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「TAO」 企画前夜:ゲスト→吉田豪 1  

2008年9月29日 (月)

---  本日は、突然のオファーにも関わらず、「何でもやりますよ!」というお心強いお言葉を頂戴しまして・・・そしてわざわざ、弊社までお越し下さり、本当にありがとうございます。


吉田:いえいえ。何でもやりますよー。


---  本日も自転車で?


吉田:ええ、もちろん(笑)。


---  『グミ・チョコレート・パイン』の映画公開の時に、KERAさんにインタビューをさせて頂いたんですが、そのKERAさんがご自身のブログで、吉田さんの著書「BAND LIFE」について書かれていましたよね?


吉田:「BAND LIFE」、褒めて頂いてねえ。


---  雑誌「KING」にもKERAさん、こちらの本を・・・。


吉田:ええ、紹介してもらってね。すごいいい人だと思いましたよ(笑)。「俺のインタビュー以外はおもしろい!」ってね(笑)。でも、調子に乗らせるくらいの褒め方ってえらいですよね(笑)。


---  (笑)。あのKERAさんに「才能あるなあ。インタビュアーってのは、こうでなくちゃいけないよ」とそこまで言わせる吉田さんに、本日はインタビューのHOW TOをお伺い出来ればと思っておりますので・・・。


吉田:はい、了解です。KERAさん、だってね、「BAND LIFE」ハマりすぎて、自分のイベントに氏神さん呼んでましたもんね?(笑)。


---  ブログにお写真(KERA氏犬山イヌコ氏氏神一番氏の3ショットで!)も載ってましたよね。氏神さんはあんまりギャラが出ない中、衣装も・・・。


吉田:フルコスチュームでね(笑)。


---  メイクもばっちりでしたよね(笑)。あの本をきっかけにKERAさんは、 氏神さんに・・・。


吉田:興味持ったみたいですね。事務所が同じでも、今まで全然、接点もなくっていう。世界、違いますからね。大槻さんはつながってたけど・・・大槻さん氏神さんの関係もまた微妙で・・・っていう(笑)。


---  2008年6月23日(月)に、東海大学湘南キャンパスで開催されたセミナーは、"相手の話を聞きだすテクニックとは?"というセミナーだったそうですが、これは東海大学さんからオファーがあったんですか?


吉田:そうですね。僕は基本的に、スケジュールの都合以外では断らないので、全然、喜んで引き受けて。でも、むちゃくちゃでおもしろかったですけどね。ラジオでもネタにしたんですけど、打ち合わせの段階で爆笑したんですよ。


---  爆笑ですか?


吉田:ええ。打ち合わせをメールのやりとりでしてて、全然それで全部済んでるのに、「1回お会いして、打ち合わせをしたい」って言われて。で、会いに来た人が明らかに僕を知らない人で、僕を見つけられない(笑)・・・プラス、電話で、「待ち合わせ場所どこにしましょうか?」って言った時に、僕、東京生まれで、もう6年くらい新宿に住んでるんで、「新宿がいい」って言ったら、「吉田さん、アルタ前ってご存知ですか?」って言われて(笑)。「おもしろいこと言うなあ、この人。たぶん、君よりはくわしいと思うんだけどなあ」っていう(笑)。

で、アルタ前で待ち合わせして、その後、すでにメールでやりとりしてることを全部、確認するだけなんですよ。「ええと・・・これはこうで、いいですか?」「いいよ、聞いてるから、聞いてるから」って(笑)。で、もうね、最終的にテンパっちゃって、プリント10枚くらい持って来てたのを「えーと、えーと」って全部、下に置いちゃってて。その置いちゃった中に、"極秘"って書いてある紙があったんですけど、そこに、「講師へのギャラは、上限が●万円とする」って書いてあって。僕には、その半分の額でオファーがあったんですよ(笑)。「それ見せるの、まずいんじゃないの?」って(笑)。全部、手の内明かしきって、おもしろかったなあ、あの人。


僕、10数年仕事してますけど、最近「給与明細」とかのテレビに出たことで知ったっていう感じだったんで、本当、「1から教えて下さい」って感じでしたね。聞く技術っていうか・・・たぶん、普通の人同士の会話の技術を学べるみたいな感じで打ち出してたんだと思うんですけど、僕が話せるのは、取材上の話しだけですからね。だから、そういう取材の時のコツみたいな話しが終わった後に質問コーナーをやって、学校側から「もう時間なので終わりです」って言われた時に、「まだちょっと早いから、もう一人くらいいきましょうよ」ってなって、最後に指した一人でまた、奇跡が起きて(笑)。


---  奇跡?(笑)。


吉田:ええ(笑)。おばちゃんだったんですけど、「あたしあのぉー、今日のこのセミナーの広告が電車の中に張ってあって、"人の話しを聞く技術を学べる"っていうので来ました」って言われて。「すいませんでした。バカ話ばっかりしちゃって・・・」「いえいえ全然、たのしかったんでいいんですけど・・・今、息子との間で会話が成り立たないので、それを学びたくて」っていう話しだったんですよ。

で、僕はいろいろと、そういう場合は、"相手を理解してあげる"っていう当たり前の部分から、息子さんの趣味なりなんなりから歩み寄るのが前提みたいな、そういう普通の話しをしてて。で、「まあ、反抗期とかありますからねえ」って言ったら、「いやー、息子、37で・・・」「あ、僕と同い年。もうそれ、反抗期じゃないですね」って(笑)。「特に、父親とは全然話さないんですよ。となりにいますので」って、お父さんも来てて、「父です」みたいな(笑)。それで、となりに若い子がいたから、「君はお子さん?」って言ったら、「いや全然、僕関係ないです」みたいな感じで、3段落ちになってっていう(笑)。

本当、誰か話し聞いてくれないと一方的にもう、バカ話しかしないんで。僕のファンで来てる人は、「いついつの何の取材の裏話を教えて下さい!」みたいなマニアな話しを聞いてきたりしましたけど、たまにプラスワンとかでやるイベントとかと、ほぼ同じような話しをしてるだけでしたね。だから、そういう役に立つ話はしなかったんで、本当に申し訳ないことしましたよね。


---  通常のインタビューのオファーは、今回わたしは、"豪さんのポッド"のHPの"メール募集"からご連絡させて頂きましたが、先方さんから依頼されるものと吉田さんから依頼するものというのは、どのくらいの割合、比率であるんですか?


吉田:えーっとね、基本、僕から依頼することはないですね。友達関係で、「今度たぶん、話し行くから・・・」くらいのはありますけど、基本的には僕がやりたい人を挙げて、編集の人が動いてくれたりとか、もしくは、編集の人が「この人どうですか?」って話しをくれて、それに僕の趣味が合うんだったら、「行きまーす」みたいな感じですね。


---  吉田さんの著書になると・・・例えばこの「元アイドル!」でしたら、彼女達の著書なり、情報を吉田さんが持っていて・・・。


吉田:そうですね。最初は、本当にまず・・・それまでの本のコレクションの中でおもしろかった人とか、テレビで見てて、もっと何か出て来そうな人には、ピンポイントで行って。でも、Part2になるとそのネタが尽きてきて、もう手探りですよね。「おもしろいの、かも?」みたいな。データもないままに行くっていう、おそろしいことになっていくんですけどね。

著書もね、全部、連載をまとめたやつなんですよね。基本的に、僕はフリーライターなんで、オファーがあってのお仕事ですからね。あとはもう、ラジオとかで自分で、「○○やりたい!」って言ってたら、それを聞きつけた編集の人とかが、「うちでやってみませんか?」みたいなことを言ってくれることもあるし・・・っていう。


---  好きな方だけをインタビューされているわけではないですか?


吉田:いや・・・基本は好きな人であり、あと、好きになれるかどうかってことですね。これは僕のルールなんですけど、"嘘はつかない"っていうか。全然好きでもない人取材に行って、「大ファンなんですよ!」っていうのは、絶対やっちゃいけないっていう。ちゃんと、CDなり何なり持ってる人のところに行って、「ちゃんと自腹で買いました」っていうのがルールなんで。それが出来る人じゃないとね。

もしくは、ブログ読んでて、「おもしろいですね、ブログ」って、素直に言える人。何か調べてると絶対、ピンポイントでどっか、褒められるところがあるんで、それを言いに行くみたいな感じなんで。まあ、大枠に言えば全部、好きな人ですね。嫌いな人には行かない。


---  これはわたしの場合ですけど、あまり興味を持てない方へのインタビューのお話しがあったりもするんですよね(笑)。


吉田:まあ、しがらみっていうかね、そういうのが絶対、ありますよね。この仕事やってると、当然(笑)。


---  アイドルグループの合同インタビューとか(笑)。


吉田:合同インタビューって本当、めんどくさいですよね(笑)。ほぼやったことないですよ。1回だけ、松尾スズキさんの時にやって。その時は、「3人でやってくれ」って言われて。でも、ゴネたんですよ。ゴネて、「合同もありだけど、単独でも30分くらい取ってくれないと嫌だ」って言って。それで結局、「合同3人で」ってなったんですけど、僕と仲のいい映画ライターの人がいて、「じゃあ、合同の部分はその人に任せて、単独部分で僕ががんばろう」と思ったら、その人が遅刻したんですよ(笑)。

その人が来ないんで、サイトのインタビューとかをやってる、すごい若い女の子と僕だけで(笑)。で、僕、松尾さんと面識あるから、結局、僕がほぼ話しつつ、その女の子をイジるしかなくなって(笑)。合同インタビューだと、おもしろいこと言ったら全部、その子に使われちゃうわけなんで、「言うだけ損じゃん!」っていうことになりますからね。


---  興味がないと質問も出てこないですよね。たとえばその状況で、インタビューをすることになっても、その後、文字起しをして、校正して、チェックをしてもらって・・・っていう工程も考えると・・・。


吉田:どんどんブルーになって行きますよね(笑)。


---  ええ(笑)。


吉田プロフィールなり何なり、何かひっかかるところがあったら・・・っていうのは、大きいですよね。「何これ?」っていう。


---  「何これ?」っていうのが、"ひっかかり"になりますか?


吉田:そうですね。今はブログ時代だから、すごい便利にはなった部分はあって。変な趣味なり、何かこう、もやもやしたものを抱えてる人は結構、それが見えやすくなってるし、ギャル系のあまり頭のよろしくない子かどうかっていう判断も、文体で分かるじゃないですか?だから、アイドル取材とかはやりやすくなりましたね、すごく。

事務所のプロフィールとかでも、余計なことを書いてることがあるわけですよ。"水沢アキ 特技:ヒップホップ"とかってあって、「特技がヒップホップ?これは会いに行かなきゃ!」って会いに行くと、「わたし今、すごい習ってるんですよ、ヒップホップ」って言われて、よく聞いてみると、"ヒップホップ・ダンス"だったっていう(笑)。「でもいい、おもしろい」って(笑)。で、さらに、プロフィールが「最初期の段階で事務所が勝手に作ったんで、そんなの嘘です」みたいに言ってくれれば、「それも全然OK」っていう。

女優さんに、「"映画鑑賞が趣味"と書かれてありますが・・・」って聞き始めると、「わたし、映画鑑賞が趣味なんて、そんなこと言ってませんよ!」って言われたり、「好きじゃないです」って言われる時もあるし(笑)。


---  豪さんのポッドで、麻生久美子さん真木よう子ちゃんについてのお話しもされてましたよね?(笑)。


吉田:ええ。どっちも"映画鑑賞が趣味"ってなってるんだけど、「全然!」っていう。「ハリウッド映画しか観ません!」とか(笑)。日本を代表する女優さんがそういうこと言うからおもしろいんですよね。普通の子がそう言っても、何の落差もないけど。


---  確かに(笑)。


吉田:「好きな映画は、エイリアン!」って言われると、「合格!」ってなるわけですよね(笑)。「それ、先に言ってよ」みたいな(笑)。





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