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ジャイルス・ピーターソン・セレクション@HMV SHIBUYA

2008年11月29日 (土)

GILLES PETERSON SELECTION



   
ジャイルス・ピーターソン@HMV SHIBUYA



  インタビューから約30分後、HMV SHIBUYAに、Gillesさん御一行がご到着。しばしのスチール撮影後、さっそく5Fの「ジャズ・フロア」を目指し、エスカレーターで移動を開始。ご自身のショッピングも含めて、はたしてどのようなセレクションになるのでしょうか?前頁インタビュー本文中のピックアップ・ディスクに加えて、こちらの「推奨盤リスト」も是非チェックしてみてください。


GILLES PETERSON SELECTION


  ジャズ・フロア内を一通り見渡したGillesさん。「日本に来た時は、いつも行ってるよ。」とおっしゃっていたとおり、スタイル別/楽器パート別のディスプレイ・セクションを首尾よく嗅ぎ分け、「Michael Nauraの『European Jazz Sounds』は、オリジナル盤を持っていなかったから、いい機会だから、この再発盤を買っていこうかなと思ってね。」と、まずは、リイシュー・アイテムを中心にピックアップ・スタート。

  ちなみに、George Benson、Stanley Turrentineらを中心としたCTIオールスターズ・バンド=Fuse Oneの作品を探すGillesさんの姿が、個人的には最も印象深いひとコマでした。「レアな作品だけ聴いてればいいってもんじゃないんだ」と己に猛省を促しつつ・・・


ジャイルス・ピーターソン・セレクション その1



European Jazz Sounds
4 Michael Naura 『European Jazz Sounds』

 ヨーロッパにて99年にCD化され、レア・ジャズ・ファン〜クラブ・ジャズ・ファンの驚愕を呼び起こした、ドイツのBrunswickレーベルに残されたMichael Naura(ミヒャエル(マイケル)・ナウラ)のカルト・レア・ジャズ作品。澤野工房より待望の日本流通。正統派ジャズ・ファン、欧州ジャズ・ファン、さらには、レアリティーを至上とする煩さ方、全てのリスナーを唸らせる至極の1枚。




Rah
4 Mark Murphy 『Rah』  紙ジャケット仕様 

 若きMark Murphyがジャズ・ヴォーカル史にその名を刻み込んだ61年の傑作。「Milestones」から「My Favorite Things」までを、得意のスキャットを交え、抜群のフィーリングでカヴァー。派手なソロこそないものの、Wynton Kelly(p)、Jimmy Cobb(ds)、Blue Mitchell(tp)ら、Riversideのオールスター・メンバーが素晴らしい歌伴を聴かせる。




We Three
4 Stanley Cowell 『We Three』

 昨今、70年代のスピリチュアルな作品が再び脚光を浴びているStanley Cowellが、かつて来日時に録音したピアノ・トリオ作品(87年)。活きのいいCowellのメロディックなプレイに、極太の音で目の前にせり上がるかのようなBuster Williamsのベース、躍動感に満ちたFrederick Waitsの切れ味鋭いドラムが加わり、重量感溢れる圧倒的なグルーヴを生み出している。




My Soul -The Complete MPS Fusion Recordings
4 George Duke
『My Soul -The Complete MPS Fusion Recordings』


 72年『The Inner Source』から76年『Liberated Fantasies』までのMPS時代のGeorge Dukeを網羅することの出来る4枚組。ソウル、ニュー・ジャズ、ブラジル、ファンク、ブルース、ロックなど、Dukeのクロスオーバー的な魅力がふんだんに詰まった、貴重且つ、クラブ・フィールドからも引く手数多の音源ばかり。




GILLES PETERSON SELECTION


  「Nicola Conteの『Rituals』では、僕も手伝っているんだけど・・・まだ、サンプルを貰ってないんだよね(笑)。」 そして、人気デザイン・ショップIDEE発のコンピ『IDEE Ensemble -Collection De Musique Numero 3 / Avec Marina』を手に取り、「コレは、すごくジャケットの見た目がよかったから、思わず手に取っちゃったんだ」

  実際のセレクションからは漏れたものの、他にも、Fabrizio Bosso率いるHigh Fiveのブルーノート移籍第1弾となる新作『Five For Fun』、HMV独占販売商品となるJose James『Dreamer For Club Lovers』、さらには、Shima & Ahikou DUO のトランペット奏者、島裕介プロデュースのJazz Rhythm『Jazz Rhythm Case』など、クラブ・ジャズ・シーンで人気の作品を次々にレコメンド。


ジャイルス・ピーターソン・セレクション その2



Rituals
4 Nicola Conte 『Rituals』

 クラブ・ジャズ・マエストロ、Nicola Conteの4年ぶりの新作。Fabrizio Bosso(tp)をはじめとするイタリアの名うてのジャズメンによって構成された自身のコンボを軸に、Chiara Civello(vo)、Alice Ricciardi(vo)、Till Bronner(tp)、Greg Osby(as)、そして、現在最も熱い注目を集める新人シンガー、Jose Jamesなどを豪華にフィーチャー。オーセンティックなジャズ作品としても十分通用する深みと、クラブ・フロアにも対応しうるダンサブルな要素が、絶妙に融合されている。




Invisible Cinema
4 Aaron Parks 『Invisible Cinema』

 99年12月に、NFAA (National Foundation for Advancement in the Arts) のコンペティションで、5000人の応募者の中から「クリフォード・ブラウン/スタン・ゲッツ・フェロー」に選ばれ、Terence Blanchardのバンドに5年間在籍した若きピアニスト、Aaron Parksのブルーノート移籍第1弾作品。甘美かつ端麗なタッチと、現代的かつ独創的アプローチで自らのスタイルを大きくアピール。Mike Moreno(g)、Matt Penman(b)、Eric Harland(ds)ら活きのいい俊英達がバックアップ。




IDEE Ensemble -Collection De Musique Numero 3 / Avec Marina
4 V.A.
『IDEE Ensemble-Collection De Musique Numero3』


 常に新しいライフ・スタイルを提案し続ける人気デザイン・ショップ=IDEE - イデー監修/プロデュースによるコンピレーション・シリーズの第3弾。Rachel Gould、Harcsa Veronikaなど、全編にわたりナチュラルな魅力を携えた女性ヴォーカル・ジャズ・ナンバーを収録。オーガニックで心地よい空間と、豊かな時間を演出する良質コンピ。




GILLES PETERSON SELECTION


  「Kenny Garrettは、すごく好きでね。このライヴ盤『Sketches Of MD』には、スペシャル・ゲストでPharoah Sandersが参加しているんだ。「Wayne's Thang」って曲が最高なんだよ。」


ジャイルス・ピーターソン・セレクション その3



Sketches Of MD: Live At The Iridium
4 Kenny Garrett
『Sketches Of MD: Live At The Iridium』


 Kenny Garrettの最新作は、N.Y.のIridiumジャズ・クラブにおけるライヴ盤。自身のバンドに加え、Pharoah Sanders(ts)をゲストに招聘。Charles Mingusの「Goodbye Porkpie Hat」を想起させる「The Ring」、Miles Davisへの想いを馳せた「Sketches Of MD」、人気曲「Wayne's Thang」、「Happy People」など新旧ナンバーで構成。Pharoahとの白熱のプレイにも要注目。




Long Hidden
4 William Parker 『Long Hidden』

 フリー・ジャズ界をリードし続ける巨漢ベーシスト、William Parkerの古代メキシコ文明オルメクと、西アフリカのマンディンゴを音で繋げた2006年作品。伝統的な聖歌をソロでプレイしたM-1をはじめとするベース・メインの楽曲、西アフリカの伝統弦楽器を用いたメディテーション楽曲、そして、Parkerに5人を加えたOlmec Groupとしてのアフロセントリックなセッションの3つの音源で構成。アフロ、ラテン、ジャズが入り乱れる快作。




Zaebos:The Book Of Angels Vol.11
4 Medeski Martin & Wood
『Zaebos:The Book Of Angels Vol.11』


 フリー・インプロ・サックス奏者、John Zornのマサダ・コンポジション群を様々なアーティストが演奏する「Book Of Angel」シリーズ第11弾にMedeski Martin & Wood登場。John Medeski、Billy Martinは、そのZornやMarc Ribotらとのプロジェクトへの参加から、TZADIKレーベルでの録音があったが、MMWトリオ名義でのリリースは実はこれが初。




Black Narcissus
4 Renee Rosnes 『Black Narcissus』

 故Joe Hendersonの秘蔵っ子でもあり、Diana Krallと共にカナダのジャズ・シーンを牽引するピアニスト、Renee Rosnesが、Hendersonの音楽と人生を尊敬の念を持って讃える2008年最新作。リズム・セクションは、同じくHendersonバンドに在席していたN.Y.の売れっ子、Peter Washington(b)、Lewis Nash(ds)。極上のピアノトリオでHendersonゆかりの曲をプレイ。





  1時間程のショッピングと、セレクションを終えて。 Gillesさんのスクエアな視点を一切排除した、感度抜群の”アンテナ”を前にして、ジャンル分け云々を口にするのは、あまりにも無意味なことかもしれませんが、モダン・ジャズ、ハード・バップ、ジャズ・シンガー、欧州ジャズ、フュージョン、フリー・ジャズ、クラブ・ジャズ・・・バランスよく選び抜かれた、その多角的な審美眼を目の当たりにできたということに、まずは、感激の面持ちを隠しきれませんでした。そしてなにより、音楽に対する愛情、そこに派生する飽くなき探究心、これこそが、次代のスタンダードを生み出すべく、全ての原動力になっているのではないかと、強く感じさせられたのでした。

 

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