作品。チャーリー・パーカーやジェイムス・ムーディの楽曲を素材に、自ら歌詞を付け歌ったヴォーカリーズ・スタイルを乗せた、52年から54年の複数のセッションからなる、キング・プレジャーが12曲、代表曲「Twisted」など、アニー・ロス4曲を収録。プレジャー「I'm In The Mood For Love」では、ブロッサム・ディアリーとの共演も聴ける。

 



Grace -Special Edition
4 Jeff Buckley 『Grace -Special Edition』

 ウーターもさることながら、あのトム・ヨークにも多大な影響を与えた、ジェフ・バックリー。97年、不慮の事故死を遂げ伝説となった。本盤は、94年のSSW不朽の名作、ジェフ・バックリーの1stアルバム『Grace』の発売10周年記念デラックス・エディション。未発表ボーナス・ディスクにDVDを加えた3枚組仕様。胸が詰まるほどに美しく不安定なジェフの奇跡の歌声は・・・永遠です。




Art Of Tea
4 Michael Franks 『Art Of Tea』

 AORの古典として知られるマイケル・フランクスの75年名作。シティ感覚溢れるクールでジャジーなポップ・ミュージック。洒落たセンスときらめく知性が散りばめられた本作のサウンドは、AORサウンドのひとつの理想的な極点を示しているといっても過言ではない。参加ミュージシャンは、デヴィッド・サンボーン(sax)、ジョー・サンプル(key)、ラリー・カールトン(g)、ウィルトン・フェルダー(b)など。